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🌙光の行方⑧ 花に包まれた植物園

この物語は、チュチュ・テイルの世界を旅する記録です。
シルエットで描かれた猫たちや動物たちが暮らす、やさしい世界✨️

白いうさぎの旅人 エトワール の旅日記として綴っています。

はじめての方は、ぜひ固定記事からご覧ください🌙


食事処をあとにして、ぼくは教えてもらった場所へと歩きはじめました。

まちのにぎわいから少し離れると、空気がゆっくりと変わっていきます。

さっきまでのやわらかな音は遠のき、代わりに、風が葉を揺らす音や、どこかで水が流れる気配が静かに広がっていました。

道を進むにつれて、森の奥にひとつの建物が見えてきます。

大きなガラスに包まれた、光を受けてやさしくきらめく場所。

——あそこが、植物園。

ぼくは、少しだけ足をゆるめながら、その景色を見つめていました。

ガラスドームでできた植物園


近づくと、そこには花や緑に囲まれた、やわらかな空間が広がっていました。

その中に、静かに立つ気配があります。

花に包まれるようにして佇む、花冠をつけ、淡い色の羽のついたドレスをまとった猫。

そのそばには、森の空気に溶け込むように立つ、グリーンのスカーフに白衣をまとい、図鑑のページをめくる思慮深い眼差しの猫と、

もういっぴき、両耳に小さな花飾りをつけ、緑色のドレスの上にフリルのついた白いエプロンを重ねた猫が、

その猫のまわりを、やさしく整えるように
動いていました。

ぼくは、少し距離をとったまま、その様子を静かに見つめます。

植物園で出会った3匹の猫

「この子たち、今日はよく光を集めてるね」

図鑑をめくる手を止めて、葉にそっと触れながら、白衣を着た猫がゆっくり口を開きました。

その隣で、やわらかな声が続きます。

「そうね、このあたりは光のめぐりがいいみたい」

その声には、ゆったりとした空気の中に、ほんの少しだけやわらかな明るさが混ざっていました。

まるで、その話題にふれることで内側の光がそっと灯るように。

そのとき、エプロン姿の猫がふわりと近づいて、中心にいる猫の裾や花冠をそっと整えました。

「もう、ちゃんとしてないとだめよ?」

やわらかい声だけれど、どこか少しだけ気にかけるような響き。

ぼくは、少しだけ迷いながら静かに近づきました。

「……ここが、植物園なんですね」

言葉にすると、その空気を壊してしまいそうで、声は自然と小さくなります。

3匹の猫は、ゆっくりとこちらへ向きました。

「ええ……そうよ」

その声は、風に溶けるようにやさしく響きます。

「ここは、フローラの森の植物園」

その名前を聞いた瞬間、ぼくは少しだけ息をのみました。

やっぱり——

「……フェアリーキャット」

思わず、そう言葉にしていました。

振り向くフェアリーキャット

その猫は、ほんの少しだけ目を細めて、静かに微笑んだような気がしました。

少しのあいだ、ぼくたちは言葉を交わさずに、同じ空気の中にいました。

遠くで、光が葉のあいだを通り抜けていきます。

「今夜は——」

その声が、ふと、静かに続きました。

「光が、よく巡りそうね」

ぼくは、その言葉をそのまま胸の中に受けとめます。

理由はわからないけれど、そのひとことが、どこかあたたかく残りました。

植物園をあとにして、ぼくはまた静かに歩きはじめます。

森の空気は、さっきよりも少しだけ、やわらいでいました。

春のめぐみ祭が、近づいている。

その気配が、森の中を満たしていきます。

フローラの森

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