関わりたくなかった
私が1人暮らしを始めた頃の話です。
あるカップルが入居してきました。
会ったら話す程度の関係でした。
ある日、インターホンが鳴ったので見ると、彼でした。
どうしたの?と聞くと、彼女と大喧嘩をして閉め出されたとのこと。
彼女がいない間に風呂に入りたい、合鍵を取りたいと言っています。
で?と聞くと、
私の家の窓から侵入させてくれと、すごいお願いをされました。
不法侵入?
……いや、自分の家に入るだけか。
了承しました。
それから数日後、家の前に路駐した車の中に彼がいました。
どうしたの?と聞くと、寝る場所がないから車中泊しているとのこと。
状況は、ますます悪くなっているようでした。
さらに数日後、階段をバタバタとかけ上がる音がしました。
ドアを開けると、警察の鑑識のような人がいました。
彼女は気を失って、顔が真っ白です。
彼は「オレ、何もしてないよ!!」と叫んでいます。
私は、泡を吹いている人を初めて見ました。
死んではなさそうで、少し安心しました。
後日、何があったのか聞くと、
配達員のふりをしてインターホンを鳴らし、
開けたところをグッと腕を掴んだら、気絶したとのことでした。
彼は、彼女から50万を請求された挙げ句、地元に帰ったそうです。
あのとき、窓を開けたのが最初だったのかもしれません。
関わりたくなかった。
