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「急性」と「慢性」を理解すると、健康の見え方が変わる

「急性」と「慢性」という言葉


私の受け持つ解剖生理学の授業では、管理栄養士養成課程1年生に対して、人体の仕組み(正常な場合)と、疾病の成り立ち(正常な仕組みのどこが破綻して病気になるか)を、器官系ごとに説明している。

今は、消化器系の疾病について話しており、前回は急性肝炎と慢性肝炎、急性膵炎と慢性膵炎の回だった。

私は医師でないので深〜い知識や医療現場の実態などは話せない。しかし、管理栄養士養成課程には必ず医師が専任で在籍し、最低限「病理学」という科目を持たなければならないと決まっているため、そこらへんは医師の先生にお任せできる。

私は、まずは基礎中の基礎の事柄を解説する。そこでは言葉の定義が結構大事だと思っていて、先日も「急性」「慢性」の意味を話してきた。


「急性」と「慢性」の概念


昔々、理学部生物学科の修士を修了した私は、医学部薬理学教室の助手として就職した。

研究対象が海産無脊椎動物からいきなり(ヒトの身体の劣化モデル?としての)哺乳動物に移り、ヒトの生理学と薬理学を勉強する機会を得た。(だから、医学の人と生物学の人の橋渡しとしての話もできるかなと思う。)

そこで、「急性」と「慢性」の考え方を私なりに身につけた。これは、今の私の健康に関する思考の土台となっている。

急性とは、短い期間に病気の症状が一気に現れる状態を指す。例えば、インフルエンザに罹患すると、急に寒気がしたかと思うと熱が爆上がりする。場合によっては咳、鼻水、嘔吐など多彩な症状が出る。しかし、健常人であれば数日で治り、ケロッと元気に復活する。

一方、慢性とは、長い期間にゆっくりと疾病が進む状態を指す。例えば糖尿病などは、派手な症状を示さず気がつかないうちに進んでいる。あと、近々の例で似ているのは、コロナ後遺症だ。コロナ罹患(これは急性)後に、いつまでもダラダラと疲労感、倦怠感、咳、嗅覚・味覚障害、抑うつ、記憶障害などが続く。

いわゆる副腎疲労や、繊維筋痛症なんかも、慢性の病だ。


自分が経験しなければわからない


最近の若者には、だらだらと体調不良が続く「慢性的な不調」を抱える人が多いように感じる。

しかし、そのつらさは、教員の世代にはなかなか伝わりにくい。今の教員の多くは「若い頃は急性の体調不良しか経験していない」人たちで、しばらく休めば元気に戻るという感覚が当たり前だ。

そのため、慢性的な疲労や倦怠感で遅刻や欠席が続く学生を見ると、

「ズル休みなのでは?」
「若いくせして、何やってるねん!」

と、つい厳しい目を向けてしまう。

そうやって、もっと頑張れるはずだ、なのにやらないのはサボリだ、と決めつけられるので,自己肯定感育たず、自分はダメなやつと幼い頃から刷り込まれている子も多い。

時代がたまたま良かったから、急性的な体調不良しか知らないで済んでいる、っていう理解が、大人の側にないのが問題だ。

若い人たちが慢性的な不調を抱える原因を作ったのは、今までの大人たちなのではないですか?


「急性」「慢性」という考え方は、実は薬物動態にも共通する


「急性」と「慢性」の考え方で、もう一つ大事にしていることがある。病気や症状のことではないが、これもやはり私の中ではつながっている。

それは、毒を体内に取り入れてしまう時の、取り入れ方の問題、薬物動態学的な考えだ。

結構な量の毒を摂取するとする。例えば、謎のファーストフードのハンバーガーにシェイクにフライドポテト。今の私の食生活に比べると、めっちゃ添加物その他が入っていると思う。

一日だけ、もうお腹が空きすぎて、他にお店も無くて、時間もなくて、はやくエナジー欲しい、っていう時にたまたま食べちゃったとする。

でも、それ以前もそれ以降も食べなければ、それは薬で言うボーラス投与とかワンショットとかいう概念に近い。あとは取り込まないで排泄されるの待つ。だから、身体に蓄積されないで済む。

一方、ちょっとだけ毒が入っている食べ物を、毎日毎日必ず食べ続けたらどうなるか。ちょっとずつちょっとずつ血中濃度が上がり、そのうち高濃度で定常状態に達する。

そうなのだ。急性の大量一回より、少量頻回の慢性投与の方が、体内にとどまる量が多くなるのだ。

もちろん、体にいいものなら逆に頻回の慢性投与がよいだろう。でも毒はだめなのよ。

そこをちゃんと理解して、いろいろ食生活を自分で構築すればいいと思う。

毒は絶対食べないってやってると、かえってエネルギー不足や低血糖で苦しむかもしれないし。友人と楽しく会食するなら、この一回限りで、と割り切って食べることもアリだ。

そんな風に考えて、緩く自分を許したり、立て直したりして、自分が納得しながらこれからもやっていこうと思う。





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