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第11話:工場の「正直さ」に投資する。サプライチェーンにおけるパートナーシップ

前回の第10話で、私たちは社内に品質管理専門の部署を置かない代わりに、コストが高くても世界最高水準の品質管理を行ってくれる信頼できる工場へ直接発注しているとお話ししました。

私たちが製品の製造を託しているのは、中国の福建省厦門市にある老舗の洋傘メーカーです。ここは台湾資本・台湾人経営の会社であり、かつて日本の技術指導を経て受け継がれた「職人スピリット」が今なお脈々と息づいています。単に効率よく大量生産するのではなく、一本の傘をどれだけ美しく、強固に仕上げるかというモノ作りへのプライドを持ったパートナーです。

その象徴が、現代の効率最優先の現場では珍しくなった「単環(たんかん)ミシン」です。実は「pentagon」シリーズのような極薄生地の縫製は、このミシンなしでは成立しません。効率化の波で多くの工場が手放した技術が、私たちの「引き算のイノベーション」を支える鍵となっています。

こうした技術的裏付けや、洋傘工場としては稀な「全フロア冷房完備」という働く人への環境配慮があるからこそ、私たちの求める精緻なモノ作りが実現できています。彼らは「軽さと強度の両立」という高い要求に対しても無理難題以外は決して断らず、「どうすれば形にできるか」を前向きに考えてくれる職人たちです。

そして、私が工場と共に歩む上で、技術力以上に最も重視している基準が「正直であること」です。

モノ作りの現場において、不具合が起きた際に事実を隠蔽する体質の工場とは、決して安心した関係を築けません。私たちが提携する工場は、仕様書段階の細かい注意事項や事前検査の要求にも誠実に向き合い、納得がいくまで試作に付き合ってくれます。万が一トラブルが起きても、事実をありのまま共有し、一緒に解決策を導き出せる信頼関係があります。

いかに工場を叩いて原価を下げるかというコスト競争で得られる利益など、質の低下や対応コストで簡単にかき消されてしまいます。私たちが適正なコストを支払い、対等なパートナーとしてリスペクトし続けるのは、彼らの「職人スピリット」と「正直さ」こそがアンベルの品質の基盤だからです。

この強固なサプライチェーンがあるからこそ、私たちは自信を持ってお客様へ製品をお届けし、手厚い1年保証の仕組みを回し続けることができるのです。

(第12話へ続く)

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