一生忘れない眼差し
草間彌生さんが亡くなった。特別大好きだったというわけではないが、私の人生に大きな影響を与えてくれた芸術家だ。小さい頃からずっと存在や作品は知っていたけど、明確に色濃く触れたのは大人になってからだ。
大学院の修士が終わる頃の卒業旅行で、21世紀美術館へ行ったときにイヴ・クラインを見た。イヴ・クラインの青色に喰らっていたところに、突然目の前に真っ白のキャンパスに真っ白の水玉の作品が現れた。なんだこれはである。近くによればよるほど白い水玉は見えるが、離れるにつれてわからなくなる。全く意味がわからない衝撃体験だった。
他にも、オーストラリア留学からの帰りに、チャンギ空港でのトランジットが丸半日あり、ちょうど空港内を歩き疲れて座れた場所が、ルイ・ヴィトンの巨大モニターの前で、草間彌生さんがずっとジョウロを持って水玉の植物を育て続ける映像が流れ続けていた。トランジットの寝れない環境下で何時間も見続けた水やりは忘れられない。他にもまたまたオーストラリアだが、学会の合間にいったメルボルン・ヴィクトリア国立美術館のKUSAMA展でも、草間彌生さんの生涯の作品を浴びるように見ることができた。自分自身も水玉シールを貼れるインスタレーションで、なんだか、私はより深く混ざり合ったような気がした。
いつも、ギョロっとした草間彌生さんの目に、とてもパワーを感じいた。その世界と対峙するエネルギーが凄まじいと思っていた。私はどんな顔で作品を描いているのだろうと気になっていた。KUSAMA展では、なんとその当時の草間彌生さんが描いている最中の映像が展示されていた。本当にびっくりするくらい穏やかで、優しい眼差しで、ゆっくりと丁寧に水玉を描いていたのだ。私は、水玉たちは草間彌生さんが世界を抱きしめるような、そんな愛を感じて、思わず泣いてしまった。生涯、あの目を忘れることはないだろう。
読んでくださり、誠にありがとうございます。今日も皆さまに良い風が吹きますように。
