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尿素とは?世界の食を支える尿素と東洋エンジニアリング(前編)

2022年、世界の人口は80億人を突破しました。1950年の人口はおよそ25億人だったので、70年あまりの間に3倍以上になりました。それに伴い、人々が生きていくのに必要な食糧の生産量も急激に増加しています。

そんな現代社会において注目を集めているのが、尿素という物質です。中学2年生の理科の教科書に出てくるので、名前は知っているという方は多いかもしれません。

漢字を見て「尿に関係するのかな」と思った方もいらっしゃるでしょう。まさにその通りで、私たちが毎日出している尿では、尿素を水分や塩分などとともに排出しています。

ただし、尿素はそれだけの物質ではありません。植物の生育に欠かせない窒素を多く含んでいるため、肥料として農業生産の向上に寄与しています。
そして、安全かつ効率的な尿素の生産に取り組み、社会に貢献しているのが、私たち東洋エンジニアリング(TOYO)です。


体の中で重要な役割を果たす尿素

尿素の化学式はCO(NH₂)₂です。すなわち、窒素原子1つと水素原子2つが結合したアミノ基が2つあり、それぞれが炭素原子と結合しています。また、炭素は酸素原子とも結合しています。

このアミノ基は体内でさまざまなアミノ酸に変化し、役割を終えるとアンモニア(NH₃)になります。しかし、アンモニアは生体にとって有害なので、体内にとどめておくわけにはいきません。そのため肝臓にある尿素回路で無害な尿素に変換され、腎臓を経由して排出されるのです。

人口増加に対応するために欠かせない物質

数千年前の古代文明の時代から、人類は排泄物を肥料として利用していました。江戸時代には都市住民の排泄物を買い取って農村で売却するビジネスが行われていたと伝えられています。その中に含まれていた尿素は農作物の成長を促したはずで、人類が存在を認識するずっと前から、尿素は人々の暮らしに役立ってきたといえるでしょう。

ただし、排泄物に含まれている尿素の量は限られており、衛生面でのリスクもありました。こうした課題を背景に、肥料用の尿素がプラントで生成され、工業的に安定供給できるようになったわけです。
 
ちなみに、尿素の人工的な合成に初めて成功したのはドイツのフリードリヒ・ヴェーラーという化学者で、1828年のことでした。それから100年あまりが経過した1930年代には、プラントでの大量生産が実現しました。
 
人工的に合成する場合も、体内と同様に原料となるのはアンモニアです。そのため、尿素プラントはアンモニアプラントと併設されるのが一般的です。実はアンモニアも窒素を含んでいるので肥料として有効なのですが、通常は加圧した液体として管理され、漏洩時には気化する性質があります。また、人体への毒性もあるため、アンモニアを単体で肥料として使用することは、取り扱いの難しさや安全面の課題から、用途は限定的です。そのため、常温で固体として扱いやすく、安全性の高い尿素が、肥料として世界中で広く利用されています。

近年の世界全体の尿素生産量は約2億トン規模にのぼり、特に多いのが中国、インド、ロシアの3か国です。一方、最も消費量が多いのは中国で、インド、アメリカなど人口が多い国が続いています。生産量はアンモニアの原料となる天然ガスの埋蔵量の影響が大きく、天然ガスが豊富な中東諸国などは生産した尿素の多くを国外に輸出しています。
 
今後も尿素の需要は高まっていく見通しで、尿素プラントの建設が世界各国で進められています。食糧を安定的に供給するフードセキュリティ(食糧安全保障)の観点からも、さらなる人口増加に対応するために、尿素は欠かせない物質となっているのです。

高温高圧の環境で尿素を合成

天然ガスの主成分はメタン(CH₄)で、水と反応させて水素を取り出します。その水素と空気中の窒素を用いて、アンモニアを合成します。ここまでの工程がアンモニアプラントで行われますが、副産物として二酸化炭素もできてしまいます。

しかし、この二酸化炭素は尿素プラントで有効活用できます。尿素を合成するにはアンモニアだけでなく二酸化炭素も必要だからです。
 
尿素プラントでは、高温高圧の環境でアンモニアと二酸化炭素を反応させます。そこでできるのがカルバミン酸アンモニウム(CH₆N₂O₂)です。そして、カルバミン酸アンモニウムを分解することで、尿素と水が生成されるのです。

ただし、すべてのアンモニアと二酸化炭素を一度に反応させることは、現在の技術では困難です。そのため未反応のアンモニアと二酸化炭素が残ってしまうことは避けられず、これらは回収して合成工程に戻すことになります。回収して戻す量が多いほど、循環系の負荷が大きくなり、設備規模やエネルギー消費の面で非効率となります。したがって、未反応物の回収量をできるだけ低減し、いかに合成の効率を高めるかが、プラントの優劣を決定づける最大のポイントといえるでしょう。

アンモニアや二酸化炭素といった未反応物を取り除いた後の尿素は、この段階ではまだ水分を多く含んでいるため、水溶液の状態です。そのため水分を蒸発させて尿素の濃度を高めたうえで、冷却して固体にします。そして、肥料として使いやすいよう粒状に成型して完成となります。

尿素の合成で用いられる化学反応そのものは一見シンプルですが、高温・高圧という過酷な条件のもとで、その反応を安定して制御し、安全でエネルギー効率の高いプラントとして成立させることは、決して簡単ではありません。こうした課題に対し、世界各国のライセンサーが研究を重ね、技術を進歩させてきました。私たちTOYOも、長年にわたり尿素プラントの技術開発と実績を積み重ねてきた企業の一つです。
 
60年以上にわたって尿素プラントに取り組み業界の最先端を進んできたTOYOの技術、そして現場で活躍する人々の思いについては後編で紹介します。ぜひご覧ください!
後編の記事はコチラ
https://note.com/toyo_engineering/n/ne3e0e8ca2eca?sub_rt=share_sb

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