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トトコレ特別編|夏祭りVer.――君が見ていた夏、僕が見ていた君。

前回のトトコレクション、略してトトコレがご好評いただきましてありがとうございます。

本日8月31日と言う事で夏ももう終わりが迫ってきています(まだ残暑が)

そこで夏の思い出を感じていただこうと今回特別編・夏祭りVer.をお届けしたいと思います。

今回はセリフと情感を感じられるような文章と曲も添えてみました。
では、お楽しみください。

――君が見ていた夏、僕が見ていた君。

夏の夜というものは、不思議だ。

昼間の暑さが少しだけ残った風。
遠くから聞こえてくる祭囃子。
夜空に連なる提灯の灯り。

そして、人混みの向こうから聞こえてくる、

「こっち、こっち!」

という声。

「もしトトと夏祭りに行ったら?」

そんな一夜を、彼女目線から切り取ってみました。

「これ、食べる?」

祭り会場に入って最初に目に入ったのは、真っ赤なりんご飴。

屋台の灯りに照らされて、つやつやと光っている。

一本買ったトトは、自分で食べるのかと思ったら、こちらへ差し出してくる。

「食べる?」

人混みの真ん中で、そんな顔をされたら。

りんご飴より先に、そっちを見てしまう。

夏祭りデート、開始早々ちょっとずるい。

金魚より真剣

次に立ち寄ったのは、金魚すくい。

「こういうの得意そう」

そう言ったら、

「どういう意味?」

なんて言いながら、もう完全に本気になっている。

水面をじっと見つめる横顔。

破れそうなポイを慎重に動かす指先。

……いや。

金魚を見なきゃいけないのに、私は何を見ているんだ。

射的になると男の子になる

射的屋を見つけた瞬間、明らかに目が変わった。

銃を構えて、少し身体を前へ。

片目を細めて景品を狙う。

横から見ている私はもはや景品なんてどうでもいい。

射的って、こんなに反則だったっけ。

「何欲しい?」

そう聞かれて、

危うく「あなた」と答えそうになったことは秘密にしておこう。

「あーん」

たこ焼きを買って、二人で少し休憩。

一個取って、

「はい、あーん」

冗談半分で差し出してみる。

最初は困ったように笑っていたのに、結局ちゃんと口を開ける。

熱々のたこ焼きを頬張って、

「熱っ……!」

その瞬間だけ、いつもの余裕が消える。

ふふ。

こういう顔を見られるのも、彼女の特権ということにしておこう。

「はぐれるよ」

祭りも佳境に入り、人がどんどん増えてきた。

少し前を歩いていたトトが立ち止まる。

そして振り返る――

……と思ったら、今日は違った。

隣に並んだまま、こちらへ手を差し出した。

「はぐれるよ」

理由なんて、たぶん何でもよかった。

私も何も言わずその手を握る。

人混みではぐれないため。

ただそれだけ。

……ということにしておく。

浴衣の夜

いつもの黒い服もいい。

眼鏡も、猫耳も、少し気だるそうな雰囲気も。

でも。

濃紺の浴衣に、祭りの橙色の灯り。

片手にはラムネ。

屋台の横で何気なく立っているだけなのに、妙に絵になる。

「何見てるの?」

「別に」

嘘だ。

めちゃくちゃ見てる。

今日のトト、ちょっとカッコよすぎる。

花火よりも

やがて照明が少し落ちて、人々が一斉に夜空を見上げる。

ドン――。

腹の底まで響く音とともに、大きな花火が開いた。

赤。

青。

金。

夜空いっぱいに光が広がる。

隣を見ると、トトも花火を見上げていた。

眼鏡に映り込む光。

花火に照らされる横顔。

少し開いた唇。

何も言わずただ夜空を見つめている。

私は花火を見るのを忘れていた。

こんな大きな花火が上がっているのに。

なぜか、

隣にいる人から目を離せなかった。

「綺麗だね」

どれくらい見つめていたんだろう。

ふいにトトの視線がこちらへ動く。

目が合った。

しまった。

慌てて花火へ視線を戻そうとしたそのとき。

少しだけ笑って、

「綺麗だね」

そう言った。

花火のことだと思う。

たぶん。

……きっと。

でも私は聞けなかった。

「何が?」

なんて。

だから私も、

「うん。綺麗だね」

とだけ答えた。

夜空にはまた大きな花火が咲いた。




今回のトトコレは、いつものファッション寄りのコレクションとは少し違って、一人称視点で夏祭りデートを追体験するシリーズにしてみました。

りんご飴を食べて、金魚を追いかけて、射的で遊んで。

たこ焼きを食べさせて。

人混みの中で手を繋いで。

最後は二人で花火を見る。

派手な出来事なんて何もない。

でもきっと、何年経っても覚えている夏の夜って、こういう夜なんじゃないかなと思います。

そして今回、個人的に一番好きなのは最後の一枚。

花火を見ているトトを見ていたはずなのに、気づかれてしまって――

「綺麗だね」

果たして彼が見ていたのは、

花火だったのか。

それとも――。

そこから先は、見てくれた人それぞれの物語ということで😊

あなたなら、夏祭りのトトと何をしたいですか?

りんご飴?
金魚すくい?
射的?
それとも、人混みの中で手を繋いで花火を見る?

今回のお気に入りの一枚も、ぜひコメントで教えてください。

またいつかトトコレでお会いしましょう。

――夏の夜は短い。
だからきっと、忘れられない。

歌詞

遠くで鳴ってる祭囃子
夕暮れに灯る提灯

「こっち、こっち」

振り向いた君が笑う

今年の夏が
始まった

慣れない浴衣の君が
人混みの向こうで手を振る
いつもと同じ笑顔なのに
なぜだか今日は眩しくて

赤いりんご飴ひとつ
「食べる?」って差し出したのは
本当はただもう少し
君のそばにいたかったから

金魚を追いかけるふりして
射的に夢中なふりして

気づかれないように
何度も君を見ていた

君が見ていた夏
僕が見ていた君

夜空に灯る花火より
隣の笑顔が眩しかった

祭囃子に隠すように
名前を呼んでみたけれど

この胸の音だけは
隠せそうになかった

夏の夜は短いから
もう少しだけ
そばにいて

熱いたこ焼きを頬張って
思わず二人で笑ったり

ラムネの瓶の向こう側
君の横顔を眺めたり

特別なことなんて
何ひとつなかったのに

どうしてこんな夜ほど
忘れられなくなるんだろう

人波が少し増えてきて
君との距離が離れそうで

理由をひとつ見つけて
そっと手を差し出した

「はぐれるよ」と言いながら
君の手を握った

本当は人混みなんて
どうでもよかったんだ

離したくないなんて
言えるほど強くないから

繋いだ手のぬくもりに
全部預けて歩いた

夏の夜が終わるまで
もう少しだけ
このままで

ドン、と夜空が震えて
君が花火を見上げる

赤く
青く
金色に

その横顔が染まっていく

だけどふと気づいた

君は空じゃなく
僕を見ていた

目が合って
慌てて逸らす君が
なんだか可笑しくて

僕は少し笑った

「綺麗だね」

そう言った僕に
君は小さく頷いた

花火のことだと
思っているのかな

聞かれなかったから
僕も言わなかったけど

あの夜
僕が見ていたものは

夜空じゃなかった

君が見ていた夏
僕が見ていた君

何年経ってもきっと
思い出すのは花火じゃない

祭囃子も
りんご飴も
繋いだ手のぬくもりも

全部君がいたから
夏になったんだ

またひとつ
夜空に花火が咲く

「綺麗だね」

今度はちゃんと
君を見ながら言った

夏の夜は短い

だからきっと

忘れられない


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