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📺Netflix『ガス人間』——最後に残ったもの




※結末に触れています。

Netflix、見始めたら止まりません。

『PLUTO』の次に釘付けになったのが、『ガス人間』でした。

全8話。

主役は、
蒼井優演じる報道記者・甲野京子。
京子の元婚約者で刑事の岡本賢治を、小栗旬が演じます。

そして“ガス人間”そのものを演じるのがUTA。
モデルとして活躍するUTAのドラマ初出演です。
これが、インパクトありすぎでした。

すっかりUTAさんのファンになってしまいました。

そうそう、竹野内豊も出演してますよ。
(最初はわからなかったです。)

さて、
ガス人間は、人を殺します。

だから刑事である賢治は、当然、彼を捕まえようとします。

一方、テレビキャスターとして真実を追う京子は、
なぜかガス人間の事件に次々と近づいていきます。

ずいぶんタイミングがいいなあ。
何かあるんだろうなあ。

そう思いながら見ていました。

京子は、真実を暴きたいという欲求がかなり強い女性です。

強引な取材によって、
一人の人間を自殺に追い込んでしまったという過去を背負っています。

まあ、ここまでは普通の社会派サスペンスのようにも見えます。

ところが途中から、

「あれ?」

と思う方向へ物語が動き始めます。

善と悪の境界線が、少しずつ崩れていくのです。

ガス人間という犯罪者の背後には、27年前の事件がありました。

社会の弱い立場に置かれた人たちを収容する施設で、
とんでもないことが起きていたのです。

落下した隕石を秘密裏に撤去するため、
そこにいた人々が労働力として利用され、
政府はその事実を隠していたことが明らかになっていきます。

では――

ガス人間という「怪物」を、いったい誰が生み出したのでしょう。

そこに動画配信者の兄妹が登場します。

広瀬すずと林遣都が演じるこの兄妹が加わることで、
物語はさらに面白くなっていきました。

テレビ報道だけではない。

「真実を誰が発信するのか」

そして、

「私たちは何を信じるのか」

という、今の時代そのもののような問いが見えてきます。

そもそも『ガス人間』って、

人間がガスになって人を襲うという、
かなり荒唐無稽な設定なんですよ。

昔、見た『ウルトラQ』にでも出てきそうです。

ところが、
見ているうちにそれほど荒唐無稽には感じなくなってくるのですね。

たぶん、
そこにいる人間たちがあまりにもリアルだからなのでしょう。

最初、京子のことを私は、

「真実を追いかける、ちょっと危ないジャーナリスト」

くらいに見ていました。

でも彼女の過去が明らかになるにつれて、
なぜこれほどまでに執拗に真実を求めるのかが
少しずつ腑に落ちてきます。

謎を解いていく面白さと、
人間そのものを解いていく面白さ。

その二つが同時に進んでいく脚本なのです。

そして、事実を隠蔽する政治家たち。

これがまた妙に現実的です。

私たちは、本当にすべての真実を知らされているのだろうか。

知らされていないことの方が多いのではないか。

そう考えると、

もしかしたらガス人間より、
現実の方が怖いのかもしれない。

そんなことまで思ってしまいました。

特に印象に残った場面があります。

事実を隠蔽していた政治家が、
きれいに整えられた舞台で応援演説をしている場面。

市民たちは、配られた同じ傘をさして
演説を聞いています。

ところが動画配信によって
真実が明らかになった瞬間、

人々が一斉に傘を放り投げるのです。

爽快でした。

現実も、こんなふうに変わることがあるのならいいのになあ。

ふと、そんなことを思いました。

最初は、

「ガス人間 VS 人間」

だったはずの物語が、いつの間にか

「権力 VS 市民」

そして

「隠蔽 VS 真実」

の物語へと変わってきます。
そこが、とても面白かったです。

動画を配信した、広瀬すず演じる華歩も良かった!

顔の痣を気にして、人前に出ることを避けていた女性です。

ところが兄を殺されたあと、彼女は変わります。

顔を隠すことをやめ、
自分の顔で、自分の声で、
堂々と真実を伝えていくのです。

守られる側にいた女性が、
自分で立ち上がって伝える人になるのです。

その変化が、とても逞しく見えました。

そして、ガス人間。

彼は、まるで魔法のランプの魔人のようでもあります。

誰かの「願い」を叶える存在。

その願いを託す人間によって、
善にも悪にもなり得る。

では、なぜ彼はガス人間になってしまったのか…

そこには、京子とレンの悲しい物語がありました。

最後、煙のように消えていった京子とレン。

ようやく同じところへ行けた二人の間には、

過去も、
秘密も、
罪も、

そして肉体さえもなくなって、

ただ純粋な「愛」だけが残ったのだろうか。

そんなふうに思いながら見ていました。

ところが。

最後の最後に、煙が……。

「あれは、何?」

肉体はなくなっても、
思いまでは消えないよ。

そう言っているようにも見えます。

それとも、

「再びガス人間あらわる!」

ということなのでしょうか。

答えを言い切らないところが、またいいのです。

そして流れる「いとしのエリー」。

たぶんこれから、
この歌を聞くたびに私は『ガス人間』を思い出すのでしょう。

そんな余韻の残る作品でした。

誰かが、
誰かを守る。

守り方を間違えることもある。
守ろうとして罪を犯すことさえある。

それでも人は、誰かを思いながら生きている。

私たちは、そうやって生きていくのだなあと、
しみじみ、思いました。

これはホラーでなく
美しい愛の物語・・・
なのでしょう……。


#ガス人間
#Netflix

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