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「買うべきか、賃貸か」論争に、地方の不動産業者として思うこと

「家は買うべきか、一生賃貸か」。この問いは、何年経っても繰り返し話題になります。今回の記事では、経済評論家が90歳までの生涯収支をシミュレーションし、購入の方が賃貸より約171万円安いという試算を出しています。

読んでいて、よく整理された内容だと感じました。購入と賃貸それぞれのメリット・デメリットを丁寧に示した上で、「誰にとっても正解はなく、ライフプランに合わせて選ぶことが大切」という結論は、まさにその通りだと思います。
ただ、一点だけ付け加えたいことがあります。この議論のほとんどが、都市部、特に首都圏を前提にしているということです。

記事の中でも「資産価値が下がりにくいエリアや幅広い世代にニーズのあるエリアを選ぶべき」と書かれています。でも地方に住んでいると、そもそもそういったエリアの選択肢が限られています。
徳島で不動産業に携わっている立場から言うと、地方の購入と賃貸の比較は、都市部とは異なる視点が必要だと感じています。

まず、地方では物件価格が都市部ほど上昇していません。「インフレ時代は早く買った方がいい」という論理は、価格が上昇し続けるエリアが前提です。人口が減少し続ける地方では、購入した物件の資産価値が将来どうなるかは、慎重に考える必要があります。

次に、地方では賃貸物件の選択肢が限られているという現実もあります。都市部のように、ライフスタイルに合わせて自由に住み替えるという賃貸のメリットが、地方では享受しにくい場面があります。
一方で、地方では購入価格そのものが低く抑えられます。都市部では6000万円のマンションが前提の試算でも、地方では2000万円台で一戸建てが手に入ることもあります。ローンの総支払額も自ずと抑えられ、返済の負担感が違います。

記事の結論にある「損得だけでなく、ライフプランに合わせて選ぶことが正解」という言葉には、心から同意します。ただ、そのライフプランは住む地域によって大きく異なります。
都市部の基準で地方の住まい選びを考えると、判断を誤る可能性があります。自分が住む地域の不動産市場の実態を、地元の専門家に確認することが、何より大切だと思います。購入か賃貸かの前に、まず「自分の地域ではどうなのか」を知ることが、賢い選択への第一歩です。

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