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心臓移植の請求書は669万8210円。俺が払ったのは22万8802円



移植手術の請求額は、669万8210円だった(輸送費は含まない)。

たった3日間の請求だ。

俺が実際に払ったのは、22万8802円だった。

保険が効いた。制度が効いた。差額の647万円は、俺の財布から出ていない。

この数字だけ見れば、いい話に見える。

だが、俺がいちばん金を怖いと思ったのは、この手術のときじゃない。

会社を辞めた後だ。

入院しているあいだ、俺は金の心配をほとんどしていなかった。会社にいる限り大丈夫だと思っていた。実際、そう思っていてよかったと今でも思う。

怖くなったのは、制度と会社の外に出てからだった。

失業手当は2027年2月で終わる。薬代と通院費は、死ぬまで続く。

そして俺は、ふとこう考えるようになった。

60歳までに死ねば、生命保険が下りて、家族は金銭的にかなり楽になる。

これは、心臓移植を経て会社を辞めた俺が、これまでに払った金と、いま抱えている不安のすべてだ。


この記事に書くのは、その全部だ。

俺の身体に、いくらかかったのか。何が制度で埋まって、何が埋まらなかったのか。入ってきた金はいくらだったのか。そして、その金額を見ながら、俺の頭の中で何が起きていたのか。

書けないことを、先に断っておく。

  • 請求額669万8210円に、心臓の輸送費は含まれていない。ここをいちばん知りたい人が多いと思うが、俺の手元にある額には入っていない。書けない部分は、書けないと先に言っておく

  • 領収書はもう無い。医療費控除で確定申告に使ったが、保存期間の5年を過ぎて捨てた。だから額の一部は記憶によるものだ

  • 制度は年度・自治体・所得区分で変わる。詳細は必ず窓口で確認してほしい

  • 俺は指定難病ではなかった。ここが金額に大きく響いている。同じ病気でも、指定難病に当たる人とは額が変わる

  • 見舞いの交通費は、場所が特定されるので細かくは書かない

こういう人に向けて書く。

大きな病気の診断を受けた人。手術を控えている人。家族が入院している人。そして、病気のあとに会社を辞めるかどうか迷っている人。

制度の解説は、検索すれば無料で読める。ここに書くのは、俺の場合の実額と、そのとき頭の中にあったことだけだ。


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