単焦点のススメ
ようやく咲いた桜を撮りに公園に出かけた。
今日は晴れ予報だ、青空の中で桜を撮れる。
天気予報の降水確率は0%。
晴れマークがずーっと並んでいる。完璧だ。
……はずだったが、公園は雨だった。
ザーッと悲しい雨音が桜を打ちつける。
ここだけ降っているのでは?と思うほどの仕打ち。
しかも寒い。気温は7度。。。
強風が吹き荒れ、主役の桜は激しく揺れる。
なんて日だ。

さぁ、気を取り直して今日の相棒は、
FUJIFILMの「GFX100S II」 と 「GF110mmF2 R LM WR」 の組み合わせ。
重さはゆうに2キロに迫る勢いである。(軽めの筋トレです)
普段は便利な望遠レンズを選びがちだが、やはり「絵の完成度」で見ると、この単焦点が叩き出す描写が素晴らしいのは言うまでもない。
大好きなさくらを単焦点できれいに撮ってあげたい。
これは「花のポートレート」なのだ。

このGFXというカメラ、正直に言って不便なところも多い。
デカい、重い、設定は分かりづらい、連写も効かない、データが重くなる。などなど……。
「スマホと変わらないのでは?」という意見もある。
最近のスマホは優秀だし、軽くて手軽なのは最大の正義だ。
それは否定しない。
パッと写真を見せられて、GFXで撮ったものとスマホで撮った写真の区別が一瞬でつかないこともあるくらいだ。
最近の携帯の進化には圧巻される。

それでもやめられないのは、このカメラでしか出せない写真があるからだと思っている。
フジフイルムのカメラの色が好きだ。
今回の撮影では、その「色の力」を再確認することになった。

110mm F2という「魔法のレンズ」が描き出すのは、単なるボケではない。まるで桜がピンクの空気を纏っているような、ふわふわとした幻想的な世界だ。雨の日特有の質感。晴れの日には決して撮れない、静寂がそこにはあった。
そして桜の足元に咲くエゾエンゴサクのブルーが、雨の中で凛と立ち上がっている。ピンクとブルー。
この繊細な色の分離と立体感は、この大きなセンサーと単焦点レンズの組み合わせならではの贅沢だ。

背景にツツジを配し、桜との色彩のレイヤーを狙った。
ズームレンズなら指先ひとつで済む画角調整を、自分の足で一歩ずつ追い込み、背景の色が最も美しく重なる場所を探し出す。
手ブレ補正のないこのレンズで、強風に揺れる花びらの一点にピントを置く緊張感。(腕がプルプルする、息を止めて、ふぅ)

シャッターを切った瞬間、ファインダー越しに「勝った」と思える手応えが確かにあった。(あとで見るとピントがズレてるなんて、いつも通りですが笑)
単焦点は、自分で動き回って構図を考えなければならない。
焦点距離を自由に変えられるズームに慣れてしまうと大変だが、そこで撮れる写真は、やはり何かが違う。(そうだと思っている)

「単焦点なんていらない」と言う人もいるが、それも否定しない。
だけど、やはり単焦点ならではの楽しさはある。
FUJIFILMには、単焦点の神レンズが多い。
私は以前持っていたが、XF35mm F1.4 Rなんて素晴らしいレンズだと思った。あのレンズが教えてくれた単焦点の楽しみの先に、今のこの110mmがある。
もちろん、機材はただの道具だ。
効率を求めればズームがいい。
手軽さを求めればスマホがいい。
それでも私は、不器用なまでに真っ直ぐな単焦点を選び、一歩を踏み出す。(ズームレンズも好きです)
その一歩の先で、「圧倒的な空気」に触れたとき、すべての不便は「この一枚のためにあったのだ」と感じることができる。
「単焦点のススメ」というよりは、「遠回りのススメ」かもしれない。
でも、その遠回りの先にしか見えない景色が、確かにある。
ぜひ、単焦点レンズを手に取ってみてほしい。
あとがき
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ちなみに、今回の写真はほとんど「絞り開放(F2)」で撮影しています。
中判の110mmでF2ともなると、ピント面は紙一枚ほどの薄さ。
背景がとろけすぎて「もはや何が写っているのか分からない」という、少々うるさめのボケ具合になっているかもしれませんが、そこは「中判の熱に浮かされたやつの仕業」だと思ってご容赦ください。(開放好き)
この「ボケの海」に溺れる感覚こそが、私が単焦点レンズをやめられない理由の一つでもあるのです。
では、また。
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