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39歳最後の日に。さようなら30代、こんにちは40歳

今日は39歳最後の日。
そうだ、と思いついて何気なしにカメラロールをさかのぼる。

10年分の思い出たち。歩いてきた道。

時々ものすごく走っていた記憶もある。
立ち止まって海を眺めていた日々もある。

世界一周中の帰国で離婚をした30歳。
フィンランドの森の奥、展望台から地平線を見ていた記憶。

「30代の最初の誕生日に見ていた景色が、それから10年の景色になる」

なんて誰かから聞いてきて。

「であればどんな景色やねん」と思ったりもしたけれど。

あの日ハメーンリンナで感じた気持ちの良い通り抜けるような風。

たしかにそのままずっと一緒にいてくれたような気もしてる。

出版、翻訳、家なし暮らし。
カメラを携え、仕事をして。
旅と写真と文章と、大事な人たちに会えた時代。

31歳、どんなに身軽なのかと思いきや。

離婚から突っ走って疲れ果てていたようで、ひとり海が見えるホテルで2泊、誰にも会わない誕生日を過ごしていたことを振り返ってやっと思い出す。

32歳、再びの世界一周と、旅仲間との世田谷シェアハウスの思い出たち。

33歳、3カ国の語学留学暮らし。
34歳、沖縄暮らし。
35歳、コロナ禍のなか、子どもを望み。

36歳、お腹に命を宿す。

37歳、はじめて出産。思いがけず子育てに相性がよく、38歳、もう一度妊娠を望み始めて。

39歳、つわりと切迫早産に倒れつつも。次の10年へとちいさく種を蒔きながら。

明日私は、40歳のテープに触れる。40年前に私を産んだ母、おつかれさま、ありがとうと思うくらいに。私は二児の母に今なって。

腕の中には生後3週間の娘の寝息。
もうすぐ2歳の息子を迎えに行く。

その前に、授乳の合間、桃仕立ての杏仁アイスを味わって。

いい10年だったんじゃないか、と言ってもいいかな。綺麗事だけじゃなく。悪くない時間だったはずなのだ。

世界中、ずっと誰かを探していて。
ここではないどこか、を手探りでさ。

たくさん、たくさん国と街と美しさ、そして切なさと寂しさを抱き締めて。

「これにしよう」と道を歩いた。

たしかな手触り。娘の髪が、すこし伸びた。産まれてから、二度ちいさな爪の先をやすりで削って。

まだ夢を抱ける、私。蒔いた種から、芽をどうにか。あとは自分の力で叶えるよ。

奇跡みたいな力が必要な、命をふたり分抱くという想いが叶った30代の最後の日々。

また地図のない日々がこの先に。草を刈って、花を咲かせて。あたらしい10年を歩いてゆこう。

さようなら、30代。こんにちは、よろしくね!40代。

もう絶対的な予感がしてる。40代は30代よりも、ずっと素敵な幕開け。

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伊佐知美|Tomomi Isa いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。