世界を眺め 建築を眺める 第1号
導入 世界の温度を読む
この連載では、遠くの政治経済と、足元の建築を、同じ視野に置いてみたい。
ニュースは事件の集合ではなく、社会がゆっくりと姿を変える“過程の断面”だ。その断面を眺めながら、建築という仕事の立ち位置を確かめていく。
ここは結論を急ぐ場所ではなく、考えるための補助線を引く場所でありたい。
世界を眺め
1.アメリカ 内政の緊張と産業の選別
連邦政府は半導体・AI・防衛関連への巨額補助を継続
一方で財政赤字は過去最大級、金利政策を巡る対立
巨大テックへの規制・分割論が再燃
移民政策の揺れが労働市場を直撃
アメリカは“自由市場の国”から、
戦略産業を選ぶ国家へ戻りつつある。
同盟国は技術と市場のどちらに重心を置くか、静かな踏み絵を踏まされている。
2.ヨーロッパ 戦後モデルの曲がり角
ドイツ製造業の低迷が長期化
ウクライナ以降のエネルギーコストが家計を圧迫
国防費増と環境投資の同時遂行で財政が逼迫
農民デモ・移民摩擦の表面化
成長で分配するモデルが限界に近づき、
“縮みながら整える政治”へ。
都市は新築より改修、拡張より更新へ舵を切っている。
3.中東 地政学と脱石油の綱渡り
海運ルートの不安定化
観光・金融・先端投資で多角化
BRICS拡大と ドル決済離れの実験
砂漠地域の水不足
巨大プロジェクトは未来像の展示会。
だが本当の主題は水・食料・人口。
派手な塔の足元で、インフラの現実が重くなる。
4.アジア 成長の再配置
中国:不動産不況と消費の弱さ
インド:内需拡大とIT輸出
東南ア:移転の受け皿
台湾海峡の緊張
世界の工場から、世界の市場へ。
都市化と格差が同時に進む大陸。
5.日本 ――静かな構造転換
半導体・防衛・観光へ資金集中
実質賃金は弱く消費は慎重
人手不足が建設・物流を直撃
自治体の財政格差
日本は、人口が経済の制約として最も早く表れた国の一つになりつつある。
成長より“維持の設計”が政策の本音である。
いま世界を貫く四つの流れ
・保護主義の常識化
・国家投資の復権
・サプライチェーンの再配置
・維持社会への移行
世界の出来事はばらばらに見えて、
どこかで“体温の低下”を共有しているように見える。
建築を眺めて
1.人をつくり直す建築
近畿大学オンライン学士プログラム
通信制で唯一、建築学士と一級建築士受験資格を得られる課程が、初年度から定員を大きく上回る 。
TomoLys メモ
人口減の時代、建物より先に“人の再設計”。
2.デジタルは防災の現場へ
メタバース実証
仮想空間で発災直後の避難所を再現し、混乱を体験させる 実証。
TomoLys メモ
BIMの次は “社会訓練の空間”。
3.主役は維持管理
保守点検、ESCO、地質調査が中心に。
TomoLys メモ
竣工より点検表。
4.地域と産業の足音
骨格インフラの更新と、半導体関連の設計委託。
都市の地図は産業配置から描き直される。
5.制度と技術の転換
統合的インフラマネジメント、既存ストック補強。
語りは成長から継続へ。
今週の三つのキーワード
1.学び直し=設計条件
2.運用ファースト
3.制度の統合化
TomoLys の読み
「つくる→直す→学ぶ」の順に並び替わっている。
設計者の役割は、教育の企画者、運用の伴走者、地域産業の接着剤へ広がる。
形より関係。
竣工より継続。
English Summary
Looking at the World, Looking at Architecture
A weekly note linking real-world currents with architecture.
Not predictions—just ways of reading the temperature of our time.
世界を見つめ、建築を見つめる。
現実世界の潮流と建築を結びつける週刊ノート。 予測ではなく、時代の温度を読み解く方法。
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はじめの3号は無料
その後:1話550円
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