世界を眺め
導入 3つの喉、塞がれた息継ぎ
先週、世界は1つの喉を絞められていた。ホルムズ。
その脇に、世界は2つの息継ぎを開けていた。
紅海と、黒海。
今週、その2つが、順に釘で打たれた。
紅海では、フーシがサウジのタンカー2隻を撃った。
エンセリアとレイラ。
サウジが「代替路」として開いていた道が、こうして塞がる。
バブ・エル・マンデブを避けて針路を変えた船は、少なくとも7隻。
黒海では、ウクライナの無人艇がCPCの積出地そのものを叩いた。
史上初めて、タンカーが積み込みの最中に沈められた。
カザフの輸出の8割から9割が止まり、同国は減産に追い込まれた。
欧州が湾岸の代わりに頼っていた樽が、1週間で消えた。
Brentは先週の$84から、再び三桁へ。一時$100を超えた。
米はイランへの空爆を12夜、13夜と重ね、トランプは「船を1隻撃たれるごとに、イランの橋か発電所を1つ潰す」と予告する。
墓は閉じたまま。だが戦争は、脇の息継ぎまで塞ぎにきた。
1.アメリカ 標的表を配る手が、引き金も握る
叩いては止め、また叩く拍子は、今週も変わらない。
12夜、13夜の空爆。
「大規模攻撃」の検討。
橋と発電所を人質に取る予告。
制裁法——「2026年ロシア制裁法」——は、追悼を推進力に、上院で60を超える賛同を得た。フィリバスターを越える数だ。
残る関門は本会議の時間と、下院。
トランプは「リンジーに敬意を表して」署名へ傾く。
名指しは前週と同じ。
原油でインド・中国・スロバキア・ハンガリー・アゼルバイジャン、ガスで中国・仏・ベルギー・日本・ハンガリー。最大100%の関税。
標的表を配る手が、いま引き金も握っている。
2.ロシア 棚ぼたは港で、パイプを断たれる
戦争が油を持ち上げ、モスクワの財布に棚ぼたが落ちる——はずだった。
だが今週、その棚ぼたは港で断たれた。
EUは上限$44.10を1年凍結し、第三国向けには「市場価格の15%下」という新たな縄を掛けた。
値が上がっても、露産だけは上がらせない。
そしてウクライナの矛先は、製油所から積出地へ移った。
CPCの係船地で、積み込み中のタンカーが沈む。
カザフの油はロシア領の港を抜けて世界へ出る——その喉を、無人艇が突いた。
砲声は製油所から、いま港の桟橋へ。
縄は値の上に、そして影の船団を「助ける船」の1隻ずつにも、掛かりはじめた。
3.ヨーロッパ 1週間の凍結が、1年の凍結になった
先週の宿題——7月23日までの1週間の凍結——は、こうして片づいた。
7月23日、第21次制裁が合意。$44.10は、来年7月まで1年の凍結へ。
指定は218件、4年ぶりの規模。影の船団を助ける船への制裁は、これが初めてだ。
だが同じ週に、欧州の息継ぎが断たれた。
湾岸の代わりに頼っていたカザフのCPC原油が、黒海で止まった。
ルールを固めたその手の先で、樽が消える。
ギリシャは北極LNGの海運に免除を得、スロバキアは2028年のガス全廃に保証を求めて最後まで渋った。
守勢の欧州は、味方の帰還と、自らの供給ショックとを、同じ卓の上で数えている。
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