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世界を眺め


導入 「次の一手」が問われる週


米中首脳会談は終わった。しかし何も決まっていない。

5月14〜15日の北京会談は、共同声明も共同記者会見もなく幕を閉じた。トランプが成果として誇ったのは農産物と航空機の購入合意という貿易ディールのみで、イランの核問題、ホルムズ海峡の再開、台湾問題——いずれも棚上げのまま持ち越された。

一方イラン交渉は再び暗礁に乗り上げている。5月10日にイランが回答を提出したが、トランプは即座に「全く受け入れられない」と拒否。停戦の期限は迫り、ホルムズはまだ開かない。

世界は「収束点」を失ったまま、5月第三週に入った。



1. アメリカ ディールの影、積み残しの重さ


  • 米中首脳会談が終わり、トランプは「大きな成果」を誇示したが、その内容は貿易分野に限られた。

  • ボーイングCEOオートバーグとシティグループCEOフレイザーを伴っての北京訪問は演出通りの「経済ショー」となり、中国による米国産農産物・航空機の購入拡大が合意された。

  • しかし、米中双方の懸案イランへの中国の影響力行使、台湾問題における戦略的曖昧さの維持については「引き続き協議」というあいまいな着地にとどまった。

  • 5月10日のトランプのSNS投稿は、進行中のイラン協議の詳細を公開し交渉を混乱させた。「合意目前」とも言われた状況がぶち壊しになり、停戦の行方は再び霧の中に入った。

11月の中間選挙を睨み、「成果」を急ぐトランプの焦りと、交渉の精緻さへの要求のあいだで、米外交は綱渡りを続けている。



2. ロシア 戦勝記念日と「待ち」の構造


  • 5月9日、モスクワ赤の広場で戦勝81周年の式典が行われた。

  • プーチンはウクライナ侵略を「NATOに武装・支援された勢力との戦い」と位置づけ、地上兵器パレードを省略した厳戒態勢の中で結束を強調した。

  • 停戦交渉は動いていない。ロシアが求める条件占領地域のロシア帰属、ウクライナのNATO加盟断念は変わらず、トランプの仲介は不調のまま一時停戦中も攻撃が継続している。

  • 北朝鮮部隊への謝意をプーチンが公に示したことは、この連携を今後も維持・深化させる意図を示す。

米中首脳会談でウクライナ問題が実質的に議論された形跡はなく、モスクワに急ぐ理由はいまだない。「待つ」ことが最善の戦略であり続けている。



3. ヨーロッパ SAFEの進捗と、エネルギーの崖


  • 欧州の制度設計は着実に進んでいる。SAFEの融資枠組みは19カ国参加・計1,500億ユーロで稼働中だが、その先に「使い切る体力」があるかどうかが問われ始めた。

  • エネルギー危機は数字として現れつつある。IEAが警告した「航空燃料備蓄6週間」はカウントダウンが進み、欧州委員会は加盟国に燃料不足への備えを求めている。

  • 米中首脳会談でホルムズ問題が実質的に前進しなかったことで、欧州のケープ航路依存はさらに長期化する可能性が高まった。

NATO加盟国として米国との関係を維持しながら、独自の安全保障・エネルギー設計を実費で進めるこの二重の負荷は今週も変わっていない。


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