見出し画像

ニュースで振り返る日本のコンビニ50年④~世界が注目する日本のコンビニはこうして生まれた~

第四章 フランチャイズという革命 ― なぜコンビニは全国へ広がることができたのか


一人ではできない。だから「みんなで広げる」という仕組みが生まれた

1970年代後半。

セブン-イレブンやローソン、ファミリーマートは確かな手応えを感じていました。

「コンビニは必ず伸びる。」

しかし、もう一つ大きな課題がありました。

全国に何千、何万という店舗を、自社だけで出店することは不可能だったのです。

土地を探し、建物を建て、従業員を雇い、店長を育成する。

これを本部だけで行えば、膨大な時間と資金が必要になります。

そこで採用されたのが、日本の流通業を大きく変えることになるフランチャイズ(FC)制度でした。


フランチャイズとは何か?


フランチャイズとは、本部(フランチャイザー)が持つブランドやノウハウを、加盟店(フランチャイジー)が活用して店舗を運営する仕組みです。

簡単に言えば、

「ブランドは本部、経営はオーナー」

という役割分担です。

本部は、

* 店舗運営のノウハウ
* 商品の供給
* 広告・宣伝
* システム
* 商品開発
* 経営指導

などを提供します。

一方、オーナーは、

* 店舗運営
* 従業員の採用・教育
* 地域のお客様への対応
* 売上向上への取り組み

を担います。

お互いの強みを生かしながら成長していく仕組みだったのです。


なぜ急速に店舗を増やせたのか


フランチャイズ最大のメリットは、出店スピードでした。

例えば、本部だけで100店舗を出店するには、多額の投資と人材が必要です。

しかし、地域のオーナーが資金や土地を活用して出店すれば、本部は短期間で多くの店舗を展開できます。

この仕組みによって、

1970年代には数十店舗だったコンビニは、

1980年代には数百店舗、

1990年代には数千店舗、

そして現在では全国で約5万6千店を超える巨大なネットワークへと成長しました。

日本全国どこへ行ってもコンビニがあるという光景は、このフランチャイズ制度なしには実現できなかったと言えるでしょう。


オーナーにも大きな魅力があった


加盟する側にも多くのメリットがありました。

例えば、

* 有名ブランドの看板が使える
* 開業前の研修が受けられる
* 商品を自分で仕入れる必要がない
* 全国規模のテレビCMの効果を受けられる
* 新商品が次々と提供される
* 売上データを分析できる

ゼロから自分で店を始めるよりも、成功の可能性が高いと考える人が多かったのです。

特に1980年代から1990年代は、脱サラしてコンビニオーナーになる人も増えました。

「自分の店を持つ」という夢を実現できる仕組みとして、多くの人が挑戦しました。


本部は何で利益を得ているのか


よく誤解されますが、本部は商品を売って利益を得ているだけではありません。

加盟店は、本部へロイヤリティ(加盟料・経営指導料)を支払います。

その代わり、本部は、

* 新商品の開発
* テレビCM
* システム開発
* 物流網の整備
* 店舗指導
* マーケティング

などを継続的に行います。

つまり、本部と加盟店は「売る人」と「支える人」という関係で成り立っているのです。


日本独自のフランチャイズへ進化


海外にもフランチャイズ制度はあります。

しかし、日本のコンビニは独自の進化を遂げました。

本部は単に商品を届けるだけではありません。

毎週のように店舗を訪問し、

* 売上を分析する
* 新商品の販売方法を考える
* 季節ごとの売場を提案する
* 地域イベントに合わせた品ぞろえを相談する

など、店舗運営を細かくサポートするようになりました。

この仕組みが、日本のコンビニの品質を世界トップレベルへ押し上げた理由の一つです。


フランチャイズだからこそ生まれた課題


もちろん、すべてが順調だったわけではありません。

店舗数が増えるにつれ、さまざまな課題も見えてきました。

例えば、

* 長時間労働
* 人手不足
* オーナーの高齢化
* ロイヤリティへの考え方
* 24時間営業の負担
* 後継者不足

こうした問題は近年、ニュースでも大きく取り上げられるようになりました。

特に2019年前後には、24時間営業の見直しを巡って本部と加盟店の関係が社会的な議論となり、「便利さ」と「働き方」のバランスが問われる時代へと入っていきます。

フランチャイズ制度は日本のコンビニを大きく発展させた一方で、新たな課題にも向き合う必要が出てきたのです。


フランチャイズを支える「縁の下の力持ち」


店舗が増えるほど、本部だけでは一店一店を見守ることはできません。

そこで誕生したのが、店舗と本部をつなぐ専門スタッフです。

セブン-イレブンではOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)、他社ではスーパーバイザー(SV)などと呼ばれています。

彼らは担当店舗を定期的に訪問し、売上分析や商品提案、店舗運営の相談などを行います。

実は、この存在こそが日本型コンビニを支える最大の特徴とも言われています。


次章予告


毎日のように店舗へ足を運び、売場づくりから経営相談まで支えるOFCやスーパーバイザー。

さらに、配送効率を高めるドミナント戦略、商品を無駄なく届ける共同配送、そして売上を支えるPOSシステム。

これらは世界中の小売業が注目する、日本独自の経営ノウハウです。

次章では、日本のコンビニが「世界一」と呼ばれる理由を支える経営システムの秘密に迫ります。


第五章 世界が驚いた日本のコンビニ経営術 ― 世界一の便利さを支える「見えない仕組み」 はこちら👇

第三章 コンビニ戦国時代 ― ライバルたちの挑戦が、日本のコンビニかを進化させた はこちら👇

いいなと思ったら応援しよう!