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なぜVIVANTはダントツの視聴率を維持できるのか。配信時代のテレビのポテンシャル

日曜劇場「VIVANT」が放送されるたびに、毎週様々なニュースがSNSでも話題になっています。

なにしろ「VIVANT」は第2シーズンが開始して5話目になりますが、毎週のようにXの世界トレンドも1位を獲得して5週連続1位となっていますし、ストーリーの展開だけでなく、大塚愛さんのサプライズ出演や、新たな謎の女性として登場したレイヤマダさんが話題になるなど、メディアで取り上げられる話題も多岐にわたっているのも印象的です。

その「VIVANT」の成功のわかりやすい指標の一つと言えるのが、今回も平均世帯視聴率が15.2%と、5週連続で15%以上をキープする快挙を成し遂げている点でしょう。
なぜ「VIVANT」は、ここまで高い視聴率を維持することができているのか、ポイントをご紹介したいと思います。
 

民放の地上波ドラマではダントツの視聴率

「VIVANT」の第2シーズンが1話目から18.8%という非常に高い視聴率でスタートした関係で、その後の視聴率が15%まで下がったことをネガティブに報じるメディアも発生していましたが、実はこの15%という視聴率でも、近年の地上波ドラマでは非常に高い数値と言えます。

なにしろ民放の地上波ドラマの視聴率は、ここ10年明確に減少傾向に拍車がかかっており、実は2023年に放送された「VIVANT」の最終回以来、平均世帯視聴率が15%を超えたドラマはありません。

しかも、実は「VIVANT」の第1シーズンにおいても平均世帯視聴率が15%を超えたのは最終回だけで、第1話は11.5%からスタートしています。
実は第2シーズンの視聴率は、第1シーズンの記録を上回り続けて推移しているのです。

明らかに「VIVANT」は、この数年の地上波ドラマの常識を上回るダントツの成功を成し遂げることができていると言えるでしょう。 

なぜ「VIVANT」がここまでダントツの視聴率を維持することができるのか。
特に注目したいポイントは下記の3点です。

■地上波ドラマの常識を超えた製作費を投下
■配信サービスと横断的に連動
■テレビ、ラジオ、イベントのメディアミックス

一つ一つ見ていきましょう。
 

■地上波ドラマの常識を超えた製作費を投下

まず「VIVANT」のこれまでの地上波ドラマとの分かりやすい違いと言えるのが、1話1億円を超えるとも言われる製作費です。

これまで民放の地上波ドラマの製作費は、平均で3000万円程度が限界と言われてきました。

これは民放の地上波ドラマの収益が、ドラマの間に差し込まれるテレビCMの収益が上限となっていたためです。

しかし「VIVANT」は第1シーズンから1話1億円を超える製作費を投じたと報道されており、シーズン2にいたってはそれがさらに1億2000万円前後に膨らんでいるのではないかと報道されています。

その結果、実は「VIVANT」の第1シーズンは大赤字に終わったと報道されていますが、少なくとも、これだけ製作費をしっかり投資して良いドラマを作れば、日本中を話題に巻き込むようなドラマを作ることができると証明したことは非常に大きかったと言えるでしょう。

なにしろ、Netflixなどの配信サービスが制作する海外ドラマでは、1話あたり数億円から10億円を超えるケースも存在します。

1話1億円という製作費は、ある意味で海外ドラマに見劣りしないドラマを作る上で最低限の予算とも言えるわけです。
 

■配信サービスと横断的に連動

さらに今回「VIVANT」が3年越しで第2シーズンを放送するにあたり、明確に注力したのが動画配信サービスとの横断的な連動です。

これまで民放の地上波ドラマの配信サービスでの配信というと、自社の系列の配信サービスであったり、一部の配信サービスにだけ限定的に配信するのが一般的でした。

しかし「VIVANT」は、「鬼滅の刃」などのアニメが実施しているように複数の配信サービスに横断的に第1シーズンを配信し、できるだけ多くの人が第2シーズン放送開始前に第1シーズンを振り返ったり視聴できるような環境を用意したのです。

その象徴的な成果と言えるのが、現時点でも「VIVANT」の第1シーズンがNetflix、Disney+、Prime Video、U-NEXTと、大手配信サービスの全てでランキングのトップ10に入っている点です。

現時点では「VIVANT」の第2シーズンを視聴できるのはU-NEXTだけですので、NetflixやDisney+などは第1シーズンだけでトップ10入りを果たしていることになります。

通常こうしたランキングには、地上波で放送中のドラマランク入りするのが多いことを考えると、過去作で安定してランク入りを続けているのは快挙と言えるでしょう。
明らかに「VIVANT」は、地上波ドラマと配信サービスの連携の新しい可能性を示していると言えます。
  

■テレビ、ラジオ、イベント等のメディアミックス

さらに「VIVANT」の第2シーズンの取り組みで印象的なのは、TBSが保有する全てのタッチポイントで立体的に「VIVANT」という作品の魅力を広げている点です。

「VIVANT」の第2シーズン開始前には、やりすぎではないかと批判が出るほど様々なTBSの番組に出演陣が顔を出して、ドラマの宣伝をしていたのも象徴的でしたし、さらに今回ならではの取り組みと言えるのが、毎週日曜日のドラマ放送後の23時にTBSラジオで放送されている「悪役会議室」でしょう。

このラジオでは第1シーズンで粛正された悪役達が集まり、第2シーズンを視聴者と同じタイミングで感想を語り合うラジオ番組になっており、SNSやネットメディアに毎週のように様々な話題を提供する人気番組になっています。

なにしろ、第4回後に放送された悪役会議室は、YouTubeにアップされている動画が200万再生を超えているほど。

また「VIVANT」ではリアルのイベントにも注力しており、「VIVANT」第2シーズン開始前には様々な上映会も実施していましたし、8月23日には代々木競技場の第一体育館で有料チケットを販売する形で1万人以上を集めたファンイベントも開催しています。

さらに9月16日からは「VIVANT」の世界に入り込む体験型イベント「VIVANT IMMERSIVE MISSION」を京橋のCREATIVE MUSEUM TOKYOで開始することを発表。

従来のテレビドラマでは考えられないほどの、多様なメディアミックスの展開を打ち出しているのです。
 

「VIVANT」はもはや単なるテレビドラマではない

こうした「VIVANT」を巡る一連の取り組みから明確に見えてくるのは、もはやTBSは「VIVANT」を単なるテレビドラマとして位置づけていないというメッセージです。

地上波のテレビドラマでは、1話1億円の製作費はテレビCMの収入だけではほぼ確実に回収できません。

ただ「VIVANT」というコンテンツを広い意味での「IP」として育て、多くのファンに寄って熱狂される息の長いコンテンツにすることができれば、TBSグループ全体でリターンを得ることができるという俯瞰的な視点に立っていると考えられるのです。

現在の「VIVANT」第2シーズンの放送後に、劇場版「VIVANT」が控えているのではないかと推測する報道が次々にメディアから出てくるのも、こうした「VIVANT」のメディアミックスを収益化する重要なパーツとして当然映画が控えていると考えられるからでしょう。

いずれにしても、ある意味で「VIVANT」が単なる地上波のテレビドラマであることを超越した視点に達しているからこそ、日本のテレビドラマとしてダントツの視聴率を維持しつづけているというのは非常に興味深い現象とも言えます。

実はテレビ局は、毎週の地上波放送という唯一無二の武器を持っているからこそ、今回の「VIVANT」のように毎週のようにSNSで世界トレンド1位を獲得するぐらい、大きな話題を毎週生み出すことができるとも言えます。

オワコンと叩かれがちなテレビ局ですが、実は視点を変えれば唯一無二の武器を保持している強力なドラマ制作スタジオになれるポテンシャルも秘めているわけです。

もちろん「VIVANT」が現在の勢いを維持したまま、第2シーズンの最終話まで駆け抜けることができるのかはまだ分かりません。

しかし、今回のTBSと「VIVANT」の挑戦が成功すれば、これからの配信時代における日本のテレビ局におけるドラマ制作の「常識」が大きく変わることになるはずです。

この記事は2026年8月26日Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。

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