見出し画像

【口は生活の場】"ちょうどいい"口腔ケア

戸越銀座デンタルケアークリニック 院長の大澤広晃です。
春の光が心地よく、戸越銀座の商店街にも半袖姿の方が目立つ季節になりました。
 
今回は「口の中は“生活の場”である」という視点から、日々の口腔ケアについて考えてみたいと思います。


口の内は“使う場所”であり、常に変化している

私たちは毎日、口を使って食べ、話し、笑い、生きています。
その意味で、口の中は「生活の場」といえるでしょう。
 
例えば、雑誌に出てくるようなモデルルームのように、いつも完璧に片付いた空間を保つのは現実的ではありませんよね。暮らしの中では、どうしても物が動き、汚れも発生します。
 
同じことが、口の内にも当てはまります。
 
食事をすれば、当然ながら食べかすが残り、唾液や細菌が混ざります。
これを完璧にゼロにするのは不可能です。
 
歯磨きやうがいによってある程度清掃できますが、数時間後にはまた食事をし、元に戻ります。
 
だからこそ、完璧を求めるよりも、生活の一部として口の内を整えるという視点が大切だと考えています。

歯磨きは「シャンプー」と似ている

歯みがきとシャンプーには、意外な共通点があります。
 
私は時々「子どもにいつからひとりで歯を磨かせていいですか?」という質問を受けますが、そんなときは「目を閉じてひとりでシャンプーができるようになったら、歯みがきも任せて大丈夫ですよ」とお答えしています。
 
年齢ではなく、その子の発達や動作の細かさを見るという意味で、いい目安になるんです。
 
逆に、高齢になるとシャンプーや歯みがきが少しずつ難しくなってきます。
私は福祉施設でも診療を行っていますが、指の動きがゆっくりになり、細かな口腔ケアが行き届かなくなる場面を多く見かけます。
 
シャンプーで髪の毛がしっかり洗えているかどうか。
それは、歯みがきの質を知るためのひとつの指標にもなります。

完全にキレイにするのは不可能です

むし歯や歯周病の原因は「細菌」です。
そのため「とにかく磨けばいい」と思われる方もいらっしゃいますが、完全に細菌を取り除くことは不可能です。
 
口の内にはおよそ700種類の常在菌が存在し、よく磨く人でも1000億個以上の細菌がいるといわれています。
 
たとえ10分、20分、30分とかけて鏡の前で熱心に磨いても、細菌をゼロ無菌状態にすることはできませんし、力の入れすぎや磨き過ぎは歯や歯茎を傷つける原因にもなります。
 
歯磨きは「キレイにしなければならない」という義務ではなく、「今日も気持ちよく食べて笑うための習慣」として捉えてみてください。

口臭の原因は“乾燥”ということもある

「口臭が気になるのですが、何が原因でしょうか?」というご質問もよくいただきます。
 
もちろん、むし歯や歯周病、舌の汚れなど、さまざまな要因が関係しますが、意外と見落とされやすいのが「乾燥」です。
 
唾液には、細菌の繁殖を抑えたり、汚れを流したりする働きがあります。
しかし、加齢や薬の副作用、口呼吸などの影響で唾液の分泌量が減ると、口の内が乾燥しやすくなります。
 
乾燥状態が続くことで、においの元になる物質が増え、口臭が強く感じられることがあるのです。
 
また、歯ブラシで見えにくい部分を力強く磨きすぎてしまい、歯ぐきに傷がついてしまうことも。そうした小さな出血が乾燥して独特のにおいを発することもあります。
 
いずれにしても、口臭は一時的な生活習慣によるものから、全身の健康状態に関連する場合まであります。
 
「気になる」と思われた頃に、歯科へ一度相談にいくのも選択肢の一つです。

肩の力を抜いて、続けられる口腔ケアを

歯科医師としての立場から、もちろん「予防の重要性」は大前提です。
ただ、「正しさ」に縛られて毎日が息苦しくなるなら、それは本末転倒です。
 
口の内もまた、日々を支える「生活の場」であることを忘れずに。
ご自身のリズムにあった口腔ケアを見つけていきましょう。
 
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
今回の記事は以上です。

<おまけ4コマ漫画>

©漫画_亞有

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集