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お父さんの作った「お風呂検定」で兄弟がバチバチにケンカする話


僕が小学4年生、弟が5歳の時の話です。

休日になると、お父さんと僕と弟で、よく一緒にお風呂に入っていました。湯船に仲良く、3人で浸かって癒されるのです。

頭や身体をシャワーで洗うのは、順番こ。5歳の弟はまだ自分で洗うどころか、髪の毛にシャンプーがつくことすら苦手な感じなので、お父さんが代わりに洗ってあげていました。

その時に弟が洗髪を嫌がらずに楽しめるよう、工夫して生み出されたのが「お風呂検定」です。

まだ濡れていない弟の頭と髪の毛にシャワーをかける前に、まずお父さんが号令をかけるのです。

「お風呂検定、スタート!」

それを聞くと弟はバシャバシャと、右腕と左腕を犬かきのように掻き回しまくります。

「はいスタートしたよ、凄い凄い、凄いスピードで進んでいる! あっという間に25メートルだ〜〜〜!」

お父さんは実況しながら、シャワーで存分に弟の髪の毛を濡らし、シャンプーを馴染ませ、ゴシゴシと髪の毛を洗ってやるのです。その間も弟は一生懸命、両手をもがくようにじたばたさせ、泳いでるつもりで頑張っている。

「はい50メートル! 75メートル! 100メートル! 物凄い泳ぎ! 誰も追いつけない物凄い泳ぎ〜〜〜!」

スイミングスクールに通い始めた弟は、泳げるようになりたいけど、まだプールにもぐるのも怖い段階で、検定もなかなか受からない。そんな弟が泳げるようになるためのイメージトレーニングであり、かつ苦手なシャンプーを我慢できる、一石二鳥な頭の洗い方なのでした。

「はあい、ゴールイン! 250メートルも泳げちゃった! お風呂検定、大合格〜〜〜!」

お父さんが頭を洗い終わると、弟はじたばたしていた両手を止め、「やったあ!」とニコニコ大はしゃぎ。


小4の僕は湯船に浸かりながら、そんな弟の喜ぶ姿を、「こいつ裸ん坊で何やってんだろう」と心の中で小馬鹿にしつつも、微笑ましく見つめていたのでした。


しかしある日、見過ごせない事件が勃発します。


「ボクは250メートル泳げるんだ!!!」


なんと、弟がイキり始めてしまいました。お風呂検定の結果を鵜呑みにして、調子に乗り始めてしまったのです。


「お兄ちゃんっていま何メートル泳げるの?」


「25メートルかなぁ」


「えーそれしか泳げないんだぁ! だっさぁ!」


あろうことか僕にマウントとってくる始末!


なんでもぐることもロクにできない奴に25メートル泳げることをバカにされなきゃいけないんだ!!! と怒ると、

「だってお風呂検定で250メートル泳げたんだもん!!!」

と居直る弟! 強がりで言ってんじゃなくて本気で思ってやがる……!

おまえ現実で25メートル泳ぐのがどれだけ大変か知らないだろう!!! 5歳が250メートル泳がされたら絶対お陀仏だぞ!!!

正論を思いっきりぶつけるも、5歳の弟にはてんで効果なし。完全に、「ボクの方がお兄ちゃんより凄いんだ」モードに。


それにキレた僕は、こいつをグーの音も出ないほどに叩きのめさねばならないと決意し……、


「お風呂検定、スタート!」


お父さんに相談して、弟が湯船に浸かっている間にお風呂検定に参戦!!!


「はいスタートしたよ、凄い凄い、異次元の速さ! あっという間に100メートルだ〜〜〜!」

僕はもうサンタクロースがいないこともわかっている成熟した小学4年生なのに、裸ん坊でお父さんに頭を洗ってもらいながら必死に、全身全霊の力を込めて右腕と左腕をじたばたさせまくった!!!笑笑笑

「200メートル、300メートル、400メートル、500メートル〜〜〜!!! お風呂検定、世界新記録〜〜〜!!!」


そして弟の記録の2倍の500メートルという前人未到の大記録を叩き出した!!!笑笑笑


お兄ちゃんの実力に目を丸くする弟。スゴいと感激、負けたと賞賛。僕にお風呂検定でマウントをとってくることはなくなったのでした……。




お兄ちゃんとして負けられない戦いがある。




……そしていま、弟は結婚して娘が2人いる。(人生的にお兄ちゃんにボロ勝ち)


まだ小さいけど、いつか姉妹でお風呂検定に挑戦する日が、くるのかもしれないね。


弟パパのさじ加減、果たして何百メートル泳がせるのか、伯父さんは楽しみです!!


おしまい



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