アーサー・エルゴット | モデルとミューズ
そのむかし、ちょっと憧れていた先輩の事務所の本棚にあって、ボリューム感のある背表紙の新鮮なイエローが目にとまって手に取ったら、それはもう、オシャレな感じ!だったことを思い出して、先日、古本屋で見つけた写真集「アーサー・エルゴット/モデル・マニュアル」(Arthur Elgort: Models Manual)。
1990年代初頭、スーパーモデルという言葉がキラキラと輝き始めた頃の空気が、ふわっと立ち上がってきました。

アーサー・エルゴットの写真って、いわゆる“完成されたファッション写真”とは少し違っていて、撮影の合間の笑顔や、ふとした仕草みたいな、肩の力が抜けた瞬間をすくい取っているんですよね。あの頃からずいぶん長い年月がたっていて、もうスーパーモデルの時代でもないけれど、懐かしくも、新鮮さは消えていませんでした。

ナオミ・キャンベルやシンディ・クロフォードも、遠い存在じゃなくて、どこか親しみのある“ひとりの女性”として写っているのが印象的、カラーとモノクロが混ざった構成は軽やかで、最後まで気持ちよく眺められるのも魅力だと思います。ファッション・ブームの最中に発行されて、ベストセラーだったそうです。

この写真集とセットになっていると思うのは、息子のワレン・エルゴット(Warren Elgort)が監督したドキュメンタリー映画『Arthur Elgort: Models & Muses』。この写真集の世界を検証するように、現代の視点で映像化しています。(予告編を引用します)

2025年のハンプトン・インターナショナル・フィルムフェスティバルでプレミア上映された作品で、90年代のファッションシーンを“今の視点”から振り返っていきます。あの頃のスーパー・モデルたちや、VOGUE編集長、アンナ・ウィンターのインタビューもあって、当時の熱気や、なぜあの時代のファッションが特別だったのか、予告編でワクワクしました。

写真集がその瞬間の空気をそのまま閉じ込めた“生の記録”だとしたら、映画は少し時間を置いて、その意味をそっとすくい上げてくれる存在。日本ではまだ公開予定がないみたいですが、だからこそ、こうして見ておきたい一作だなと思います。

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