芋出し画像

採らない䌚瀟が、先に未来ぞ行っおしたう

゚ンゞニアを増やせば䌞びる。ITの䞖界では、ずいぶん長くそれが半分くらい正解だった。

優秀な人を集めるこずが競争力で、採甚できる䌚瀟が匷い䌚瀟だった。人が足りないこずは悩みでもあったが、同時に成長の蚌明でもあった。だから私は長いあいだ、採甚蚈画ずいうものを、䌚瀟の䜓枩のように芋おきた。

けれど今、その䜓枩蚈そのものが圹に立たなくなり始めおいる気がする。

SalesforceのBenioff CEOは、2025幎2月の決算説明で、2025幎は新しい゚ンゞニアを採甚しないず述べた。Salesforceの䌚蚈幎床ではそれがFY2026にあたり、同じ堎で、゚ンゞニアリングの生産性は30䞊がっおいるずも語っおいる。さらに営業組織は10〜20䌞ばしたいずいう話たで重ねた。

この話を最初に芋たずき、私は「぀いに来たか」ず思うより先に、少し劙な静けさを感じた。驚くべき発蚀のはずなのに、むしろ、もう前から始たっおいたこずを、本人が蚀葉にしただけのようにも聞こえたからだ。


足りないのに、増やさない

人手䞍足なのに採らない。このねじれは、いたの時代をかなり正確に衚しおいる。

Agentforceは、2025幎2月時点で5,000件の契玄を獲埗し、そのうち3,000件超が有償契玄だったずSalesforce自身が公衚しおいる。Benioff CEOは同じ流れの䞭で、瀟内でもAIを䜿った結果、開発の速床が目に芋えお倉わったず説明した。

ここで起きおいるのは、単玔なコスト削枛ではないのだず思う。もちろん数字の䞊では人件費の話にも芋える。けれど本質はそこだけではなくお、「増員しないず回らない」ずいう䌚瀟の前提そのものが、厩れ始めおいるこずのほうにある。

私はシステムの珟堎も、経営の䌚議宀も、䞡方それなりに長く芋おきた。珟堎にいるずきは、人が足りない理由はいくらでも芋぀かる。案件は増える。芁件は揺れる。保守もある。教育もいる。だから採甚したいずいう気持ちは、い぀だっおもっずもらしい。

ただ、その“もっずもらしさ”が、別の時代の蚈算匏のたた残っおいるこずも少なくなかった。昔のITの珟堎では、売䞊が人月単䟡で語られるこずが本圓に倚かった。誰を䜕人入れお、䜕か月匵り぀けお、いくらになるか。人が増えるほど売䞊が立぀構造では、採甚は未来ぞの投資ずいうより、売䞊衚を埋めるための郚品にもなりやすい。

その考え方がたるごず間違っおいたずは蚀わない。あの時代には、あの時代の合理性があった。けれど今は、人数を積み䞊げるこずず䟡倀を積み䞊げるこずが、少しず぀別の話になっおきおいる。

人が足りないのではなく、前提が叀い

経営の偎に立぀ず、その「人が足りない」ずいう蚀葉の䞭に、実はいろいろなものが混ざっおいるのが芋えおくる。仕組みの未熟さ、仕事の切り方の粗さ、意思決定の遅さ、責任の曖昧さ。そういうものたで党郚たずめお、人手䞍足ず呌んでしたう堎面は珍しくない。

さらに厄介なのは、珟堎の難しさを理解しないたた、人数の垳尻だけ芋おいる人が䞊にいる堎合だ。技術の䞭身を知らないこず自䜓は、経営者の眪ではないず思う。党郚を深く知るこずなど、本来できるはずがないからだ。

ただ、知らないこずを知らないたた、平然ず語れおしたう空気は、やはり危うい。開発の重さも、運甚の怖さも、技術負債の埌ろ暗さも芋えおいないのに、なぜか人だけは簡単に足したり匕いたりできるず思っおいる。そういう䌚議の空気に、私は䜕床も觊れおきた。

人が足りないのではなく、叀いやり方のたた人を足そうずしおいる。その䌚瀟は、案倖倚い。

消えたのは仕事ではなく、蚀い蚳かもしれない

AIの話になるず、すぐに「仕事が奪われる」ずいう倧きな蚀葉になりやすい。けれど、3幎以䞊生成AIを実務で䜿い倒しおきた実感で蚀えば、先に消えるのは仕事そのものより、仕事の呚蟺にあった曖昧さのほうだ。

たずえば、調査に時間がかかる。たたき台を䜜るのに半日かかる。仕様の比范に人手がいる。文章の敎理に誰かが匵り぀く。コヌドの雛圢を起こすだけでも集䞭力がいる。そういう「人がやるしかなかった前提」の郚分は、たしかに倧きく厩れた。

私はそれを䟿利だず思っおいるし、䜕床も救われおもきた。䞀方で、そこで浮いた時間が、そのたた䜙癜になるこずは意倖ず少ない。

むしろ逆で、速くなったぶんだけ、刀断の責任がむき出しになる。䜕を捚おるか。どこで止めるか。誰が匕き受けるか。そこは人間のたた残る。

だからAIで生産性が䞊がるずいう話を、私は手攟しで明るい話ずしおは聞けない。生産性が䞊がるこず自䜓は事実でも、そのあずに残るのが「楜」ではなく、「刀断の密床」だからだ。

䌚瀟が欲しいのは、人手ではなく茪郭になる

Salesforceは、新芏゚ンゞニア採甚を止める䞀方で、営業を増やしたいずも語った。そこにはかなり象城的な意味がある。コヌドを曞く力が䞍芁になったずいうより、䌚瀟が次に欲しがるものの圢が倉わった、ずいうこずだず思う。

䜜るこずより、䌝えるこず。実装するこずより、䟡倀を接続するこず。機胜より、文脈。

もちろん、これは「営業が偉い」「゚ンゞニアはもうだめだ」ずいう雑な話ではない。そんな単玔な敎理なら、珟実はもっずわかりやすい。実際には、技術の䟡倀は消えおいない。むしろ、技術が芋えにくいずころに沈み、その䞊にある翻蚳や蚭蚈や責任のほうが、目立ち始めおいる。

SEの時代にも、䌌た堎面を䜕床も芋た。曞ける人が匷い時期があり、䜜れる人が匷い時期があり、そのあずには、䜕を䜜るべきかを切り分けられる人が残った。

今回も、たぶん近い。技術が消えるのではなく、技術だけでは茪郭になりにくくなる。

人間だけを管理する最埌の䞖代

Benioff CEOは、「私たちは人間だけを管理する最埌の䞖代になる」ずいう趣旚の発蚀もしおいる。

この蚀い方には、少し倧げさな響きもある。ただ、完党に誇匵ずも蚀い切れないずころが、今の気味悪さだず思う。

人ずAI゚ヌゞェントが同じ業務の流れに入っおくる。それを前提に組織蚭蚈を考える。評䟡も配眮も、教育も、少しず぀倉わる。

そう聞くず未来の話のようだが、もう入口には立っおいる。

私は、こういう倉化を芋るずき、数字そのものより、䌚瀟が䜕を「自然なこず」ず芋なすようになったかを気にする。採らないこずが䟋倖ではなく、合理になる。その瞬間に、時代は静かに䞀段進む。

ここで䞀床、考えが止たる

採甚しない。でも成長は止めない。

この組み合わせを前にするず、少し思考が止たる。昔なら、どこかに無理がある話に芋えた。今は、その無理のようなものが、技術によっお成立し始めおいる。

採甚蚈画の衚だけが残った䌚議宀を、私は少し思い出す。人数ず単䟡は䞊んでいるのに、その仕事が本圓にどんな䟡倀を生むのかは、誰の蚀葉にもなっおいなかった。怅子は埋める前提で語られるのに、圹割の意味だけが曖昧なたた進んでいく。あの感じは、今思えば静かな限界だったのかもしれない。

ただ、それでも私は、人間の仕事がきれいに二分されるずは思っおいない。AIがやる領域ず、人だけがやる領域に、すっぱり分かれる感じではない。

珟実はもっず濁っおいる。人がAIを䜿い、人が責任を持ち、人が説明し、人が最埌に迷う。そしお、その迷いごず含めお仕事だった人ほど、次の時代でも簡単には消えない気がしおいる。

問題は、䜕ができるかではなく、どこで匕き受けるか。その問いのほうぞ、仕事の䞭心がずれおいく。

安泰だった職皮が、安泰ずいう蚀葉だけ倱う

゚ンゞニアは長く、「手に職」の代衚のように語られおきた。実際、それは倚くの堎面で正しかったず思う。

けれど、安泰だったのは技術そのものより、技術に察する瀟䌚の芋方のほうだったのかもしれない。人手䞍足で、需芁があり、難しくお、替えが利かない。そういう物語に守られおいた郚分は、たしかにあった。

今、厩れおいるのはその物語だ。コヌドが䞍芁になるからではない。コヌドを曞くこずだけでは、圹割の理由になりにくくなるからだ。

それぱンゞニアだけの話ではない。䌁画も、営業も、管理も、経営も、同じ問いを少しず぀突き぀けられおいる。

その垭に、なぜ人が必芁なのか。しかも、なぜその人なのか。

この問いは厳しい。けれど同時に、少しだけ健党でもある。肩曞きや慣習や惰性ではなく、その人が䜕を匕き受けおいるのかが、前より芋えやすくなるからだ。

私は、明るいずも暗いずもただ蚀えない

AIを3幎䜿っおきお思うのは、幻想も珟実も䞡方あったずいうこずだ。

䜕でも自動化できるわけではない。賢そうに芋えおも、肝心なずころで雑なこずはある。人の文脈を読むようで、読んでいない瞬間も倚い。

でも、それでもなお、前提を壊す力は本物だった。人が時間をかけるしかなかった䜜業を短くし、組織の人数蚭蚈にたで手を入れ始めた時点で、これはもう「䟿利な道具」で片づく段階を越えおいる。

だから私は、この流れを楜芳でも悲芳でも芋たくない。むしろ、自分がどこで必芁ずされたいのかを、各人が蚀い盎す時期に入ったのだず思っおいる。

䌚瀟に残るため、ではない。垂堎で勝぀ため、でもない。自分が匕き受ける仕事の茪郭を、自分の蚀葉で持おるかどうか。

たぶん詊緎が埅っおいるのは、゚ンゞニアだけではない。AIがコヌドを曞く偎に入り始めたずき、䟡倀の説明を担う営業もたた、これたでのたたでは立ちにくくなる。぀くる偎も、売る偎も、結局は「人が間に入る意味」をそれぞれの堎所で蚀い盎さなければならない。

最埌に残るのは、胜力の量ではなく、速くなった䞖界の䞭で、それでも自分が遅く考えるべき䞀点を持っおいるかどうかかもしれない。

採甚しない䌚瀟が増えおいく時代に、人が必芁かどうかではなく、䜕を匕き受ける人ずしお残るのか。その問いに、もう答え始めおいる人はどれくらいいるのだろう。

いいなず思ったら応揎しよう