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宇宙の謎に迫る!世界最高感度の検出器が「ダークマター」の正体を絞り込む カリフォルニア大学

■宇宙の95%を占める「見えない物質」の正体とは
私たちが住むこの宇宙。目に見える星や銀河は、実は宇宙全体のほんの一部に過ぎない。宇宙の質量の大部分を占めるのは、光を発せず、直接観測することができない謎の物質「ダークマター(暗黒物質)」だ。その正体を突き止めることは、現代物理学における最大の謎の一つとされている。
そんな中、世界で最も高感度なダークマター検出器「LUX-ZEPLIN(LZ)」が、これまでにない精度でダークマターの候補を絞り込むことに成功した。カリフォルニア大学サンタバーバラ校を含む国際研究チームは、2025年に発表した最新の研究結果で、ダークマターの有力候補とされる「WIMP(ウィンプ:弱く相互作用する重い粒子)」の可能性を大幅に限定したのである。

■地下1マイルの巨大実験施設
LZ検出器は、サウスダコタ州の地下約1.6キロメートルという深い場所に設置されている。なぜこんな地下深くに設置する必要があるのか。それは、宇宙から降り注ぐ宇宙線や、地上の自然放射線といった「ノイズ」から検出器を守るためだ。
検出器の中心部には、10トンもの超高純度液体キセノンが満たされた二重のチタン製タンクが設置されている。キセノンは非常に密度が高く、外部からの影響を極限まで遮断できる理想的な環境を作り出す。もしWIMPがこの液体キセノンの原子核に衝突すれば、ビリヤードの玉が当たるように原子核が動き、その際に発せられる微弱な光と電子を検出できる仕組みだ。
さらにこの中心部を取り囲むのが、ガドリニウムを添加した液体シンチレータで満たされた大型の「外部検出器」である。この多層構造こそが、LZの高感度を実現する秘密なのだ。

■「偽物」を見破る技術の粋
ダークマター検出で最も難しいのは、WIMPに似た信号を出す「偽物」を見分けることだ。特に厄介なのが中性子である。中性子もキセノン原子核と反応し、WIMPと全く同じ信号を出してしまう。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のハリー・ネルソン教授が主導した外部検出器の設計は、まさにこの問題を解決するためのものだ。
「中性子の厄介なところは、キセノン原子核と相互作用して、WIMPと見分けがつかない信号を出すことです」と、研究チームのマケイラ・トラスク氏は説明する。外部検出器は中性子の検出に優れており、もし外部検出器が反応しなければ、それは真のWIMP候補である可能性が高いと確認できる。逆に外部検出器が反応すれば、その信号は「偽物」として除外されるのだ。
また、放射性物質のラドンも注意が必要だ。ラドンは特定の崩壊系列を経て、その一部がWIMPと誤認される可能性がある。今回の研究では、検出器内でラドンの崩壊系列全体を追跡することで、これらを正確に識別し、WIMPと混同しないようにする技術が確立された。

■人間の「思い込み」を排除する「塩漬け」手法
興味深いのは、研究チームが採用した「ソルティング(塩漬け)」という手法だ。これは、データ収集中に偽のWIMP信号を意図的に混入させ、最後の「アンソルティング(塩抜き)」まで本物のデータを隠すというものである。
なぜこんな面倒なことをするのか。それは、研究者の無意識のバイアスを排除するためだ。「未踏の領域でダークマターを探索する際、人間はデータにパターンを見出したがる傾向があります」と、スコット・ハセルシュワート氏は指摘する。「もし発見をするなら、それを正確に行いたい」
この厳密な手法により、研究チームは280日分のデータ(2023年3月から2024年4月までの220日間と、以前の60日間を合わせたもの)を分析し、これまでで最も弱いダークマター相互作用まで探索した。

■絞り込まれるWIMPの可能性
今回の結果によって、WIMPがどのような性質を持つ可能性があるかの範囲が劇的に狭まった。発見には至らなかったものの、「粒子を発見できなくても、ダークマターが何であるかの境界を設定できることは、素粒子物理学にとって重要です」と、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のヒュー・リピンコット教授は述べる。
この成果により、世界中のダークマター研究者は、より焦点を絞った探索が可能になり、誤ったモデルを排除できるようになった。LZ実験は2028年まで続けられ、最終的には1000日分のデータを収集する予定だ。

■次世代への展望
LZ実験は、単にダークマターを探すだけではない。太陽からのニュートリノ、特定のキセノン同位体の稀な崩壊、その他のタイプのダークマターなど、多様な物理現象にも感度がある。研究チームは既に次のデータセットの分析を楽しみにしており、さらに質量の小さいダークマターを探索する新しい分析技術の開発も進めている。
また、LZをさらに改良する可能性や、次世代のダークマター検出器「XLZD」の計画も進行中だ。
宇宙の大部分を占めながら、いまだ謎に包まれたダークマター。その正体解明に向けた人類の挑戦は、地下深くで着実に前進している。

詳細内容は、カリフォルニア大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 青山龍星/No.7

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