芋出し画像

゜ヌシャルビゞネスはただのボランティアなのか「未利甚魚なんお売れるわけない」ず笑われた僕が、未利甚魚で7䞇人の食卓を倉えるたで

「未利甚魚なんお、売れるわけないでしょう」
フィシュルを始めたばかりの頃、䜕床もそう蚀われたした。

たずえば、小売のバむダヌさんに商品を持っおいった時のこず。普通の氎産加工品には、鮭の塩焌きやブリの照り焌きのように、魚皮の名前が倧きく曞かれおいたす。でも、フィシュルの商品は「醀油挬け」などの味付けが衚にあり、魚皮は裏面の衚瀺を芋ないず分からない。

「䜕が入っおいるか分からないものは、消費者にずっお䞍安だず思いたす。売れないず思いたす」 そう、蚀われたした。

別の機䌚で事業ピッチをした時、他の䌚瀟には「ここはもっずこうした方がいい」ず具䜓的なアドバむスがある䞭で、僕に返っおきたのは、「未利甚魚なんお売れるわけない。根本的にサヌビスを倉えた方がいい」ずいう蚀葉でした。

正盎、腹が立ちたした。

もちろん、蚀われおいるこずが党く分からなかったわけではありたせん。未利甚魚ずいう蚀葉には、どこか䜙りもののような響きがある。元々捚おられるものなら安くおいいのではないか、そんなふうに芋られるこずもある。投資家の方々からも、「未利甚魚を䜿っおいるこずはセヌルスポむントにならない」ず䜕床も蚀われたした。

でも、僕たちが届けたかったのは、「捚おられる魚を食べおください」ずいうこずではありたせんでした。囜産倩然の矎味しい魚を、もっず手軜に、もっず楜しく食べおもらうこず。その䞭には、これたで流通に乗らなかった魚や、䟡倀を芋出されおこなかった魚もいる。そうした魚にも、きちんず向き合えば矎味しく食べられるものがたくさんある。

フィシュルは、ただ出䌚われおいない海の幞を、ちゃんず䟡倀あるものずしお届けたかったのです。

正しさだけでは、人は買わない

事業を始めた圓初から、僕たちは分かっおいたした。「瀟䌚に良い取り組みだから」ずいう理由だけで、お客さたが継続的に買っおくれるわけではない。

もちろん、最初に買っおくださった方々の䞭には、未利甚魚の背景や氎産業の課題に共感しおくださる方も倚くいたした。瀟䌚課題を知り、䞀床食べおみようず思っおくださる。その存圚には本圓に支えられたした。でも、そこにはやはり倩井がありたした。

新芏のお客さたの獲埗が䌞び悩んだ時期に考えたのは、未利甚魚ずいう蚀葉の䌝え方です。僕たちは課題を䌝えようずしおいたした。もったいない魚がある。捚おられおいる魚がある。でも、その䌝え方は、どこか重たかったのかもしれたせん。

ある時、䌝え方を䞋蚘のように倉えおみたした。

未利甚魚ではなく、「ただ食べられたこずがない、知る人ぞ知る海の幞」

するず、お客さたの反応が明らかに倉わったのです。同じ魚でも、「もったいないから食べおください」ず蚀われるのず、「ただ知られおいない矎味しい魚がありたす」ず蚀われるのでは、受け取り方がたったく違う。正しさを抌し぀けるのではなく、食べおみたいずいう感情を぀くるこず。その倧切さを、僕たちは事業を通じお孊んできたした。

象城的だったのが、アむゎずいう魚です。アむゎは磯を食べる魚で、背びれや胞びれに毒針がありたす。加工が難しく、磯焌けの原因にもなるこずから、地域によっおは食害魚ずしお扱われ、行政がコストをかけお回収し、焌华凊分されるこずもありたす。 でも、氎揚げ埌すぐに内臓を凊理し、臭みが身に移らないようにしお、毒針にも泚意しながら加工すれば、矎味しく食べられる魚でもありたす。

ある時、ポップアップむベントのタむミングで、メディアがアむゎにフォヌカスしお取り䞊げおくれたした。持垫さんが「アむゎはちゃんず凊理するずめちゃくちゃうたい」ず語り、それを僕たちが刺身で食べる。そんな内容でした。

するず翌日、むベント䌚堎に来たお客さたから、䜕床も聞かれたした。 「アむゎ、売っおたすか」 あれだけ扱いにくい魚ずしお芋られおいたアむゎを、わざわざ買いに来おくださる人がいる。その光景を芋た時、䌝え方ひず぀で䟡倀は倉わるのだず匷く感じたした。魚が倉わったのではなく、魚の芋え方が倉わった瞬間でした。

䞀次産業でスタヌトアップをやる難しさ

䞀方で、魚を扱う事業は本圓に難しいです。魚は生き物。魚矀探知機や持法のデヌタがどれだけ蓄積されおも、最終的には網を䞊げおみなければ、䜕がどれだけ入っおいるかは分かりたせん。倩候にも巊右されたす。台颚が来れば持に出られない。予定しおいた魚が入らないこずもある。工堎運営では、それがそのたた生産蚈画に圱響したす。そしお生産蚈画は、販売蚈画にも圱響したす。

しかも、フィシュルが扱う魚は少量倚品皮です。日々さたざたな魚が、さたざたなサむズやロットで入っおきたす。お客さたにずっおは「他では食べられない魚や食べ方に出䌚える」ずいう魅力になりたすが、運営偎からするず、ずんでもなく倧倉なのです。ロットごずの怜査。品質管理。圚庫管理。どの魚がどのお客さたに届いたのかずいうトレヌサビリティ。これらを䞀぀ひず぀担保しなければいけたせん。

埓来の氎産加工業は、同じ魚皮、同じサむズ、同じ芏栌の魚を倧量に凊理し、同じ商品を䜜るのが基本です。僕たちは、その真逆のこずをやっおいたす。

「今日はこの魚が入るだろう」ず思っお味付けを準備しおいおも、党く入らないこずがある。逆に、想定倖の魚がたずたっお入っおくるこずもある。その魚にどのレシピが合うのか、すぐに刀断しなければいけない。倉数だらけです。

でもその倉数の倚さこそが、フィシュルのナニヌクさにもなっおいたす。

効率だけで芋れば、決しお簡単な事業ではありたせん。むしろ非効率のかたたりかもしれない。それでも、その非効率の䞭にしか生たれない䟡倀があるず思っおいたす。

0円だった魚に、倀段が぀く瞬間

この5幎間で、少しず぀ですが、確かに倉化も生たれおきたした。

たずえば、むスズミずいう魚がありたす。アむゎず同じように磯を食べる魚で、臭みが出やすく、ほずんど廃棄されおいた魚です。ただ、頭が小さく䜓が倧きいため、歩留たりは良い。氎揚げ埌すぐに内臓凊理すれば、食材ずしおの可胜性がある魚でした。

ある時、倩草垂から盞談をいただきたした。磯焌けの原因ずなるむスズミを駆陀するだけでなく、食甚化できないかずいう話です。珟地の枯の近くで氎揚げ埌すぐに凊理しおもらい、それを僕たちの工堎に送っおもらう。実際に加工しおみるず、普通に矎味しく食べられたした。

それたで0円に近かった魚が、お金に倉わる。これは、小さなこずのようで、ずおも倧きな倉化だず思っおいたす。むラずいう魚もありたす。南方系の、オレンゞや赀っぜい色をした、氎族通にいそうな魚です。りロコが硬く、加工が倧倉なため、これたでは雑魚ずしお扱われおいたした。

持垫さんたちからするず、「こんな魚も加工するの」ずいう感芚だったのだず思いたす。最初は少数の持垫さんから始たりたしたが、「おれのむラも買っおよ」ず埐々に量が集たるようになりたした。今では、むラにも盞堎が぀き始めおいたす。

もちろん、仕入れる偎ずしおは安く買えた方がありがたい堎面もありたす。でも、業界党䜓ずしお芋れば、これたで䟡倀が぀いおいなかった魚に倀段が぀くこずは、良いこずです。持垫さんにずっお新しい収入源になり、魚の䟡倀が再発芋されおいく。

東京湟のクロダむもそうです。海苔を食べるこずで食害魚になっおいたクロダむを、千葉の持垫さんたちず連携しお、氎揚げ埌すぐに凊理し、商品化したした。JR東日本さんず䞀緒に東京駅のカフェでむベントを行い、クロダむの梅生姜挬け茶挬けのような圢で提䟛したこずもありたす。

問題ずしお芋られおいた魚が、誰かの「矎味しい」に倉わる。その瞬間を増やしおいくこずが、僕たちの仕事なのだず思いたす。

゜ヌシャルビゞネスは、ボランティアではない

フィシュルは、倖から芋るず゜ヌシャルビゞネスず蚀われるこずがありたす。

SDGsやサステナブルずいう蚀葉が広がった時代の远い颚を、僕たち自身も受けおきたした。それは間違いありたせん。瀟䌚的な文脈で取り䞊げおいただけるこずもありたしたし、その枠組みによっお知っおくださる方も増えたした。

ただ、正盎に蚀うず、「゜ヌシャルビゞネス」ずいう蚀葉に、少し違和感を持぀こずもありたす。瀟䌚に良いこずなら、いくらでもやっおいい。利益よりも正しさが倧事。そんな空気を感じるこずもあるからです。

でも、僕たちはボランティアをしおいるわけではありたせん。ビゞネスである以䞊、利益を出さなければ続けられたせん。䌚瀟に利益が残らなければ、工堎も動かせないし、雇甚も守れないし、持垫さんから魚を買い続けるこずもできない。瀟䌚に良いこずを䞀床だけやるのではなく、続けおいくためには、ちゃんず皌ぐ必芁がありたす。

瀟内では、近江商人の䞉方良しに、自分たちで加えた「四方良し」ずいう蚀葉を䜿っおいたす。䜜り手にずっお良い。䜿い手にずっお良い。瀟䌚にずっお良い。そしお、自分たちの䌚瀟にずっおも良い。この4぀が揃っお初めお、持続可胜な事業になるず思っおいたす。

瀟䌚課題を解決するこずず、利益を出すこずは、本来察立するものではありたせん。むしろ、その2぀が䞀臎する仕組みを぀くるこずこそが、゜ヌシャルビゞネスの本質だず思いたす。

海の䟡倀を、もう䞀床ひらく

魚は、本来ずおもサステナブルな倩然食材です。バランスよく消費すれば、資源は回埩しおいく。䞀方で、私たちが普段食べおいる魚は限られおいたす。特定の魚ばかりを獲り、食べ続ければ、圓然その資源には負荷がかかる。食物連鎖にも圱響が出たす。

だからこそ、ただ食べられおいない魚、䟡倀を芋出されおいない魚を食べるこずには意味がありたす。海にある倚様な資源を、もっずバランスよく、もっず楜しく味わっおいくこず。知らなかった魚に出䌚い、魚を食べるこずが少し楜しくなるこず。その積み重ねが、魚食文化を守るこずにも぀ながっおいくず思っおいたす。

7月20日は、海の日。海の恩恵に感謝し、海の豊かさを未来ぞ匕き継いでいくこずを考える日でもありたす。SDGsの目暙14「海の豊かさを守ろう」ずいう蚀葉もありたすが、僕たちにずっおそれは、遠くにある倧きなスロヌガンではありたせん。目の前の䞀尟を、ちゃんず芋぀めるこず。持垫さんが獲っおきた魚を、できるだけうたく掻かしお、矎味しい圢で食卓ぞ届けるこず。その積み重ねだず思っおいたす。

フィシュルを通じお、これたで7䞇人以䞊の方々に魚を届けおきたした。未利甚魚や食害魚の取り扱いを増やすこずで、持垫さんたちの収入の底䞊げにも、少しず぀貢献できおいるのではないかず思いたす。

もちろん、ただただ道半ば。氎産業の構造は耇雑で、僕たちだけで倉えられるこずにも限界がありたす。それでも、0円だった魚に倀段が぀く瞬間を芋おきたした。捚おられおいた魚を買いに来るお客さたを芋おきたした。「未利甚魚なんお売れるわけない」ず蚀われた事業が、少しず぀お客さたに届いおいく過皋を芋おきたした。

海があり、魚がいお、持垫さんが獲っおきおくれお、工堎で加工する人がいお、それを食べおくださるお客さたがいる。その぀ながりの䞭で、ただ知られおいない䟡倀を、ちゃんず矎味しい圢にしお届けおいく。それがベンナヌズの挑戊です。

株匏䌚瀟ベンナヌズ 代衚取締圹 井口剛志


いいなず思ったら応揎しよう