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賭け


スターウォーズに出てくる
ロボットみたいな名前の薬。
今の私は、賭けをしている。

副作用も、効果も、分からない。
どんな未来になるのかも、
まだ誰にも分からない。

でも、神様よりも縋りたい。

そんな、感じ。

寛解するかもしれない。
少しだけ、良くなるかもしれない。

反対に、
身体が耐えられないかもしれない。

それでも私は、
その可能性に賭けてみようと思った。

だって私は、
まだ、生きたいから。

まだ行きたい場所がある。
まだ食べたいものもあるし、
まだ書きたい文章もある。

そして何より、
最愛と過ごしたい時間が、
まだ残っている。

だから私は、
分からないものに賭ける。

怖くないと言えば、嘘になる。
治療を受けるたびに、
『これで本当に良くなるのかな』と思う。

副作用の話をされるたびに、
『やっぱりやめた方が良いのかな』と
弱気になる。

それでも、変わらず朝はきっかりやって来て、
薬を飲んで、
点滴を繋ぐ。
そうしてまた次の一日が始まる。


最愛は、私に『頑張れ』を言わない。
理由は、
もう十分頑張っているから、らしい。

最初は少し寂しかった。

『頑張れ』って言ってほしかった。
『頑張ってね』って背中を押してほしかった。

私はきっと、
誰かに応援してもらいたかったのだと思う。

でも彼は、
『頑張れ』の代わりに、
『大変だね』と言う。
『終わったら、デートしようね』と言う。

そして時々、
『頑張ってるね』と言う。

それはたぶん、
私が欲しかった言葉とは少し違って。

でも、今になって思う。

『頑張れ』と言われるということは、
まだ頑張らなければいけないような気がする。

今の私には、
『もう十分頑張ってるよ』
と言ってくれる人がいることの方が、
ずっと心強いのかもしれない。

それでも時々、
我儘を言いたくなる。

頑張っている私を、
ちゃんと見ていてほしい。

怖い治療に挑んでいることも。
具合が悪くても、
次の診察まで生きていることも。
泣きながら薬を飲んでいることも。
夜中に胃をひっくり返して吐いていることも。

全部、知っていてほしい。

そして、できることなら、
『頑張ったね』
と、言ってほしい。

私は、褒められたいのかもしれない。
偉いねって。
よく頑張ったねって。
生きていてくれて嬉しいって。

そんな言葉を、
一番大切な人から貰えたら、
また少しだけ、
次の日まで生きていける気がする。

この薬が、
私を何処へ連れていくのかは、
未だ分からない。

治療の先に、
どんな未来が待っているのかも、
分からない。

それでも私は、
この賭けに乗る。

だって、
賭けているのは薬だけじゃない。

私が賭けているのは、

『もう少し、
この人と生きられるかもしれない』
という未来なのだから。

だから、私は
『頑張れって言っていいのか分からない』
なんて云う彼に、言う。

『でもね、私。
一番大切な人に、応援して欲しいな。
貴方と過ごす時間のために、
私は頑張っているんだから。』

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