採用直結インターン時代の「ガクチカ」は、就活ネタではない――インターンシップを突破するために、大学生が入社前に鍛えるべきスキル ※土曜日の投稿
前回に続き、大学生のために、インターンシップについて書いてみたい。
大学生の就職活動が変わっている。
特に大きいのが、インターンシップと採用選考の接近である。
インターンシップに参加して会社を知り、最後に本選考を受ける。
そんな従来型のインターンだけではない。
企業によっては、インターンシップそのものが選考プロセスの一部になり、参加後に後続選考へ進む仕組みになっている。
例えばアビームコンサルティングは、2026年のSummer Internshipについて、明確に「内定直結型」と掲げている。しかもSummer Internshipは公共経営、ビジネス、デジタルの各コースの選考プロセスの一部であり、ケーススタディを行い、その成果をプレゼンし、現役コンサルタントからフィードバックを受ける。さらに、参加者には後続選考が案内される。
これは、就活の構造が変わったことを意味する。
そして私は、この変化を見ていて、一つのことを強く感じる。
昔なら「入社後の研修」で教えてもらえたことが、採用前に要求され始めている。
私の世代なら、たぶん落ちる
私はアビームコンサルティングに新卒で入社した。
当時、PowerPointで資料を作り、発表することは、新入社員研修の中にあった。
つまり、
採用される
↓
入社する
↓
新人研修を受ける
↓
PowerPointなどを使って課題に取り組む
↓
発表する
という流れだった。
ところが現在は違う。
企業のインターンシップに参加すると、
「この課題についてチームで考えてください」
「データを分析してください」
「PowerPointで提案してください」
「最後にプレゼンしてください」
といったことが、採用前に行われる。
私の世代の感覚で言えば、
「それ、新入社員研修でやるんじゃないの?」
と思う。
しかし、企業側からすると、
「研修を受ける前に、どの程度できる学生なのかを見たい」
ということになる。
だから、今の学生にとって就活とは、
面接対策だけではない。
入社前研修まで自分でやらなければならない時代
になっているのである。
アビームのインターンを見ると、この変化がよく分かる
アビームの2026年Summer Internshipでは、ケーススタディを通じてコンサルタントの問題解決プロセスを学び、実際に課題解決に挑戦する。
そして最後には成果をプレゼンする。
さらに選考前にはAI面接があり、経験に関する質問だけでなくケース面接によって論理的思考力も確認される。
つまり、単純な「人柄採用」ではない。
求められているのは、
経験
+
論理的思考
+
問題解決
+
チームでの活動
+
アウトプット
である。
そして、ここで重要になるのが「ガクチカ」だ。
ガクチカを「面接で話す材料」と考えてはいけない
従来のガクチカは、
「学生時代に頑張ったことは何ですか?」
と聞かれたときに答えるためのエピソードだった。
サークル。
アルバイト。
ゼミ。
留学。
部活動。
ボランティア。
もちろん、これらが悪いわけではない。
問題は、
そこで何を鍛えたのか
である。
例えば、
「サークルの代表を務めました」
だけでは、インターンで役に立つ能力があるとは限らない。
重要なのは、
課題を発見した
↓
目標を設定した
↓
メンバーを集めた
↓
役割を分担した
↓
データを集めた
↓
仮説を立てた
↓
実行した
↓
結果を測定した
↓
改善した
という経験をしているかどうかである。
つまり、
ガクチカ=小さなプロジェクト
なのである。
そして、ハードスキルが必要になる
ここで現在のインターン募集を見ると、さらに厳しい現実が見えてくる。
例えば富士通の2026年インターンには、Excel・PowerPoint・Wordの基礎レベルを必須とするテーマがある。
しかも、それだけではない。
AI、ビッグデータ、アナリティクス、プログラミング、データ前処理、モデル選定、性能評価、仮説思考、問題解決、チーム開発まで要求されるテーマが存在する。
別の富士通のインターンでは、Pythonによるデータ分析の基礎、データ前処理、可視化、簡易モデル実装、時系列需要予測まで必須になっている。
さらにForward Deployed Engineerのインターンでは、Excel・PowerPoint・Wordに加え、高度なプログラミング経験を求め、インターンではLLM活用、プレゼンテーション、課題の深掘り、解決策の導出まで扱う。
これは非常に重要な変化だ。
「Excelが使えます」では足りない
学生が、
「Excelできます」
と言う。
しかし企業から、
「では、このデータを30分で分析してください」
と言われたらどうだろうか。
ここで必要なのは、Excelの操作方法を知っていることではない。
例えば、
ピボットテーブル
XLOOKUP
SUMIFS
COUNTIFS
IF
グラフ
データクリーニング
基本統計
相関
KPI分析
などを使い、
「何が問題なのか」
を発見する能力である。
つまり、
Excelを操作できる学生
ではなく、
Excelを使って意思決定できる学生
が強い。
PowerPointも「綺麗な資料作り」ではない
PowerPointも同じだ。
就活生が、
「PowerPointが得意です」
と言う。
しかし重要なのは、デザインではない。
例えば、
売上が落ちている
というデータを渡されたとする。
そこから、
「売上が落ちています」
で終わるのでは弱い。
強い学生は、
売上減少の80%は特定商品の販売数量減少による
↓
特定地域で減少が集中している
↓
競合商品の価格低下と時期が一致している
↓
したがって、価格政策を見直すべき
と論理を組み立てる。
そして、それをPowerPointにする。
つまり、
Excel=分析
PowerPoint=意思決定者への翻訳
なのである。
データ分析は「ガクチカ」と非常に相性がいい
ここで学生におすすめしたいのが、
自分でデータ分析プロジェクトを作ること
である。
例えば、
「大学祭の来場者数を増やす」
というテーマでもいい。
まず過去データを集める。
↓
Excelで整理する。
↓
学年別・学部別・時間帯別に分析する。
↓
来場率の低い層を特定する。
↓
仮説を立てる。
↓
施策を実施する。
↓
結果を測定する。
↓
PowerPointで報告する。
これだけで、
データ分析
課題設定
仮説思考
プロジェクトマネジメント
プレゼンテーション
を同時に鍛えられる。
富士通の地域交通関連インターンでも、市場調査、自治体等との打ち合わせ、社内でのビジネス検討、実証実験のデータ分析、レポート作成などが実務として設定されている。必須スキルとしてExcel・PowerPoint・Wordの基礎が挙げられている。
つまり、学生時代にやっておくべきことは、かなり明確なのである。
Accessをやるなら、SQLまで進もう
Accessも悪くない。
むしろ、
「データベースとは何か」
を理解する教材としては優れている。
しかし、IT・データ系を目指すなら、その先にSQLがある。
さらに、
SQL
↓
Python
↓
データ分析
↓
AI
という方向に進めば、インターンで扱える仕事の幅が大きくなる。
実際、フューチャーはAI・データサイエンス分野で、高度なデータ分析・AIスキルやKaggleなどのコンテスト実績を持つ学生を明確に求めている。
IT系を目指す学生なら、
Accessだけできる
より、
SQLでデータを抽出して、PythonやExcelで分析できる
方がはるかに強い。
英語も「英会話」だけではない
英語についても、考え方を変えた方がいい。
もちろん英会話は重要だ。
しかし、ビジネスで非常に強いのは、
英語で情報を取りに行ける人
である。
例えば、
海外企業のIR
↓
海外ニュース
↓
英語論文
↓
海外の市場調査
↓
AIなども使って情報整理
↓
日本語で分析
↓
PowerPointで提案
ここまでできると、英語が単なる語学ではなく、
情報収集能力
になる。
実際、富士通の一部の実務型インターンではTOEIC700点以上が望ましいスキルとして記載されている。
だから、英語学習も、
TOEICの点数を上げる
だけではなく、
英語で仕事に必要な情報を調べる
ところまで進めたい。
生成AIは「使える」だけでは弱い
2026年の学生にとって、生成AIも重要なハードスキルになりつつある。
ただし、
「ChatGPTを使っています」
だけでは弱い。
重要なのは、
仕事のプロセスにAIを組み込めること
である。
例えば、
市場調査
↓
生成AIで論点整理
↓
Webで一次情報確認
↓
Excelでデータ分析
↓
生成AIで分析結果を壁打ち
↓
PowerPointで提案資料作成
↓
AIに反論・想定質問を出させる
↓
プレゼン
という使い方である。
富士通のインターンでも、AIエージェント、LLM、AIツールによる開発効率化などが実務テーマになっている。
つまり生成AIは、
「新しいITスキル」
というより、
「仕事の進め方そのものを変えるスキル」
になっている。
採用直結インターンを突破する「学生版ビジネス基礎スキル」
ここまでを整理すると、私は次のように考える。
レベル1:Office
Excel
PowerPoint
Word
まずここ。
これは「あると便利」ではない。
仕事の基礎インフラである。
レベル2:データ
Excelデータ分析
統計基礎
SQL
BI
数字を見て、
「何が起きているか」
を説明できるようにする。
レベル3:情報収集
Webリサーチ
英語検索
IR
統計資料
論文
生成AI
情報を集め、
「何が重要か」
を判断する。
レベル4:問題解決
課題設定
仮説
ロジックツリー
KPI
データ分析
施策立案
そして、
「では、どうするか」
まで考える。
レベル5:アウトプット
PowerPoint
プレゼン
ファシリテーション
質疑応答
ビジネス文書
考えたことを、
他人が意思決定できる形
に変換する。
レベル6:プロジェクト
目標設定
役割分担
スケジュール
進捗管理
メンバー調整
リスク管理
KPI
振り返り
ここまで来れば、単なる「学生」ではなく、
小さなプロジェクトを動かせる人
になる。
だから「強いガクチカ」はこうなる
例えば、こんな学生を考えてみたい。
大学祭の集客を30%増やすプロジェクトを立ち上げた。
最初に過去3年間の来場データをExcelで分析。
↓
来場率の低い学生層を発見。
↓
海外大学のイベント事例を英語で調査。
↓
生成AIも使って施策案を整理。
↓
PowerPointで企画を作成。
↓
学生メンバーを集める。
↓
役割分担。
↓
SNS施策を実行。
↓
KPIを測定。
↓
途中で仮説を修正。
↓
最終的に来場者数を前年比30%増加。
これは強い。
なぜなら、
「私はリーダーシップがあります」
と言わなくても、
そのガクチカそのものが、
課題設定力
データ分析力
Excel
英語
生成AI
PowerPoint
プレゼン
チームワーク
PM
実行力
改善力
を証明しているからだ。
ガクチカは「エピソード」ではなく「能力の履歴書」になる
ここが今回、一番伝えたいことである。
これからのガクチカは、
「私はこんなことをしました」
ではない。
むしろ、
「私は学生時代に、こういう能力を実戦で鍛えてきました」
なのである。
そして採用直結インターンでは、その能力が本物かどうかを実際に試される。
だから、
面接で話すためにガクチカを作る
のではない。
インターンで能力を発揮するためにガクチカを作る。
この順番に変える必要がある。
「遊び」や「体験」だけでは、インターンで勝てない
もちろん、
留学した。
海外旅行をした。
アルバイトをした。
サークルに入った。
これらも経験としては価値がある。
しかし、それだけでは足りない。
企業がインターンで見るのは、
「この学生に仕事を任せたらどうなるか」
だからである。
アビームのインターンでは、実際のケーススタディに挑戦し、その成果をプレゼンし、コンサルタントからフィードバックを受ける。しかもそのSummer Internship自体が選考プロセスの一部である。
つまり、
旅行経験が豊富な学生
と、
旅行会社の売上データを分析し、新しい旅行商品を企画してPowerPointで提案した経験がある学生
では、インターンで発揮できる能力が違う。
経験の「豪華さ」ではない。
仕事への変換能力
が重要なのである。
大学生は「自分で入社前研修をやる」べきだ
私は、今の大学生にこうアドバイスしたい。
大学4年間を、
「就活ネタを探す4年間」
にしてはいけない。
むしろ、
「入社前研修を自分でやる4年間」
にする。
1年生:
Excel・PowerPoint・生成AI
↓
2年生:
データ分析・統計・SQL・英語
↓
3年生:
チームプロジェクト・企画・プレゼン
↓
3〜4年生:
長期プロジェクト・インターン・実務経験
↓
採用直結インターン
↓
本選考
この順番である。
私の世代と、今の学生では「就活のスタート地点」が違う
私が新卒でアビームに入った頃は、
入社してから学ぶ
という部分が確かにあった。
しかし現在は、その一部が、
採用前に前倒しされている。
アビーム自身も現在の新卒採用で「実践的なコンサルティング体験」を掲げ、インターンを通じてスキル習得と可能性を広げることを明確に打ち出している。
富士通のインターンを見ると、Excel・PowerPointという基礎から、データ分析、AI、プログラミング、課題解決、プレゼン、チーム開発まで、テーマによってはかなり実務に近い能力が要求される。
これは、
「学生に求める水準が上がった」
というだけではない。
企業の採用プロセスそのものが、
「採用してから育てる」
から、
「ある程度育っている学生を実戦で見極める」
方向に変化しているのである。
結論――「ガクチカを作る」のではなく、「自分を鍛える」
これからの就活生に必要なのは、
面接対策だけではない。
必要なのは、
インターンで戦える能力を、大学時代から鍛えること
である。
そのためのガクチカは、
小さなプロジェクト
であればいい。
そして、そのプロジェクトの中に、
Excel
PowerPoint
データ分析
SQL
英語
生成AI
プレゼン
チームマネジメント
問題解決
を組み込んでいく。
そうすれば、ガクチカは単なる「就活ネタ」ではなくなる。
それは、
自分自身の職業訓練
になる。
そして採用直結インターンで、
「この学生は、入社後に伸びそうだ」
と思ってもらう。
これが、これからの就活戦略ではないだろうか。
「内定を取るためにガクチカを作る」のではない。
「インターンで実力を発揮するために、自分を鍛える。その結果としてガクチカができる。」
私は、この順番こそが、採用直結インターン時代の就活の本質だと思う。
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※今は何をするのかは秘密