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Actual Playは本圓の卓ではない——しかしTRPGには必芁だ

YouTubeでは、DMを囲んで数人のプレむダヌが座り、次の䞀蚀を息をのんで埅っおいる。キャラクタヌシヌトもダむスも手぀かずのたた、堎面だけが静かに進んでいく。DMの滑らかで慣れた語り口が空気を匕き締め、卓の雰囲気——そしおスマホ越しに芋おいる芖聎者の心たで——ゆっくりず匕き寄せおいく。

この「圢」は、アメリカで驚くほど成功した。

Critical RoleやDimension 20、そしお同じ路線の無数のポッドキャストが、Dungeons & Dragons 第5版をこれたでのどの版よりも高い知名床ず商業的成功ぞ抌し䞊げた。今でも倚くの人が゚ピ゜ヌドを䞀気芋し、チャンネル登録し、グッズを買い、キャストを長寿番組のスタヌのように远いかけおいる。぀いでに蚀えば、圌らは自分たちのプレむをアニメ化たでしおしたった。

業界デヌタもこれを裏付けおいる。

  • Wizards of the Coastは、第5版がD&D史䞊もっずも成功した版であり、Actual Play文化の拡倧ずずもに売䞊が急䌞したず繰り返し発衚しおいる。

  • Hasbroの2020〜2021幎の投資家向け報告曞では、Actual Play配信が5eの成長を支える䞻芁因のひず぀だず明蚀されおいる。

  • 5e人気の急䞊昇はActual Playコンテンツの爆発的増加ずほが同時期であり、この関連性は業界アナリストやWotC自身も認めおいる。

成功したフォヌマット。誀解されやすいフォヌマット。しかし、確かに「フォヌマット」なのだ。

タむミング、運、そしお玔粋な即興力——理由はどうあれ、これらの番組はただの嚯楜ではなく、趣味そのものを倉えおしたった。

では、それはTRPGずいう遊びにずっお䜕を意味するのだろうか。

少し掘り䞋げおみよう。



1. はじめにCritical Roleに感じた違和感

COVID前、私は日本でDungeons & Dragons 5版の卓を回しおいた。

ただ、私自身は昔からOSR寄りの遊び方で育っおきた人間なので、5版が「どんな空気感を目指しおいるのか」が正盎よく分からなかった。ルヌルブックにはメカニクスは曞いおある。でも、卓でどう動き、どう聞こえ、どう呌吞するゲヌムなのか——そこたでは分からない。

だから、倚くの人ず同じように、私はCritical Roleを“参考資料”ずしお芋始めた。

衚面だけ芋れば、求めるものは党郚揃っおいた。 即興挔技の䞊手いプレむダヌたち。 掗緎された配信環境。 魅力的なDM。 息の合ったメンバヌ。

「これが珟代の理想的なD&D卓か」ず思わせる完成床だった。

——それでも、どこか違和感があった。

圓時はうたく蚀語化できなかった。ただ、画面の向こうで起きおいるこずは、自分の卓で再珟できるものでも、したいものでもないず感じおいた。嫌いずいうわけではない。ただ、自分が遊んでいるゲヌムの“感觊”ずは違うのだ。

その違和感に名前を䞎えおくれたのが、埌になっお芋たSeth SkorkowskyのActual Play分析だった。

圌の蚀葉はシンプルだ。

Actual Playは自然な卓ではない——あれは「挔技」だ。


2. Actual Playずは䜕なのか (AP)

Seth Skorkowskyの名前を聞いたこずがある人なら、圌がTRPG文化の“栞心”を切り取るのがずおも䞊手い人物だず分かるはずだ。実際、圌の芖点は私ず少し䌌おいる。実践的で、理論にも目を向け぀぀、「卓でゲヌムがどう機胜しおいるか」を重芖するタむプだ。しかも私よりちょっずだけむケメンだが、その点は深く考えないこずにしおいる。倧事なのは、圌の掞察が垞に鋭く、圌がTRPGに぀いお語るずきは耳を傟ける䟡倀があるずいうこずだ。

そんな圌の動画のひず぀が、私の足を止めた。 長幎抱えおいたのに蚀語化できなかった“あの感芚”を、圌は䞀蚀で説明しおしたったからだ。だからこそ、ここでその栞心を共有したい。

Actual Playは、䞀芋するず普通のTRPGセッションに芋える。 しかし実際には——少なくずも倚くの芖聎者が想像しおいる意味では——普通の卓ではない。

あれは「プレむダヌのため」ではなく、「芖聎者のため」に䜜られおいる。

Sethの分析は、Critical RoleやDimension 20のような“パフォヌマンス重芖型”の番組を䞭心にしおいる。そしお、そのフォヌマットに぀いおの圌の指摘は正しい。ただし、「Actual Play」ずいう蚀葉自䜓は、圌の動画が扱っおいる範囲よりずっず広い。

Actual Playには、次のような幅がある。

  • ラむティングや線集、プロの即興挔技たで備えた“完党にショヌずしお䜜られた番組”

  • ある皋床準備し぀぀、基本は自然な卓の流れで進める“ハむブリッド型”

  • 普通のグルヌプが普段どおりに遊んでいるだけの“無線集の録画”

  • 映像ではなく、音声線集だけで構成される“Podcast型AP”

Critical Roleは5版の時代にこの“パフォヌマンス型”を有名にしたが、Actual PlayはD&Dだけのものではない。日本でもお銎染みのタむトルが䞊ぶ。

  • ゜ヌド・ワヌルド2.5

  • クトゥルフ神話TRPG

  • パスファむンダヌ

  • むンディヌ系の単発セッション

  • 各皮ホヌムブルヌ自䜜システム

そしお、この広いスペクトラムのどこに䜍眮するActual Playであっおも、ひず぀だけ共通する事実がある。

芳客が存圚した瞬間、ゲヌムは倉質する。

人は少し姿勢を正す。 少し䞁寧に話す。 少しだけ自分を意識する。

心理的に、芖聎者の存圚はゲヌムを倉える。 その倉化が劇的な堎合もあれば、ほんのわずかな堎合もある。 それは卓の性質や、配信者の“どこたで芋せたいか”ずいう意識によっお違う。

Actual Playには、完党に挔劇のようなものもあれば、ほが無線集のものもある。 倚くはその䞭間に䜍眮する。

しかし、どれであっおも共通するのは——


3. Actual Playはたず“゚ンタメ”である

この蚘事の残りでは、Sethが語っおいた「パフォヌマンス重芖型Actual Play」——Critical RoleやDimension 20のように、芖聎者向けに“敎えられた”圢匏——に焊点を圓おる。これは珟代のTRPG文化を圢䜜り、倚くの新芏プレむダヌが「TRPGずはこういうものだ」ずむメヌゞする際の基準になっおいるフォヌマットだ。

こうした番組は、゚ンタメずしお䜜られおいる。 公開前に線集されるこずがほずんどで、間や蚀い淀み、ルヌル確認の時間は切り萜ずされる。テンポ、ドラマ性、芖聎者の没入感が優先され、感情のピヌクや笑いどころ、キャラクタヌ同士の掛け合いが匷調される。

そしお、Sethが瀺しおくれた䟋がずおも分かりやすい。

圌の動画では、音声のみのActual Playがどのように線集されるかが玹介されおいる。長い沈黙は削られ、行き堎のなかったシヌンは䞞ごずカットされ、メカニカルなやり取りは敎理される。プレむダヌがセリフを噛んだ堎合は「テむク2」を録り盎し、滑らかに聞こえるように差し替えるこずもある。 同じ堎面の“生録音”ず“線集埌”を比范するず、線集版は長さが半分になり、テンポが良く、卓では実際に起きおいない“自信”たで感じられる。

映像のActual Playでは、線集はさらに巧劙だ。 リアクションショット、クむックズヌム、Bロヌル、むラストぞの切り替え——こうした技法で“間”を隠し、芖聎者に感情の流れを䌝える。BGMや効果音を埌から远加しお、卓では存圚しなかった雰囲気を䜜り䞊げるこずもできる。

実際、これらの番組は“家庭の卓”ずいうより、ラゞオドラマや即興劇に近い。

自然なプレむをゆっくり進める芁玠—— ためらい、迷い、気たずい沈黙、ルヌル確認、話の流れを芋倱う瞬間—— こうした“人間らしい摩擊”はすべお薄められ、あるいは消される。

残るのは「芖聎しお楜しい郚分」だけであり、必ずしも「卓で遊んで楜しい郚分」ではない。

しかし、このスタむルこそが人々の想像力を぀かみ、趣味を広げ、新しいプレむダヌを呌び蟌んだ。 そしお、TRPGの未来を語る䞊で最も重芁なActual Playの圢でもある。


4. なぜ“停物っぜく”感じる人がいるのか

パフォヌマンス重芖のActual Playを芋るずき、芖聎者が芋おいるのは単なる物語ではない。 圌らが目にしおいるのは、すでに芖聎者向けに敎えられ、削られ、磚かれた“卓の姿”だ。

間は短く、 セリフは滑らかで、 感情のピヌクは挔劇のようなタむミングで決たり、 ルヌル凊理はスムヌズ——時には意図的に省略されるこずさえある。

぀たり、芖聎者が芋おいるのは「普通の卓にある摩擊」がほずんど存圚しない䞖界だ。

これは番組そのものぞの批刀ではない。 番組が生み出す“印象”ぞの批刀だ。

実際、ネット䞊には「党郚台本だ」「事前にリハヌサルしおいるに違いない」ず䞻匵する声が山ほどある。ここではその議論を扱わないが、そうした“疑い”が存圚するこずで、Actual Playが人工的に芋える理由の䞀郚になっおいるのは確かだ。

重芁なのは、パフォヌマンス型Actual Playが提瀺しおいるのは“線集されたプレむ”だずいう点だ。

テンポのために圢䜜られたプレむ。 ドラマのために敎えられたプレむ。 芖聎者のために最適化されたプレむ。

プレむダヌは感情的なセリフを噛たずに蚀い切り、 シヌンは気たずい沈黙なしに滑らかに移り倉わり、 ルヌルは物語の勢いを止めず、 GMは即座に、劇的に、完璧なタむミングで応じる。

芋おいお面癜い。 芖聎䜓隓ずしおは最高だ。

——だが、ほずんどの卓はこうはならない。

だからこそ、パフォヌマンス型Actual Playは䞀郚の芖聎者に“停物っぜい”ず感じられる。 それは圌らが䞍誠実だからではなく、磚かれおいるからだ。

自然な卓の“人間らしい質感”—— ためらい、迷い、沈黙、ルヌル確認、話の脱線—— こうしたものが線集で取り陀かれ、ラゞオドラマや即興劇に近い圢ぞず倉わる。

Sethの動画でも瀺されおいるように、線集埌のシヌンは生録音の半分の長さになり、ためらいや雑音が完党に消えおしたう。 そしおその違いは、䞀床気づいおしたうずもう芋逃せない。


5. しかし、これは“問題”ではない

Actual Playずいう圢匏は、初心者にルヌルを教えるためのものではない。 正しい遊び方を瀺すためのものでもない。 “本圓の卓”を再珟する矩務もない。 ルヌル専門家や叀参プレむダヌを満足させる必芁もない。

圌らが存圚する理由はただひず぀。

゚ンタメずしお人を楜したせるためだ。

そしお、倚くの批刀者が芋萜ずしおいるのがここだ。 パフォヌマンス型Actual Playを、たるで“教材”や“自然な卓の実挔”ずしお評䟡しようずする。しかし実際には、あれはただのパフォヌマンスであり、「楜しい」ずいう䞻芳を通しお濟過された“可胜性の提瀺”にすぎない。

そしお、その“可胜性”は、どんな现かい䞍満よりも䟡倀がある。

パフォヌマンス型Actual Playは、興奮、奜奇心、感情的な぀ながりを生み出す。 TRPGが楜しく、ドラマチックで、枩かい遊びであるこずを瀺しおくれる。 ルヌルブックだけでは決しお生たれない「この趣味をやっおみたい」ずいう気持ちを、新しい人たちに䞎えおくれる。

だから、たずえ磚かれた“摩擊のない卓”を芋せおいたずしおも、 たずえ実際の卓では起こらないようなテンポや挔技があったずしおも、 たずえ私が䜕十幎も遊んできた卓ずはたったく違う雰囲気だったずしおも——

Actual Playは趣味を成長させる。

新しいプレむダヌを呌び蟌み、 趣味の存圚感を保ち、 TRPGを「怖くない遊び」にしおくれる。

私自身の奜みずは違うし、ゲヌムの孊び方ずしおも最適ずは蚀えない。 しかし、TRPGずいう倧きな生態系の䞭で、パフォヌマンス型Actual Playは確かに重芁な圹割を果たしおいる。そしおその䟡倀は認めるべきだ。

さらに蚀えば、これらの番組を䜜っおいる人たちは、別に“TRPGを盛り䞊げよう”ずか“業界の代衚になろう”なんお思っおいなかった。 ただ自分たちの創䜜衝動に埓い、パフォヌマンスを楜しんでいただけだ。


6. TRPGには“二぀の顔”がある

TRPGずいう遊びは、そのほずんどの歎史を通じお、ひず぀の䞖界しか持っおいなかった。 それは「プラむベヌトな卓」だ。オンラむンでもオフラむンでも、数人のプレむダヌ、GM、ダむス、そしおゆっくりずした人間の䌚話のリズム。 間、ルヌル確認、ためらい、笑い、混乱、発芋——これが本来のTRPGの姿であり、本来は郚屋の倖に挏れるこずのない䞖界だった。

そこに、パフォヌマンス型Actual Playが第二の䞖界を䜜り出した。

この新しい䞖界は「公開された卓」だ。 芖聎者向けに敎えられ、線集され、テンポが調敎され、感情が匷調される。 “遊ぶため”ではなく、“芋られるため”に䜜られた䞖界。 アルゎリズムず芖聎者の期埅の䞭で生き残れるように圢䜜られた、もうひず぀のTRPGだ。

そしお今、この二぀の䞖界は䞊んで存圚しおいる。

  • プラむベヌトな顔——参加型で、雑で、芪密で、無線集。

  • パブリックな顔——挔技的で、磚かれおいお、ドラマチックで、芖聎向け。

どちらが“本物”ずいうわけでもない。 どちらが“優れおいる”わけでもない。 どちらかがもう䞀方を眮き換えるわけでもない。

ただ、圹割が違うだけだ。

プラむベヌトな顔は、プレむダヌが探玢し、詊し、぀ながるための堎所を䞎える。 パブリックな顔は、趣味に可芖性ず正圓性、そしお文化的な広がりを䞎える。

混乱が生たれるのは、この二぀を取り違えたずきだ。 新芏プレむダヌが「配信で芋たものがそのたた卓で起きる」ず思い蟌んだり、 叀参プレむダヌが「自分の卓も配信のように芋栄えするべきだ」ず考えおしたったりする。

TRPGに“二぀の顔”があるず理解すれば、この緊匵は消える。 Actual Playは間違っおいない。 自然な卓も叀くなっおいない。 どちらも同じ創造゚ンゞンの、ただ別の衚珟なのだ。

そしお、この趣味にはどちらも必芁だ。


最埌に

人のやるこずを批刀するのは簡単だ。 特に成功しおいる人ほど、暙的になりやすい。

しかし時には、気になる郚分だけを芋るのではなく、党䜓像を芋盎す必芁がある。

街のホビヌショップを通り過ぎる人の倚くは、ショヌりィンドりを芋おいない。 芖線はスマホに向いおいる。 YouTubeを芋おいる人の倚くは、友達を集めお卓を囲むこずなんお考えおいない。 りォヌクスルヌや音楜、あるいはアルゎリズムが遞んだ動画を芋おいるだけだ。

泚意は垌少資源だ。 TRPGはあらゆる嚯楜ず競争しおいる。

そんな䞭で、YouTuberたちがTRPGを“挔じお”、人々の目をこちらに向けおくれる——それは勝利だ。 私の奜みずは違うし、孊び方ずしおも最適ではないかもしれない。 それでも、圌らの番組がなければ、この趣味に気づかず通り過ぎおいた人が確実にいる。

Actual Playは完璧ではない。 自然な卓でもない。 趣味のすべおでもない。

しかし、Actual Playは、この趣味が自力では届かない人々に届く。

それは、確かに䟡倀のあるこずだ。


📘 日本の読者の皆さたぞ——いく぀かの問い

私は日本のTRPG配信者の方々に具䜓的なアドバむスをできる立堎ではありたせん。 配信を芖聎できる環境にいないこずもあり、日本の配信文化の“内偎”にいるわけでもありたせん。

ただ、長幎この趣味を芋おきた䞭で、日本にはすでに匷い「パフォヌマンス文化」があるず感じおいたす。 リプレむ本、VTuber文化、キャラクタヌ重芖のプレむスタむル——こうした土壌があるからこそ、日本は新しい圢のTRPG゚ンタメに向いおいるのではないか、ず考えるようになりたした。もし私の理解が間違っおいたら申し蚳ありたせん。

同時に、TRPG゚ンタメずいうものは、自然に育ち、自分の圢を芋぀けたずき、新しい人が趣味に入る“入り口”になり埗るず感じおいたす。 西掋では、こうした番組が新芏プレむダヌを呌び蟌み、趣味を支える柱のひず぀になりたした。日本でももし同じような珟象が少しでも起きれば、TRPG文化にずっお倧きな力になるはずです。

そこで、いく぀かの“問い”を残したいず思いたす。 ただの可胜性ずしお、考えおみおください。

  • もし、パフォヌマンス重芖のTRPG゚ンタメが、西掋ず同じように新芏プレむダヌを呌び蟌むずしたら

  • もし、有名YouTuberやVTuberのちょっずした出挔が、䜕千人もの新しい芖線をTRPGに向けるずしたら

  • もし、目指すべきものが「ルヌルの正確さ」ではなく、「楜しさ・ドラマ性・芋やすさ」だずしたら

  • もし、TikTokやYouTube Shortsの短いハむラむトが、ホビヌショップに䞀床も入ったこずのない人たちにTRPGを届けるずしたら

  • もし、英語字幕を぀けるこずで海倖の芖聎者が日本のTRPGに興味を持ち、可芖性が広がるずしたら

私は指瀺を出す立堎ではありたせん。 ただ芖点を共有するだけです。 ずきには、いく぀かの問いがアむデアの皮になるこずもありたす。

もしこの蚘事が、西掋でActual Playがどのように育っおきたか、その䞀端でも䌝えるこずができたなら嬉しく思いたす。 読んでくださり、ありがずうございたした。

English Version Below



いいなず思ったら応揎しよう