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【第301話】ゴーゴーバーのシステム

前回の続き。。

初めて来たゴーゴーバーの雰囲気と安さに驚いているT。
そこで俺たちは、ゴーゴーバーの一連のシステムについても説明することにした。

あらためて女の子の指名方法。
レディースドリンク。
そして、バーファイン。

説明を聞いていたTが、突然大きな声を上げた。

「えっ!?」

ステージを指差しながら、信じられないといった表情を浮かべる。

「あの子も、この子も一緒に連れて店を出られるんスか!?」

俺は何も言わず意味深げな表情で頷いたあと言った。

「ただし、店には罰金みたいな形で、バーファインを払わないといけないけどね」

「いくらですか?」

「平均したらどの店も400バーツくらいかな」

Tは再び頭の中で計算を始めた。

しかし、今度は数字を聞いても、すぐには言葉が出てこない。

「なんか… 信じられないなぁ……」

日本では聞いたこともない仕組み。
目の前の異様ともいえる光景。
そして、俺たちから次々と教えられる夜遊び情報。

Tの頭の中では、まだすべてを整理できていないようだった。

するとMさんが、ニヤリと笑う。

「しかも、朝まで一緒で八千円くらいや」

「えっ!?」

さらに俺も続けた。

「ショートタイムなら五千円!」

Tは一瞬固まった。

地元のスナックで飲むだけ一人九千円。

三人で行って、付いた女性は30代が一人だけ。

それに対し目の前には若い大勢の可愛い女の子。
どの子も20代なのは間違いない。

その中から好みの子を自分で選び一緒に酒を飲める。

軽いボディータッチなんて挨拶のようなもの。

さらにその先にも選択肢がある。

先ほどまでモジモジしていた男は、もうどこにもいなかった。

Tは満面の笑みを浮かべ、力強く言い放った。

「最高っス!!!!!」

初めてナナプラザへ足を踏み入れてから、まだそれほど時間は経っていない。

しかしTは早くも、バンコクの夜に魅了され始めていた。

それにしてもTはいちいちリアクションがいい。

驚く時は大げさなくらい驚き、面白いと思えば声を上げて笑い、感動すればそれを隠そうともしない。

そんな素直な反応が、隣にいるこちらまで楽しい気分にさせてくれる。

思えば昔からTはそういう男だった。

だからこそ、独身時代には一緒にナンパに出掛け、冬になればスノーボードに行き、仕事が終わればパチスロを打って、週末は酒を飲みながらくだらない話で盛り上がれたのだろう。

ノリが合う。

それだけではない。

ひとことで言うならツボが俺と同じ。

そんなTも今では婚して子供も生まれている。

仕事に追われ、家へ帰れば夫であり、父親としての毎日が待っているのだろう。

それはそれで幸せな生活に違いない。

だが俺と同じように、昔のように何も考えず仲間と朝まで遊び回る機会など、なくなっているはずだ。

今回のタイ滞在は仕事の支援が目的である。
朝から晩まで働き、慣れない環境の中で忙しい毎日を送っている。
だからこそ、せめて週末くらいは久しぶりの独身気分を味わってほしかった。

仕事も遊びも中途半端ではなく目一杯。

限られた二週間だからこそ、後から思い出して笑えるくらい楽しんでほしい。

そう、俺が初めてバンコクへ来た時に感じた、あの衝撃。

次から次へと目に飛び込んでくる見たことのない風景と熱気。

「この街、なんなんだ……?」と思いながらも、胸が高鳴って仕方がなかった、あの感覚。

今回Tを見ていて改めて思う。

初心忘れるべからず。

余談です。

こうして2004~2005年当時の出来事を文章にし、記憶を一つひとつ掘り起こしていると、改めて当時のタイの物価に驚かされます。

ゴーゴーバーで飲むビールの価格は、現在と比べてもそれほど大きく変わっていないように思いますが、当時は。。
バーファインが400~600バーツ。
ショートタイムが1500バーツ。
ロングタイムで3000バーツほどだったことを思い出します。

今の感覚で考えると「本当にそんな金額だったか?」と、自分の記憶を疑いたくなるほど安く感じます。

そのありがたさを深く考えることもなく、むしろ少し値上がりしただけで「最近、高くなったなぁ」などと文句を言っていた気がします。

今になって思えば何を贅沢なことを言っていたのでしょう(笑)

さらにこの気持ちに追い打ちをかけるのが為替問題。
現在はタイの物価そのものが上がったことはもちろん、円とバーツの為替も、日本人にとって厳しい方向へ進んでいます。

昔の価格を思い出すたび「タイも発展したんだな」と、感心する気持ちがあります。

街は便利になり、高層ビルが増え、生活の選択肢も格段に広がりました。

それは間違いなく喜ばしい変化です。

しかし、その一方で「もう、あの頃の価格では遊べないのかな…」と、少し寂しい気持ちにもなります。

どこか怪しく、雑多で、それでいて勢いだけは凄まじかった、あの頃のバンコク。
そして、日本円を握り締めていれば、何でもできるような気さえした時代。

当時はそんな日々が、いつまでも続くような気がしていました(涙)

発展を続けるバンコク



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