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【人生の栞】書斎に遺された、名もなき地図。スクラップブックに隠された「故郷」へと。

こんにちは、てるてるです。

遺品整理で見つけた一通の戸籍。

そこには、私の知らない曾祖父の「出生地」が記されていました。

穏やかに笑い、土曜日の下校路を一緒に歩いてくれた優しい曾祖父。

その書斎に並んでいた膨大な新聞の切り抜きと日韓の書籍。

10年という歳月を経て、私はポケットに1枚の写真を忍ばせ、彼の見たはずの空を探す旅に出ようとしています。


土曜日の迎えと、スーパーの思い出


私の曾祖父は、とても穏やかで優しい人でした。

小学生の頃、まだ土曜日にも授業があった時代。両親が共働きだった私のために、曾祖父はよく学校まで迎えに来てくれました。

一人でお留守番をしながらお昼を食べる私を、放っておけなかったのだと思います。

近くのスーパーへ寄り道し、お昼ご飯と、そして「好きなお菓子を買いなさい」と、一緒にお菓子コーナーへ行ってくれました。

曾祖父と過ごす、あの、のんびりとした土曜日が、私は大好きでした。


中学生、高校生になっても、私は曾祖父の家を訪ねました。


書斎には、とにかく本が溢れていました。新聞の切り抜きを丁寧に貼ったスクラップブックも、棚を埋め尽くすように並んでいました。


当時の私は、書籍の中身にさほど興味がなく、一度も触れることはありませんでした。


戸籍に記された「ん!?」


曾祖父が亡くなり、遺品整理を手伝っていた時のことです。

何気なく目にした戸籍に、私は思わず二度見しました。


「出生地、韓国」


となりで母も驚き、そのとなりで祖母(曾祖父の娘)は「うーん、そんな気も……」と、なんとも曖昧な返事。


仕事を求めて日本に渡ってきた、ということ以外、詳しいことは何も分かりませんでした。


それから10年。


世界では宗教や文化、歴史を巡る争いが絶えず、ニュースが流れるたびに、私はそれを他人事として見られなくなっていました。



自分のルーツを知りたい。


その想いは、次第に確信へと変わっていきました。


書斎に遺された、静かな声


私は曾祖父の生年月日から、当時の韓国と日本の歴史を調べ始めました。


没頭する中で、いつしか「韓国へ行ってみよう」という決意が芽生えていました。


詳しい場所は分からなくてもいい。曾祖父がかつて見たはずの空や風景に触れてみたい。

胸ポケットに曾祖父の写真を忍ばせて、一種の「里帰り」をさせてあげたい。


そんなある日、ふと思い立って、あの書斎のスクラップブックを開いてみました。


そこにあったのは、日韓に関する膨大な記録と書籍。


あの穏やかな笑顔の奥で、曾祖父は何を思いながら、このページをめくっていたのでしょうか。


自らの出自を胸に秘め、移り変わる時代をどんな眼差しで見つめていたのか。

一度も聞けなかったその想いを、これからは私自身の手で、ゆっくりと紐解いていこうと思います。


ポケットの写真の中の曾祖父は、今もあの頃と同じように、穏やかに私を見守ってくれている気がします。



2026.08.04 追記

この夏、私のルーツを巡る旅、渡韓します。海を越えて繋がれた命のバトンの物語を知ってもらいたくて、ステキなお題に参加させていただきました。





#人生の栞 #おじいちゃんおばあちゃんへ #一度は行きたいあの場所
#家族エッセイ  

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