テニス上達メモ617.逃げるが勝ち――戦略としての「逃げ」を再評価する
「逃げる」ことは、時に敗北やネガティブな選択と捉えられがちです。
しかし、元プロ野球選手の古田敦也氏の言葉が示すように、状況によっては最も合理的かつ「合利的」な戦略となり得ます。
不要なプライドを捨て、冷静に状況を見極めて「逃げる」ことの真価と、それが最終的な勝利にどう繋がるのかを考察。
▶合理的かつ「合利的」な選択としての逃げ
こちらでお伝えした「逃げるが勝ち」。
元プロ野球選手の古田敦也さんはいいます。
「胸を張って逃げて」
逃げてはダメな場面もある。
逃げたほうがいい場面もある。
かっこ悪いなどのプライドではなく、時と場合によって、「合理的」かつ「合利的」な取捨選択をするのです。
▶プライドが邪魔する「正しい逃げ」
逃げられないのは、妙なプライドにとらわれるからです。
意外かもしれませんが、プライドが高いほど逃げてはいけない大事な場面で、逃げを打つのです。
なぜでしょう?
負けるのがみっともないと思っているから、そんな自己イメージに耐えられず、戦う前から「降りてしまう」のです。
逆に言えば、逃げたほうが合理的な場面でも、プライドが高いと逃げられません。
この見極めを、プライド(承認欲求)が邪魔するのです(関連記事:承認欲求という名の「最大の障壁」)。
▶戦略としての「逃げ」の価値
逃げるのも、たくさんある戦略・戦術 のうちのひとつです。
そうしたほうが「理に適っている」合理的であり、 「自分に利がある」合利的であれば、切るべきカード。
古田さんは、「胸を張って逃げた」からこそ、その後の長きにわたる活躍につながりました。
逃げずにむしろ、いじめ文化に加担してしまう人も少なくないと思います。
そのほうが、プライドも傷つきませんからね。
しかし、人生のキャリアに傷がつくのです。
▶不登校という選択と新たなスタート
不登校なども、あっていい。
むしろそうなる子どもは感受性がとても高いからこそ、先生の理不尽な指導やえこひいきに、違和感を覚えることもあるのですから。
古田さんは言います。
新たな環境でゼロからまた頑張ればいい。「僕は逃げてきたんだ」などと、ネガティブに捉える必要はありません。
古田さんが受けたいじめなども、まさに「安らかでない」不安な環境。
そこから逃げるのは、弱腰ではなく、自分を守るための合理的な選択です。
▶合理的に、逃げる
もちろん、何でもかんでも逃げていいわけではありません。
そこはもっとドライに、どちらが合理的かつ合利的かを見極めると、実力がつきます。
そのために、古田さんはこう述べます。
もし、今置かれている環境に悩んでいる人がいれば、周りの大人に相談してほしいです。親でも先生でも、近所のおじさんでもいい。真剣に向き合ってくれる大人を一人、見つけてください。
▶古今東西に通じる「逃げ」の真理
逃げるが勝ち――。
これが単なる気休めであれば、いにしえより語り継がれる普遍性は保てなかったでしょう。
身近な具体例を挙げれば、サッカー日本代表もW杯カタール大会スペイン戦のアディショナルタイム、「7分!?(にゃにゃふん)」を逃げ切って勝ったのでしたね。
中国の古典兵法書『三十六計』にも、こう記されています。
「三十六計、逃げるに如(し)かず」――。
▶最終的に勝てばいい
逃げるという言葉に、今はまだ抵抗があるというのであれば、「さける」「よける」「かわす」などと言い換えてみては。
人生にはどうしても、克服できないこともあります。
わざわざ克服しないほうがいいこともあります。
だからといって、ギブアップするわけではありません。
それこそ「負け」を意味します。
そうではなくて、胸を張って逃げて、最終的に勝利を収める。
それが「逃げるが勝ち」。

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テニスゼロ代表 吉田無型(よしだ・むけい)
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