FIFAはなぜバログンの出場停止を猶予したのか~2026年W杯・米国代表FWバログンのレッドカード処分をめぐる異例の判断と過去例
2026年FIFAワールドカップで、開催国アメリカ代表をめぐる大きな論争が起きた。
ラウンド・オブ32のアメリカ対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で、アメリカ代表FWフォラリン・バログンがレッドカードを受けたにもかかわらず、FIFAはその後、バログンに対する1試合出場停止処分の執行を「1年間の猶予期間付きで停止」したのである。

この決定により、バログンは本来欠場するはずだったラウンド16のベルギー戦に出場可能となった。単なる一選手の出場可否を超えて、この判断は「FIFAの懲戒手続の一貫性」「開催国への配慮」「政治介入の可能性」という大きな問題を浮かび上がらせた。
参考URL:
何が起きたのか
問題となったのは、2026年7月1日に行われたアメリカ対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦である。アメリカはこの試合に2対0で勝利したが、バログンは後半、ボスニア・ヘルツェゴビナのタリク・ムハレモヴィッチの足首付近を踏む形となり、VARレビューの後にレッドカードを提示された。
通常、ワールドカップでレッドカードを受けた選手は、次の試合に自動的に出場停止となる。したがって、バログンはラウンド16のベルギー戦を欠場するものと見られていた。
ところがFIFAは、試合後にバログンへの1試合出場停止処分を科しながらも、その執行を1年間の猶予期間付きで停止すると発表した。重要なのは、FIFAがレッドカードそのものを取り消したわけではない、という点である。処分は存在するが、その執行を将来に先送りした、という整理になる。
FIFAが根拠とした「懲戒規程27条」とは何か
FIFAが今回の判断の根拠としたのが、FIFA Disciplinary Code、すなわちFIFA懲戒規程のArticle 27である。
現行のFIFA懲戒規程27条は、FIFAの司法機関が懲戒処分の執行を全部または一部停止できると定めている。処分の執行を停止する場合、処分対象者には1年から4年の猶予期間が課される。そして、その猶予期間中に同種・同程度の違反をした場合、猶予は取り消され、停止されていた処分が執行される。
今回のバログンの件では、1試合出場停止処分そのものは科されたが、その執行が1年間猶予された。つまり、今後1年以内に同種・同程度の違反がなければ、実際にその1試合停止を消化しないまま済む可能性がある。一方、同様の違反があれば、今回の1試合停止が復活し、新たな違反に対する処分も別途加わる可能性がある。
参考URL:
https://digitalhub.fifa.com/m/6094262690de769/original/FIFA-Disciplinary-Code-2025.pdf
https://cdn.fifa.sportsagentinstitute.com/wp-content/uploads/2025/11/25163051/FIFA-Disciplinary-Code_September-2025-edition_EN.pdf
しかし、レッドカードは原則として次戦停止である
ここで問題となるのが、FIFA懲戒規程66条との関係である。
同規程66条4項は、退場処分、すなわちsending-offは自動的に次戦の出場停止を伴うと定めている。さらに、ワールドカップ競技規則上も、レッドカードによる退場は次戦の自動停止につながると理解されている。
そのため、ベルギー側は今回の判断に強く反発した。ベルギーサッカー協会は、FIFAが27条を根拠にしたことは理解しつつも、66条や大会規則が定める自動出場停止との関係で疑問があるとして、「すべての選択肢を検討する」と表明した。
つまり、今回の問題の核心は、27条に基づき処分執行を猶予できるとしても、それをワールドカップ本大会中のレッドカードによる自動出場停止にまで適用してよいのか、という点にある。
参考URL:
https://digitalhub.fifa.com/m/6094262690de769/original/FIFA-Disciplinary-Code-2025.pdf
https://www.reuters.com/sports/soccer/us-striker-balogun-available-belgium-clash-despite-red-card-2026-07-05/
政治介入の疑い
今回の件をさらに大きな論争にしたのが、アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏の関与である。
Reutersは、トランプ大統領がFIFA会長ジャンニ・インファンティーノ氏に対し、バログンのレッドカードについて再検討を求めたと報じている。APも、トランプ氏がインファンティーノ氏に電話したと、事情を知る関係者の話として報じている。
もちろん、制度上はトランプ大統領がFIFAの懲戒処分を変更する権限を持っているわけではない。形式的には、FIFA懲戒委員会がFIFA懲戒規程27条に基づいて判断した、という建付けである。
しかし、開催国の大統領がFIFA会長に直接働きかけ、その後に開催国の主力選手の出場停止が猶予されたとなれば、政治的圧力や不公平な介入を疑う声が出るのは当然である。特に、今回のW杯はアメリカ、カナダ、メキシコの共催であり、アメリカ政府は大会運営にも深く関わっている。その文脈で見ると、FIFAの独立性・中立性に対する疑念は避けがたい。
ただし、現時点で断定できるのは、英語主要メディアが「トランプ氏がFIFA側に働きかけた」と報じていること、そしてFIFAが27条を根拠に処分執行を猶予したことまでである。トランプ氏の働きかけがFIFAの判断を直接左右したかどうかは、FIFA内部の意思決定過程が明らかにならない限り、断定はできない。
参考URL:
https://www.reuters.com/sports/soccer/trump-called-fifa-head-seek-review-us-player-red-card-source-2026-07-05/
https://apnews.com/article/falorin-balogun-suspension-world-cup-e5a5cab5731a916808601be93cb36832
https://www.theguardian.com/football/2026/jul/05/folarin-balogun-red-card-suspension-lifted-usmnt-belgium-world-cup
トランプ大統領のTruth Social上の投稿

https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/116868490571213527
過去に同じような例はあったのか
では、ワールドカップの過去の事例において、今回のようにレッドカードによる出場停止が猶予された例はあったのだろうか。
結論から言えば、現行のFIFA懲戒規程27条を用いて、ワールドカップ本大会中の選手のレッドカードによる自動出場停止を次戦前に猶予した明確な過去例は、英語ソース上では確認しにくい。
ただし、類似する事例や比較対象となる事例はいくつか存在する。
参考URL:
https://apnews.com/article/falorin-balogun-suspension-world-cup-e5a5cab5731a916808601be93cb36832
近い先例1:クリスティアーノ・ロナウドの処分猶予
最も近い現代的な先例として挙げられるのが、ポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウドのケースである。
ロナウドは2025年11月、ワールドカップ予選のアイルランド戦で退場処分を受けた。その後、FIFAはロナウドに3試合の出場停止処分を科したが、1試合を消化したうえで、残り2試合については1年間の猶予期間付きで執行を停止した。これにより、ロナウドは2026年ワールドカップ本大会の序盤に出場可能となった。
このロナウドの例は、FIFA懲戒規程27条に基づいて出場停止処分の執行を猶予したという意味では、バログンのケースとよく似ている。しかし、重要な違いもある。ロナウドのケースはワールドカップ本大会中のレッドカードではなく、ワールドカップ予選での退場処分が本大会に持ち越されるかどうかの問題だった。
したがって、ロナウドの例は「27条による処分猶予の先例」ではあるが、「ワールドカップ本大会中のレッドカードによる次戦自動停止を猶予した先例」とまでは言いにくい。
参考URL:
https://www.reuters.com/sports/soccer/ronaldo-cleared-play-opening-matches-world-cup-2025-11-25/
https://www.theguardian.com/football/2025/nov/25/cristiano-ronaldo-clear-world-cup-fifa-suspends-two-games-portugal
https://www.skysports.com/football/news/11095/13475321/cristiano-ronaldo-portugal-captain-avoids-ban-for-start-of-nations-2026-world-cup-campaign
近い先例2:2014年W杯後のフェルナンド・サントス監督
もう一つの比較対象は、2014年ワールドカップでギリシャ代表を率いていたフェルナンド・サントス監督のケースである。
サントス監督は、2014年W杯のコスタリカ戦後、審判団に対する不適切行為によりFIFAから8試合の停止処分を受けた。その後、スポーツ仲裁裁判所、CASへの上訴を経て、処分は4試合停止に軽減され、そのうち2試合は6か月の猶予期間付きで停止されたと報じられている。
この例は、ワールドカップに関連する懲戒処分の一部が猶予されたという意味では参考になる。しかし、対象は選手ではなく監督であり、また本大会中の次戦出場可否をめぐる緊急判断でもない。そのため、バログンのケースとは性質が異なる。
参考URL:
https://www.espn.com/soccer/story/_/id/37408774/portugal-coach-santos-wins-cut-world-cup-misconduct-ban
https://www.espn.com/soccer/story/_/id/37386266/cas-temporarily-suspends-portugal-coach-fernando-santos-eight-game-ban
https://www.theguardian.com/football/2014/sep/24/fernando-santos-loses-appeal-ban-fifa-portugal
古い先例:1962年W杯のガリンシャ
さらに古い例として、1962年チリ大会のブラジル代表ガリンシャのケースがある。
ガリンシャは準決勝のチリ戦で退場処分を受けたが、その後、決勝への出場が認められた。APは今回のバログンの件について、ワールドカップ中のレッドカードが出場停止につながらなかったのは1962年以来とみられる、と報じている。
もっとも、1962年当時は現在とは懲戒制度が異なり、退場処分が現在のように自動的に次戦停止となる仕組みではなかったと説明されている。そのため、ガリンシャのケースは歴史的な比較対象にはなるが、現行のFIFA懲戒規程27条に基づく先例ではない。
参考URL:
https://www.fifa.com/en/tournaments/mens/worldcup/articles/brazil-chile-1962-garrincha
https://thesefootballtimes.co/2021/08/09/garrinchas-mesmerising-peak-at-the-1962-world-cup/
https://apnews.com/article/falorin-balogun-suspension-world-cup-e5a5cab5731a916808601be93cb36832
バログンのケースは何が異例なのか
以上を整理すると、バログンのケースの異例性は三つある。
第一に、ワールドカップ本大会中のレッドカードによる次戦自動停止について、FIFAが27条を用いて執行を猶予した点である。ロナウドの例は予選での退場処分に関するものであり、本大会中の即時の出場可否とは異なる。
第二に、処分の猶予が、ラウンド16という極めて重要な試合の直前に行われた点である。ノックアウトステージでは、一人の主力選手の有無が試合結果に直結しかねない。しかもバログンはアメリカ代表の得点源であり、チームへの影響は非常に大きい。
第三に、トランプ大統領の働きかけが報じられている点である。FIFAが独立した司法判断として処理したとしても、外形上は「開催国の政治的影響を受けたのではないか」と見られかねない。スポーツにおいては、実際の公正さだけでなく、公正に見えることも極めて重要である。
参考URL:
https://www.reuters.com/sports/soccer/us-striker-balogun-available-belgium-clash-despite-red-card-2026-07-05/
https://apnews.com/article/falorin-balogun-suspension-world-cup-e5a5cab5731a916808601be93cb36832
FIFAの判断は規程上あり得るのか
法的・規程上の観点から見ると、FIFAの判断がまったく根拠のないものだったとは言えない。27条は確かに、懲戒処分の執行を全部または一部停止できると定めている。そして、同条は試合操作に関する処分については停止できないと明記しているが、通常のレッドカードによる出場停止については明示的に除外していない。
その意味では、FIFAは27条を根拠に処分の執行猶予を行う余地を持っていたと考えられる。
しかし問題は、27条をどのような場面で使うべきかである。レッドカードによる自動出場停止は、競技の秩序と公平性を守るための基本的な仕組みである。これを本大会のノックアウトステージで、しかも特定の主力選手について猶予するのであれば、FIFAは相当説得的な理由を示す必要がある。
今回、FIFAは27条を根拠として示したものの、なぜバログンの件で猶予が相当と判断されたのかについて、十分な説明を尽くしたとは言いにくい。この説明不足こそが、ベルギー側やメディアの反発を招いた最大の要因ではないかと思われる。
参考URL:
https://digitalhub.fifa.com/m/6094262690de769/original/FIFA-Disciplinary-Code-2025.pdf
https://www.reuters.com/sports/soccer/ronaldo-cleared-play-opening-matches-world-cup-2025-11-25/
競技の公正さと「例外」の危うさ
スポーツの懲戒制度では、個別事情に応じた柔軟な判断が必要となる場合がある。明らかに過酷な処分や、偶発的な接触による不相当な処分について、一定の救済手段があること自体は否定されるべきではない。
しかし、例外的な救済は、同じような事案に対して同じように適用されなければならない。ある選手には適用され、別の選手には適用されないのであれば、それは裁量ではなく恣意性と見られる。
特にワールドカップのような世界最大のスポーツイベントでは、参加国・選手・ファンが「同じルールの下で戦っている」と信じられることが不可欠である。今回のバログンの件は、FIFAが持つ裁量権の広さと、その裁量を行使する際の説明責任の重さを改めて示した事例と言える。
参考URL:
https://www.reuters.com/sports/soccer/us-striker-balogun-available-belgium-clash-despite-red-card-2026-07-05/
https://www.theguardian.com/football/2026/jul/06/folarin-balogun-red-card-reversal-trump-calls-fifa-explainer
まとめ
今回のバログンの出場停止猶予は、FIFA懲戒規程27条に形式的な根拠を持つ判断である。したがって、「規程にまったく存在しない超法規的措置」とまでは言えない。
しかし、ワールドカップ本大会中のレッドカードによる自動出場停止を、ノックアウトステージ直前に猶予した点は極めて異例である。過去にはロナウドのように27条による処分猶予の例があり、1962年のガリンシャのようにレッドカード後に決勝出場を認められた歴史的事例もある。しかし、現行規程の下で、W杯本大会中の選手のレッドカードによる次戦停止を27条で猶予した明確な先例は見当たりにくい。
さらに、トランプ大統領によるFIFA会長への働きかけが報じられていることで、この判断には政治介入の疑いがつきまとう。もちろん、トランプ氏の働きかけが実際にFIFAの判断を左右したかどうかは断定できない。しかし、外形的には、開催国の政治的影響が懲戒判断に及んだのではないかという疑念を生じさせるには十分である。
今回の件は、単なる一選手の出場可否の問題ではない。FIFAがスポーツの公正性をどのように守るのか、裁量的な懲戒判断にどこまで透明性を持たせるのか、そして政治とスポーツの距離をどのように保つのかを問う、極めて象徴的な事件である。
参考URL:
https://www.fifa.com/en/tournaments/mens/worldcup/canadamexicousa2026/articles/usa-folarin-balogun-available-belgium
https://digitalhub.fifa.com/m/6094262690de769/original/FIFA-Disciplinary-Code-2025.pdf
https://www.reuters.com/sports/soccer/us-striker-balogun-available-belgium-clash-despite-red-card-2026-07-05/
https://apnews.com/article/falorin-balogun-suspension-world-cup-e5a5cab5731a916808601be93cb36832
https://www.reuters.com/sports/soccer/ronaldo-cleared-play-opening-matches-world-cup-2025-11-25/
https://www.fifa.com/en/tournaments/mens/worldcup/articles/brazil-chile-1962-garrincha
アメリカvsボスニアヘルツェゴビナ戦のダイジェスト
続報:UEFAがFIFAに抗議
その後、UEFAは2026年7月6日付で公式声明を発表し、FIFAの判断について「一線を越えた」と批判した。UEFAは、レッドカード後の最低1試合の自動出場停止は裁量的判断の対象ではなく、大会途中で例外を設けることは競技の完全性と大会の信頼性を損なうと指摘している。
参考URL:
<英文全文>
Yesterday’s decision to suspend for a probationary period of a year the implementation of the one-match automatic suspension following the red card issued to the player Folarin Balogun crossed a red line.
Football, like any other sports, relies on rules, which are the basis for fair, honest and transparent competition. Sometimes rules are open to interpretation. In this case not. A minimum automatic suspension of one match following a red card is not a discretionary option and does not require the decision of a competent body to be enacted. It is a principle embedded in regulations, which cannot be made subject to exceptions, let alone in the middle of a tournament where several other players have been in the same situation and regularly served their suspension.
When the certainty of rules is no longer guaranteed by its guardians, the integrity of the game is at stake and the credibility of a competition is undermined. Equally, such decision creates a precedent in the ongoing tournament, where similar situations will now require an equal treatment, to the detriment of the competition.
Football is the most loved sport in the world because it is a beautiful game and is trusted because it is played everywhere with the same laws. A tournament is never a pure standalone and, if the tournament in question is the World Cup, it has the power to drive positive or negative consequences on the game as a whole.
We express our disbelief at such an unprecedented, incomprehensible and unjustifiable decision.
<日本語翻訳>
フォラリン・バログンに関する決定についての声明
フォラリン・バログン選手に提示されたレッドカードに伴う1試合の自動出場停止処分について、その執行を1年間の猶予期間付きで停止するという昨日の決定は、一線を越えたものである。
サッカーは、他のあらゆるスポーツと同様に、ルールの上に成り立っている。そのルールこそが、公正で、誠実で、透明性のある競争の基盤である。時には、ルールに解釈の余地がある場合もある。しかし、今回の件はそうではない。レッドカードに伴う最低1試合の自動出場停止は、裁量的に選択できるものではなく、発効させるために権限ある機関の判断を必要とするものでもない。それは規則に組み込まれた原則であり、例外の対象とすることはできない。ましてや、同じ大会中に、同様の状況に置かれた複数の選手が通常どおり出場停止処分を消化している中で、トーナメントの途中に例外を設けることは許されない。
ルールの確実性が、その守護者によってもはや保証されないのであれば、競技の完全性は危機にさらされ、大会の信頼性は損なわれる。同様に、このような決定は、現在進行中の大会において前例を作ることになる。今後、同様の状況については同等の扱いが求められることになり、それは大会にとって不利益となる。
サッカーが世界で最も愛されているスポーツであるのは、それが美しい競技だからであり、また世界中どこでも同じルールの下で行われていると信頼されているからである。一つの大会は、決して完全に独立した存在ではない。まして、その大会がワールドカップであるならば、その影響はサッカー全体に対して、良い方向にも悪い方向にも及び得る。
我々は、このような前例のない、理解不能で、正当化できない決定に対し、強い疑念と驚きを表明する。
関連情報
続報 2026/7/7 JST 9:00
その後、問題はさらに拡大した。ベルギーサッカー協会は、バログンのベルギー戦出場資格に異議を申し立てたが、FIFAはベルギー側が懲戒手続の当事者ではなく上訴資格を有しないとして、これを不適法として却下した。ベルギー側は、FIFAから十分な理由説明や決定文の提供を受けていないとして強く反発し、今後も倫理・公平な競争・サッカー全体の利益のために争う姿勢を示している。
さらに、トランプ大統領は自らFIFA会長インファンティーノ氏にレビューを求めたことを認め、FIFAの判断を「brilliant」と称賛した。一方、インファンティーノ氏は電話を受けたことを認めつつも、FIFAの司法機関は独立しており、判断は適用規則と具体的事実に基づいて行われたと弁明している。
しかし、UEFAだけでなく、ドイツ、スイス、ブラジルのサッカー関係者や、ゼップ・ブラッター元FIFA会長、ユルゲン・クロップ氏らからも批判や懸念が相次いでいる。特に、イングランド側が別の退場処分についてバログン事例を踏まえた対応を検討しているとの報道もあり、UEFAが懸念した「大会中の前例化」は、早くも現実味を帯び始めている。
試合と試合後の続報
その後、問題のベルギー対米国戦が行われ、ベルギーが4対1で米国を下した。バログンはFIFAの出場停止猶予により先発出場したが、同点ゴールにつながるFKを獲得した場面を除けば、試合全体への影響は限定的だった。
試合は、ベルギーのシャルル・デ・ケテラーレが前半に2得点を挙げて主導権を握り、後半には米国GKのミスからハンス・ファナケンが追加点、さらに終了間際にロメル・ルカクが4点目を決めた。これにより、開催国アメリカはベスト16で敗退し、カナダ、メキシコを含む開催3か国はいずれもラウンド16で姿を消すことになった。
この勝利は、ベルギー側にとって競技上の勝利であると同時に、FIFAの判断に対する象徴的な回答とも受け止められた。ベルギー代表の公式SNSは試合後、「Overturn this」と投稿し、バログンの出場停止猶予を皮肉った。ベルギーMFニコラス・ラスキンも、FIFAの判断を不公平と感じていたことを明かしつつ、今回の勝利を「正義」が示されたもののように語っている。
一方で、ベルギーのルディ・ガルシア監督は、試合後にバログン本人と話し、「これは君のせいではない」と伝えたという。つまり、ベルギー側の怒りはバログン個人に向けられたものではなく、あくまでFIFAの懲戒判断とその一貫性の欠如に向けられたものだったといえる。
Overturn this. 🧏♂️ #USABEL pic.twitter.com/KcBAJp3Z7d
— Belgian Red Devils (@BelRedDevils) July 7, 2026
Trump Dance Celebration by Lukaku
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Lukaku adds the finishing touch to a dominant Belgian display! 💥
— ITV Football (@itvfootball) July 7, 2026
The co-hosts have been dismantled. pic.twitter.com/HZinPxiu5I
