桜、水芭蕉、山菜 早まる北国の春
■4月中旬なのに桜咲く
札幌管区気象台は4月18日、構内のソメイヨシノ標本木が開花したと発表しました。平年(5月1日)より13日早く、昨年よりも5日間早め。1953年の観測開始以来、2023年(4月15日)に次ぐ2番目の早さとなりました。
私もちょうどこの日、開花を目の当たりにしました。狸小路の1丁目と2丁目の間。ビルに囲まれているため、例年早めに咲き誇る桜並木のつぼみが一気に開いていたのです。

北海道に暮らして三十年余り。学生時代はゴールデンウイーク(GW)明けが見頃だったのに、社会人になってからはGW中に花見ができるようになり、ここ数年はGW前に満開になっています。地球温暖化のスピードが加速しているのではと不安を覚えます。
ほかの植物も例外ではありません。春の楽しみでもある山菜採りも、ここ最近はどんどん前倒しになっています。
天気予報ではこの日、札幌の最高気温が18℃と予測されていました。

「さすがに山菜は早すぎるかな」と思いつつ、陽気に誘われて札幌の北側に隣接する石狩市方面へ車を走らせました。
■湿原に水芭蕉の大群落
まず訪れたのは、石狩川が日本海に注ぐ河口部分にあるマクンベツ湿原。ここはミズバショウ(水芭蕉)の群生地として知られ、毎年GWに多くの人が訪れるのですが、今年は1週間ほど前倒しでピークを迎えているとのニュースを目にしました。

駐車場に車を停めて土手を登ると、まもなく湿原入り口の看板が見えてきます。約130ヘクタールの湿原には幅約1メートル、長さ約400メートルの木道がまっすぐに整備されています。

最初は「まだピークというほどでもないのかな?」との印象を受けましたが、木道を少し歩けば、あちこちで白くかれんに咲き誇っています。

咲き誇るとは言っても、白いのは花ではなく、大きな葉が変形した「仏炎苞(ぶつえんほう)」。肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれる花を包み込むような形をしているのです。白いほうの中にある棒状の部分が花なんですね。

群落を超えて歩くと、木道の行き止まりは石狩川の河岸。

まだ少し寒々しい景色でしたが、ハクチョウたちが川の中をついばむ姿が見られました。雪解け時期を迎え、北へと向かう渡りの季節なのかもしれません。
■林道沿いに芽吹く山菜
マクンベツ湿原を後にし、車を走らせること約30分。石狩市内の山へ向かうと、既にコシアブラの木に芽が出ていました。新緑の若芽は食味が良く、「山菜の女王」とも呼ばれています。

さらに車を走らせると、林道沿いのタラノキも芽吹いています。言わずと知れた「山菜の王様」。コシアブラと同様、天ぷらにして食べるのがおすすめです。

タラノキは枯死しないよう、最初に生える「一番芽」を収穫するのがマナー。ある程度育っている一番芽だけを少し摘ませてもらいました。

この一帯はタラノキが大量に生えているのですが、芽が出そろうのはこれからといった感じでした。

北海道で最もポピュラーな山菜はフキです。市街地にもたくさん生えていますが、山のフキなら排気ガスも犬の小便も浴びておらず、安心して食べられます。エゾシカやクマの糞にまみれている可能性はありますが…。
あまり大きくなりすぎると硬くなってしまうので、ほど良い大きさのフキを見つけて収穫しました。

山を少し登るとまだ雪渓が残っており、その脇には地面から顔を出したばかりのフキノトウもあちこちに。北海道では食べない人も多いのですが、少し苦い「フキ味噌」は私にとって春の味覚。こちらも一人で食べられる分を摘みました。

とうが立つ(茎が伸びて花が咲く)前の、これぐらいの段階だと苦みが少なくおすすめです。
■さっそく「春」を味わう
さて、夕方に自宅へ戻ると、さっそく山菜を味わう準備を進めました。
まずはフキから。

水洗いし、鍋に収まる大きさに切って軽くゆでます。

ざるで水を切って冷ました後、皮や筋を取る作業が手間取ります。でも、この状態にしておけば色々な料理に使えますし、冷蔵・冷凍保存もできます。

この日は半分をフキ炒めに。残りは後日、味噌汁の具材にするため冷蔵庫で保管することにしました。

斜めに切ったフキをごま油で炒め、日本酒とみりん、醤油を和えれば簡単にフキ炒めの出来上がり。胡麻や味噌汁用のだしの素を加えるのもおすすめです。

フキ味噌は至って簡単。洗ってゆがいた後、粗く切って適量の味噌と混ぜ合わせるだけです。
クックパッドで調べれば色んな材料を混ぜるレシピもありますが、私はシンプルなフキ味噌をご飯に載せるのが好き。わさびなどの薬味と同様、肉や魚料理に付け合わせても美味しいです。

コシアブラとタラの芽はもちろん天ぷらに。こちらはシンプルに塩でいただきます。

そんなわけでフキ炒め、フキ味噌、天ぷらと、夕食用の副菜が完成。

天ぷらにフキ味噌を少し載せて食べたところ、「あー、北海道に春が来たなあ」と実感しました。
ほかにも今の時期は「アイヌネギ」と呼ばれる行者ニンニクが絶品。
GW以降は道民にとってのタケノコ(孟宗竹)代わりのチシマザサ(通称ネマガリダケ)が愛好家に人気です。
ネマガリダケ採りに関しては夢中になって山を分け入っては遭難する人が毎年後を絶ちません。
市街地付近へのクマ出没も相次ぐ昨今、私も注意を怠らず、今季も山菜採りを楽しもうと思っています。温暖化がこれ以上進まないことも願いながら。
