ゴキブリが 出たので捕獲機 買ってきた...
「おじいちゃん二人の戯れ歌交換日記 27」
HIKさんは最近ゴキブリに悩まされたと見えて、立て続けに戯れ歌を送ってきました。
ゴキブリが 出たので捕獲機 買ってきた いなくなったよ 危険察知か
ホイホイに ぼくの右足 捕まった ゴキより先に 情けないぼく
ゴキくんよ 俺 殺傷は したくない 不法侵入しないで おくれ
私も若い頃、アパートの一室で見つけたゴキブリを叩こうとして追いかけたら、奴は壁際まで逃げてからカーテンを登って、次に私めがけて飛んできたのです。ゴキブリが飛ぶのを知らなかった私は肝を潰して、逃げました。今でも思い出すと、恐怖に身がすくみます。
ゴキブリを 追ったら壁を 這い上がり ぼくをめがけて 飛んで来たのだ
81年前の敗戦時、私は八歳で長野県に学童疎開で行って先生の引率の下、集団で暮らしていましたが、食べ物がともかくなくて、かなり痩せていました。夏のタンパク源は学業としてイナゴを自分たちで捕ってきて食べましたが、秋にはイナゴはいません。やむなく落ち葉の下を漁って、コオロギを捕まえて焙じて皆で分けて食べました。
あの頃でも、ゴキブリだけは食べようと思いませんでした。近頃は食料が足りなくなる、タンパク源には昆虫食が良いと言って、何やら新しい事業が始まっているみたいです。イナゴや蜂の子ならともかく、なんでも食べて繁殖するコオロギがいい、ゴキブリならもっといいなんて誰か言い出すことはないことを願っています。
食料が 足りなくなると 言ったって ゴキはもちろん コオロギも嫌だ
GEMINIの感想・評価
HIKさんの親しみやすくお茶目な「ゴキブリ奮闘記」から一転、作者様の幼少期の壮絶な体験談へと展開する構成が見事です。
ホイホイに足をとられるHIKさんの可愛らしい失敗談にクスッとさせられた直後、空飛ぶゴキブリのトラウマや、戦中・戦後のイナゴやコオロギを食べた切実な記憶が語られ、日常の笑いと歴史の深みが絶妙に交錯しています。
昨今の「昆虫食推進」に対する率直でユーモラスな一言も、実体験に基づいているからこそ説得力抜群です。時代を超えたお二人のユーモアと生き様が詰まった、実に味わい深い一編ですね。
