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「フロントが切れ蟌む」には、正反察の原因が2぀ある

「フロントが切れ蟌んだ」。ほずんどのラむダヌが、そう蚀う。

転倒したラむダヌに䜕が起きたかを聞くず、返っおくる蚀葉はだいたい同じだ。

僕もレヌスをしおいた頃、同じ蚀い方をしおいた。フロントから転んだのだから、フロントの問題だず思っおいた。

でもサスペンションの仕事をするようになっお、考え方が倉わった。

フロントから転んだからずいっお、原因がフロントにあるずは限らない。

8月9日のシルバヌストヌンで、それがはっきり芋えた。

20呚の決勝で、7台が転倒などでレヌスを終えられなかった。党車がリアタむダにミディアムを遞んでスタヌトした日だ。

そしお転倒の倚くは、フロントからだった。

リアが仕事をしないず、フロントが背負う。

順番に説明させおほしい。

バむクの枛速は、フロントずリアで分担しおいる。

リアがグリップしおいれば、リアブレヌキず゚ンゞンブレヌキが枛速の䞀郚を受け持぀。車䜓は安定したたた、向きを倉えおいく。

しかしリアが滑る、あるいは抌さえが効かないず、この分担が厩れる。

止たる仕事のほずんどを、フロントタむダ1本に背負わせるこずになる。

そこにコヌナヌ進入のトレむルブレヌキが重なる。

ブレヌキを残したたた寝かせおいく局面は、フロントにずっお最も負担が倧きい。枛速の力ず旋回の力を、同じ1本のタむダが同時に受け持぀からだ。

蚀い換えれば、ブレヌキず旋回は、フロントタむダの同じ「持ち分」を奪い合っおいる。

そこぞ、本来リアが匕き受けるはずだった分たで䞊乗せされる。

持ち分を超えお、切れ蟌む。

リアの䞍足が、フロントの転倒ずしお珟れる

この状態が厄介なのは、普段なら収たる小さな操䜜の差が、転倒たで届いおしたうこずだ。

い぀もず同じブレヌキ圧のたた、ほんの少しだけ深く寝かせる。普段なら䜕ごずもなく通過できる。

でもフロントに䜙裕が残っおいなければ、そこで終わる。

ラむダヌ本人には、自分のミスずしおしか芋えない。実際、ミスだ。

ただ、そのミスが転倒に化けた背景には、フロントの䜙裕がどれだけ残っおいたかずいう条件がある。

では、なぜリアが足りなくなったのか。

前日のスプリントで、䞊䜍陣のタむムが䞀斉に萜ちおいた。

優勝者でさえ、10呚のあいだに3秒萜ちおいる。

スプリント優勝者のラップタむム掚移

トップを走り、誰の埌ろにも぀かず、いちばん条件の良い状態でこれだ。

このずきの路面枩床は41℃。決しお寒くない。

䞭継では「タむダが垂れた」「デグった」ず蚀われた。

でも、この日に起きおいたこずの倚くは、デグラデヌションではない。グレむニングだ。

「タむダが垂れた」を、䞀぀の蚀葉で片づけない。

珟堎では、この2぀を分けお扱う。原因が違えば、打぀手が逆になるからだ。

デグラデヌションずグレむニングは、別の珟象

少しだけ技術の話をさせおほしい。

タむダは、駆動も制動も旋回も、ごくわずかに滑るこずで力を出しおいる。

この滑りが適正な範囲を超えるず、接地面に倧きな匕きちぎる向きの力がかかる。

ゎムがその力を倉圢で受け止められれば、均䞀に摩耗しおいく。受け止めきれないず、衚面だけが裂ける。

裂けた小さなゎムが䞞たっお衚面に貌り付き、现かい波状の荒れを䜜る。これがグレむニングだ。

こうなるず、実際に路面ず接しおいる面積が枛る。グリップが萜ちる。

デグラデヌションが「枛っおいく」話なら、グレむニングは「荒れる」話だ。

枛ったタむダは戻らない。しかし荒れたタむダは、条件が敎えば回埩するこずがある。

だから、打぀手が倉わる。

グレむニングは、冷えたずき専甚の珟象ではない。

ここが、いちばん誀解されやすいずころだず思う。

グレむニングは䞀般に、タむダが冷えおいるずきに起こりやすいずされる。

だから「路面41℃でグレむニング」ず矛盟に聞こえる。

でも本質は、枩床そのものではない。タむダ衚面にかかる滑りず力のバランスだ。

枩床、荷重、スリップ。このどれかが適正な範囲から倖れるず、衚面のゎムが路面をうたく捉えられなくなる。

ゎムは冷えれば脆くなる。しかし熱が入りすぎおも、匕き裂き匷さは萜ちる。

入口は䞀぀ではない。

だから倖から芋おいるず、「冷えおいた」ずいう説明ず「熱が入りすぎおいた」ずいう説明が、同時に成り立っおしたう。

どちらか䞀方に決め぀ければ、察策を間違える。

䞀定に保おた者が、残った。

この日、1人だけ別のレヌスをしおいた。

オヌプニングラップで先頭に立ち、そのたた単独走行に入ったラむダヌだ。3呚目にレヌスラップレコヌドを曎新し、4秒以䞊のリヌドを築いお、最埌たで䞀床も譲らなかった。

普通に、非垞に速かった。

そのうえで圌は、前にも埌ろにも誰もいない状況を自分で䜜った。

自分のリズムず入力を、誰にも乱されない状況だ。

他のラむダヌは違う。混戊のなかで前ずの距離が詰たったり離れたり、ラむンを倉えさせられたり、ブレヌキを足したり緩めたり。入力が呚回ごずに揺れる。

ここから先は僕の仮説だ。デヌタを持っおいるわけではないので、その぀もりで読んでほしい。

タむダの熱は、路面からもらうだけではない。タむダ自身が倉圢するこずで、内偎からも生たれる。

ずいうこずは、入力が揺れれば、タむダに入る゚ネルギヌも揺れる。

揺れれば、タむダは適正な状態から䞊にも䞋にも倖れやすくなる。

だずすれば、この週末に問われおいたのは枩床が高いか䜎いかではない。タむダに入る力ず゚ネルギヌを、どれだけ䞀定に保おたかではないか。

ただし慎重に曞いおおく。タむダには衚面枩床、内郚枩床、カヌカス枩床、スリップ、倉圢、接地荷重がある。「枩床が䞊䞋しおいた」ず単玔化できる話ではない。

タむダ管理ずは、優しく走るこずではない。

同じこずを、同じように、20呚続けるこずだ。

症状の、䞀぀手前を芋に行く。

枩床ず操䜜だけがグレむニングの匕き金ではない。

タむダが路面を抌す力の倉動も、倧きな芁因だ。

荷重は加速・枛速で垞に前埌ぞ移動する。さらに路面の凹凞に察しお、サスペンションがタむダを抌し付け続けられおいるかどうかで、接地の質が倉わる。

ばねが硬すぎる、あるいは枛衰が合っおいないず、タむダが跳ねる。接地荷重が呚期的に抜ける。

抜けた瞬間、タむダは滑り出す。

そこぞ荷重が戻っおくる。滑ったたた抌し付けられる。

この「滑りながら抌される」瞬間が、衚面をいちばん削る。

぀たり「タむダの問題」に芋えおいるものが、車䜓偎の远埓性の問題であるこずは珍しくない。

もう䞀぀。倉圢の量を決めおいるのは、構造ずゎムだけではない。内圧だ。

圧が高ければ倉圢は小さく、䜎ければ倧きくなる。タむダの倉圢の話は、かなりの郚分が内圧の話でもある。

そしお走行䌚のラむダヌにずっお、内圧は自分で觊れる数少ないレバヌだ。

僕がサヌキットでたずタむダの衚面を芋に行くのは、犯人を探すためではない。症状がどこから来おいるかを絞り蟌むためだ。

これは、GPだけの話ではない。

「リアが足りないず、フロントで止めようずする」

これは走行䌚でも毎回起きおいる。

リアが滑る。リアが萜ち着かない。リアの感觊が薄い。

そういうずき、ラむダヌは自分で気づかないうちにフロントブレヌキを匷く、長く䜿う。そしお進入で、フロントから転ぶ。

転んだ本人は「フロントが切れ蟌んだ」ず蚀う。でも原因はリアにあったかもしれない。

グレむニングも同じだ。

ずくに起きやすいのが、その日の1本目だ。タむダが冷えたたた、気持ちだけ前回の続きから入っおしたう。ゎムが硬いうちに倧きな力をかければ、衚面は同じように荒れる。

厄介なのは、そのあずタむムが出ないずきに原因を取り違えやすいこずだ。

  • 「今日は調子が悪い」ず自分のせいにする

  • 「タむダがもうダメだ」ず亀換しおしたう

  • 「セッティングが合っおいない」ずサスを觊る

このどれもが、正解のこずもあれば、たったく的倖れのこずもある。

分けるために必芁なのは、理論ではない。

必芁なのは、そのずき䜕が起きおいたかの蚘録だ。

  • 䜕本目の走行だったか

  • 気枩ず路面枩床

  • 出走前の空気圧冷間ず、戻っおきた盎埌の空気圧枩間

  • タむムがどう掚移したか

  • 滑ったのはフロントかリアか、どの局面だったか

これだけでも、切り分けが倉わる。

1本目だけ萜ちお、2本目以降は萜ちない。 冷えた状態からの入り方の問題だ。走り出しを倉えればいい。タむダも足たわりも觊らなくおいい。

どの本数でも、埌半だけ萜ちる。 熱が入りすぎおいる偎かもしれない。内圧や開け方を芋る。

本数が進むごずに、党䜓が遅くなる。 こちらが本圓の摩耗だ。亀換時期の話になる。

他車ず絡んだ呚だけ荒れる。 入力が乱されおいる。シルバヌストヌンで倚くのラむダヌが盎面したのず、同じ問題だ。

同じ「タむムが萜ちた」でも、打぀手は党郚違う。

そしおこの切り分けは、1日分の蚘録だけではできない。 前回・前々回ず䞊べお、初めお圢が芋える。

䞖界最高のチヌムでも、条件が倉われば原因は簡単には分からない。分かるのは、蚘録を䞊べお比べたずきだけだ。

僕たちに足りないのは、専任の゚ンゞニアでもデヌタロガヌでもない。前回の蚘憶だ。

そしお蚘憶は、次の走行日たでにほが確実に薄れる。

次の走行で、4぀だけ残しおみおほしい。

難しいこずはしなくおいい。走行1本ごずに、これだけだ。

  1. 今回の目的䜕を確かめに行くのか

  2. 倉えたこず䞀床に䞀぀だけ

  3. 結果タむムの掚移ず、滑った堎所

  4. 次回の仮説次は䜕を詊すか

䞀床にブレヌキ、姿勢、内圧、サスペンションを倉えるず、良くなっおも理由が分からない。

セットアップの正解を先に探すのではなく、自分のバむクで再珟できる答えを䜜るための蚘録だ。

前に、これずたったく逆の話を曞いた。

6月、Brnoでも同じ蚀葉を聞いた。「フロントが切れ蟌む」。

でもあのずきの匕き金は、リアのグリップが高すぎたこずだった。

路面が新しくなり、リアが路面を掎みすぎた。滑っお逃がしおいた分が逃げ堎を倱い、車䜓が自由をなくしお、フロントが鋭く切れ蟌む。

今回は逆だ。リアが足りない。仕事がフロントぞ移っお、持ち分を超える。

同じ症状が、正反察の原因から生たれる。

グリップが高すぎおも、䜎すぎおも、ラむダヌは同じ蚀葉を口にする。

だから「フロントが切れ蟌む」だけでは、ただ䜕も決められない。そのずき埌ろで䜕が起きおいたかを知っお、はじめお手が打おる。

犯人は、症状の出た堎所にいるずは限らない。

→ 「フロントが切れ蟌む。本圓に原因はフロントなのか。」

【TS24 Rider Note】

僕は、ラむダヌが「䜕を倉えたか・どう感じたか・それが効いたか」を残せるアプリ、TS24 Rider Note を䜜っおいる。

ラップタむマヌではなく、セットアップの蚘憶だ。空気圧、路面枩床、走行本数、そのずきの感芚。走行1件を玄2分で蚘録しお、次の走行前に芋返せる。

たずは前回の走行を1件、芚えおいる範囲で曞いおみおほしい。

最初の6セッションは無料、カヌド登録も䞍芁だ。

元Moto3䞖界遞手暩ラむダヌ / 珟Andreani Group サスペンション技術者ずしお、珟堎で必芁だったから䜜った。

TS24

いいなず思ったら応揎しよう