外食産業の勝ち筋
vol.1699
今、消費者リサーチを行っていると、外食に対するシビアさが増してきていると感じます。
物価高でメニューの値段が上がっていることはもちろんのこと、人件費なども上昇しているので、量や質を下げる工夫も垣間見える…
しかも、人手不足により、これまでのような高い接客サービスをも望めなくなっているとも言えるでしょう。
そうなってくると外食が余計に割高な感じがしてしまう…
しかも、これまで好調だった外食チェーンでさえ、苦しい状況がうかがえます。
例えば、サイゼリヤです。
今年度の客数が全ての月で前年同月比10%超という脅威的な集客力を誇っていながらも、2026年度の通期純利益予測・124億円を、4.8%低い118億円に引き下げています。
これは、食材費高騰の影響を受け、国内事業の粗利率が2.3ポイント低下することなどを予想しての判断です。
そんな中、外食産業の勝ち筋は何なのでしょうか?
今日は、そこに迫っていきたいと思います。
外食需要を奪うコンビニの攻勢
勝ち筋を見る前に、最近気になる外食産業にとっての脅威があります。
それが、コンビニの「出来立てメニュー」です。
〈ITmediaビジネスONLINE / 2026年4月24日〉
例えば、ローソンでは昨年7月に東京の北大塚一丁目店で自動調理ロボットを試験的に導入。
出来たてをウリにした「たまごチャーハン」「野菜炒め」の提供を開始しました。
料金はいずれも538円。
外食並みの美味しさが、安い値段で食べられると注目されているのです。
さらに同年12月には、同じ調理ロボでつくるパスタメニュー3種を新たに追加。
1000円超の商品もあり、コンビニ商品としてはこれまで考えられなかったような高価格帯で勝負に出ています。
フードライターの田窪綾さんは
「完成したチャーハンを実際に試食した。香ばしい香りに加え、米粒はべたつかずパラッとした仕上がりで、卵はところどころ焼き目もついている。家庭用の火力や、電子レンジで調理したチャーハンとは明らかに異なっており、街の中華料理店の一皿に近い印象を受けた。
(中略)
パスタも従来のコンビニ商品と比べて麺の弾力がしっかりと感じられた。アマトリチャーナは厚切りベーコンのジューシーさやチーズのコクがアクセントになっている。カルボナーラはクリームのコクとベーコンの塩気のバランスがよく、仕上げに振られたこしょうの香りも際立っていた」
と仰っている通り、その本格的な味わいは、これまでのコンビニメニューとは一線を画すもの。
パスタも1000円と高いですが、最近は東京ではなかなかその値段で美味しいパスタが食べられなくなっているので、ニーズはあるでしょう。
セブンイレブンでもカウンター商材を「Live-Meal」として再編し、店内で焼いたパンなどの商品を強化。
小型スーパーに押されがちだったコンビニ各社が、出来立てメニューで攻勢をかけています。
外食産業の2つの勝ち筋
そんな中、大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆するフリーライターの不破聡さんは、外食産業の2つの勝ち筋を挙げています。
〈集英社オンライン / 2026年4月23日〉
1つは、朝昼夜と休憩時の利用も取り込む全方位型の店舗展開。
もう1つがブランドを複数展開する多業態化です。
全方位型で成功している典型的な企業がマクドナルドでしょう。
2025年度は1割を超える営業増益で、今年度も営業利益は2.3%の増加を見込んでいます。
ファストフード業界の中でも値上げスピードが速かったブランドの一つでしたが、客数増を維持。
好調の理由は、早くからランチ以外での利用シーンの取り込み強化に動いていたことでした。
2023年に「本気カフェ宣言」を打ち出し、従来のコーヒーを刷新した「プレミアムローストコーヒー」の提供を開始。
2024年1月には「キャラメルラテ」もリニューアルしている。カフェ利用を促しています。
逆にガッツリ食べたい夜は、2018年からハンバーガーの肉が2倍になる「夜マック」を導入。
朝と昼以外の需要獲得に動いていました。
ちなみに、「ハンバーガー店」市場は全体に好調で、2025年度(2025年4月~2026年3月期決算)における市場規模(事業者売上高ベース)は、1兆300億円前後に達する見通しと2月に報道されていました。
〈帝国データバンク / 2026年2月8日〉
利便性で勝つマクドナルドに対して、モスバーガーやバーガーキング、グルメバーガー店のように「品質」や「体験」を求めるニーズの二極化が鮮明に。
新業態への転換で再起を図るゼッテリアにも注目が集まっています。
新業態を取り込む一手
“新業態”(他業態化)が不破さんが示す第二の勝ち筋として挙がっていましたが、その代表例の1つがすかいらーくホールディングスです。
最近も、3月に定食チェーン「しんぱち食堂」の運営会社を投資ファンドから110億円あまりで買収すると発表しています。
すかいらーくといえば2年前、資さんうどんを買収。
北九州に行った時のあの喜びが、関東でも味わえるということで私も興奮したことを昨日のように覚えております😊
主力レストランのガストの単価が上がって集客力が落ちたため、低単価の資さんうどんはまさに希望の星。
今回のしんぱち食堂もガストと比較すると低単価ですし、出店エリアについても都市部の繁華街に集中しています。
一方、すかいらーくは郊外のロードサイドに強みを持つため、ブランドと出店形態における弱点を買収によって克服することになる。
吉野家ホールディングスもラーメン店を複数買収しており、そのノウハウを活かして吉野家ブランドの店でもラーメンを提供するようになりました。
これも牛丼だけでは生き残れない多業態化。
ちなみに、「牛丼・油そばセット」を初めて見たときの感動は忘れられず、私はこのコンビをら“ドリームセット”と呼んでいます(笑)

そう思うのは私だけではなさそうで、発売から約1ヵ月で累計販売数150万食を突破。
吉野家がラーメン店を買収しているシナジー効果が出ていますね😊
昨年12月には競合の松屋フーズホールディングスもつけ麺の名店「六厘舎」などを運営する株式会社松富士の全株式を取得しています。
このように多業態化することで売上機会の拡大やリスクの分散を図っている。
もちろん、それによるリスクもありますが、外食産業の各社は生き残りをかけて、様々な知恵を絞っています。
そして、いろいろなメニューについて語っていたら、何だかお腹が空いてきました…
このあとは、美味しい夕食を楽しみたいと思います〜
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

