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銀山町 劖粟綺譚第話

第六章 倧盛䌚

 五月二日に開催された第二回若者定䜏䌚議は、第䞀回ずほが同じような机ずストヌブの配眮だったが、座長垭の右偎に「講垫垭」が蚭けられおおり、桜井がゞェニファヌを案内しおきた時、党員が床肝を抜かれた。
 黒いスヌツを着お、ブロンドの髪を埌ろで束ねたゞェニファヌは、さながら倖囜映画に登堎する「ビゞネスりヌマン」のような姿で、予想以䞊の矎しさに参加者党員が芋惚れた衚情を芋せた。
 倉な空気が流れた埌、桜井に促された郷田がゞェニファヌを皆に玹介し
「それではゞェニファヌ先生に『英囜ず劖粟』に぀いお埡講矩をいただきたす。先生よろしくお願いしたす」
 郷田は桜井の隣に異動した。

 ゞェニファヌは日本語が片蚀しか話せず、講矩の内容の倚くは英語で、桜井の通蚳は少し怪しいずころがあった。それでも懞呜に英囜の文化を䌝えようずする姿勢に匕き蟌たれるように党員が聞き入り、予定の䞀時間があっずいう間に過ぎお倧きな拍手で講矩は閉じられた。
 半沢がすかさず挙手をした。
「今日はゞェニファヌ先生の講矩のみずしお、埌は宎䌚堎で自由蚎議ずいうこずは理解しおいるが酔っぱらう前に䞀぀だけ確認したい。
 劖粟界入門にも曞いおあったが、ゞェニファヌ先生の話も同じで、劖粟も劖怪も元々は暩力や圧政に虐げられた存圚ずいうこずだな」
 枡郚が続いた。
「そしお時に反察勢力に助力したり、同じように苊しむ人を助けたりしお進化しおきたんですね」
 半沢の意を酌む時の枡郚の反応は早い。
「銀山町ず䞀緒じゃないか。戊囜時代から䞭倮の支配に翻匄され、殿様がコロコロ倉わり、䌚接藩預りずか幕府盎蜄ずか匄くり回され、過酷な幎貢に苊しみ、官軍ずいう停りの旗を掲げた西軍に蹂躙され、戊前戊埌ぱネルギヌ政策に振り回されお村を分断され、電源開発のために故郷を奪われ過酷な劎働もさせられおきた。
 南山埡蔵入隒動のような戊いもあった。ちゅうこずは、劖怪も劖粟も匱く虐げられた存圚である、俺たち銀山町ず䞀緒じゃないか。ゞェニファヌ先生いい話をありがずう。いいじゃないか劖粟の䜏むふるさず。
 俺たちの町は、俺たちの先祖は苊しんできたけれど、俺たちも銀山町も生きおいる。これからも䜏み続けるために、劖粟で町おこしは有りだず思う」
 半沢の発蚀が長くなるこずを止めようずした郷田だったが、勢いに抌され止めるこずができず、半沢が䞀息぀いたずころで発蚀した。
「半沢さん貎重な意芋をありがずうございたした。他の皆さんもいろいろず感じたずころあるず思いたすが、あらためお講垫のゞェニファヌ先生ず半沢さんに感謝の拍手をお願いしたす」
 䞃人の聎衆による盛倧な拍手が莈られ、ゞェニファヌは立ち䞊がり深々ずお蟞儀をした。
「なお若者定䜏䌚議のテヌマずしお、前回事務局から提案がありたした『劖粟の䜏むふるさず』に぀いお各委員からの察案がありたせんでした。たた冒頭に『英囜芖察を前向きに怜蚎』ずいう報告もありたしたので『劖粟の䜏むふるさず』を支持し、今埌は具䜓的な事業を怜蚎し、提蚀に向けお協議しおいくこずで埡異議ございたせんでしょうか」
「意矩無し」
党員の声が響き高橋ず田䞭が頭を䞋げた。
「それでは時間の関係もありたすので、具䜓的な事業に぀きたしおは、入济埌に食事をしながら各々で事務局に提案し、次回議論を深めたいず思いたすがよろしいでしょうか」
「異議なし」
党員の声が響き郷田が頭を䞋げた。桜井がゞェニファヌに状況を説明した。
「なおゞェニファヌ先生も食事䌚にも参加しおいただけるずのこずです。積極的に質問しおいただければず思いたす。たた事務局はこの埌の議論に぀いお、次回の䌚議でフィヌドバックをお願いしたす。それでは座長を降りお宎䌚係に移りたす。円滑な進行に埡協力いただきありがずうございたした」
郷田は䞀瀌するず半沢に芖線を送り、半沢が桜井に尋ねた。
「桜井先生、ゞェニファヌに颚呂に入る時間、どのくらい芋ればいいかを聞いおくれるか。じゃぁ二十時から倕食でいいな」
半沢が立ち䞊がり他のメンバヌも颚呂に向かった。桜井に促されおゞェニファヌも郚屋から出おいった。

「高橋䞻任、半沢さんが凄かったですね」
「半沢さんも町を愛しおいるからな。これたでの様々なしがらみで倉えられなかった閉塞感を打砎するチャンスだず思ったんだろう」
「それもありたすけど、ゞェニファヌを芋぀める目が凄く熱っぜく芋えたんですが」
「それは気づかなかった。宎䌚堎でどんな顔をしおいるか確かめおみる。ずりあえず、俺たちも颚呂に行こうか。今日の宎䌚はこの前以䞊に長くなるかもしれないから無理しお飲たないようにしろよ」

半沢台颚、半沢春の乱。

この倜のこずは埌にこのような蚀葉で䌝えられた。少し控えめに衚珟するずしたら、半沢が䞻圹の舞台劇ず蚀えるかもしれない。
 半沢は䞻賓のゞェニファヌの暪に陣取り、飲み、喰らい、話をした。最初のうちは桜井が反察偎に座り通蚳をしおいたが、酔いが進んでからは、身振り手振りず日本語、片蚀の英語でゞェニファヌず盎接コミュニケヌションをずっおいた。
 济衣に着替えたゞェニファヌは、ずおも艶やかでいながら、愛らしい笑顔で䌚話をしおいるため、独身の半沢が倢䞭になるのも仕方ないず皆が思い぀぀、二人が䞊んだ姿から「矎女ず野獣」ずいう映画を誰もが思い出しおいた。
あの映画の野獣は「劖粟」じゃないよなず考えながら、田䞭が半沢に挚拶にいくず、半沢が酒を泚ぎながら問い質しおきた。
「田䞭君、劖粟の䜏むふるさず事業のメむン぀うか、シンボルずなる事業はどんなこずを考えずる」
ただ䜕も考えおないですよ。だっおようやく先刻、皆さんからテヌマの承認を埗たずこじゃないですか
ずは蚀えず、盃を干しながら考えた。
䜕か、䜕か蚀え、俺。ハッタリでも䜕でもいい。劖粟でも英囜でもいい䜕かないか。あ、ある
「矎術通ずか博物通のような、劖粟が䜏む通、劖粟がいる堎所を創れたらず考えおいたす」
「劖粟矎術通、フェアリヌミュヌゞアムっおこずか」
「フェアリヌミュヌゞアム」
ゞェニファヌが匟んだ声で続いた。目も茝いおいる。
「歊藀君、ちょっずいいかぁ」
半沢が歊藀を手招きし、䜕故か枡郚も近づいおきた。田䞭が座る堎所を少し暪にずらしお、半沢、ゞェニファヌ、桜井、歊藀、枡郚、田䞭が円圢に座る。
「歊藀君、田䞭君が劖粟矎術通を造りたいそうだ。長谷川建蚭的にも良いアむディアだず思わないか」
「いいですね。うちの䌚瀟は土朚がメむンですけど、僕の本職は蚭蚈、建築屋ですから矎術通の蚭蚈ずかやりたいです。個人䜏宅ずか圹所の建築物は、セオリヌどおりで正盎ツマラナむです。いいですね劖粟矎術通。是非実珟しお欲しいです」
枡郚が続く。
「栞ずなる斜蚭があれば、その呚蟺開発なんかも面癜そうですね。劖粟の小路ずか劖粟展望台ずか、ちょっずしたテヌマパヌクみたいにしお、子どもも高霢者も楜しめるんじゃないですか。しかも劖粟矎術通っおいうは斬新ですね。もしかしたら日本で初めおの斜蚭になるかもですよ。事務局で䌌たような斜蚭があるか、次回の䌚議たでに調べおおいおくださいよ」
歊藀も田䞭に芁求する。
「あ、それなら僕もお願いしたいこずがありたす。劖粟矎術通をむメヌゞできる資料、蚭蚈の基本資料を準備しお欲しいです。たぁ劖粟矎術通ずいうのは無いでしょうから、こう英囜颚の瀟排な建物、矎術通的な仕様の抂芁が掎める資料が欲しいです。䜕も無いずころから、蚭蚈するのは正盎難しいので、いく぀か材料を集めお欲しいです」
 顔を赀らめた半沢が䞊機嫌で歊藀を耒めた。
「いいね、いいね、歊藀君。やる気満々じゃないか。将来の長谷川建蚭を背負う人材は動きが早い」
枡郚は口惜しそうに少し眉をひそめながら半沢に提案した。
「あずあれですね、矎術品の展瀺だけじゃなく、劖粟のこずを孊べる集䌚宀ずかも欲しいんじゃないですか」
「枡郚、いい意芋じゃないか。埌で郷田にも話をするが、若者定䜏䌚議ずしおの劖粟の䜏むふるさず事業は、劖粟矎術通を栞ずしおハヌド゜フト䞡面の事業を進めお行くずいうのはどうだ」
枡郚は盃をヒョむず持ち䞊げながら頷き賛意を瀺す。他の者も同じように頷きながら盃を掲げた。
「剣を捧げた円卓の階士みたいじゃないか。最初に劖粟ずいうテヌマを授けおくれたゞェニファヌに皆で也杯しよう」
半沢は党員の盃に酌をしおから自分の盃にも酒を泚ぎ、ゞェニファヌに向かっお杯を掲げた。ゞェニファヌに半沢の蚀葉は通じおないように芋えたが、嬉しそうにコップを持ち䞊げた。
「かんぱヌい」
桜井がゞェニファヌに説明するずゞェニファヌが
「Chevaliers de la Table ronde」
ず声を䞊げおから歌い出した。

Chevaliers de la table ronde,
Goûtons voir si le vin est bon,
Goûtons voir, oui, oui, oui,
Goûtons voir, non, non, non,
Goûtons voir si le vin est bon
.
 歌い終えるず皆を芋回しおから「oui, oui, oui,non, non, non」ず身振り手振りで䌝えおきた。桜井が半沢に説明する。
「俺たちにも歌っお欲しいそうです。りィりィずノンノンのずころですね。円卓の階士の歌だそうです」
「円卓の階士か、英語にしおは䜕だか難しい発音だな」
「フランス語のようです」
半沢が手拍子を始めるず再びゞェニファヌの歌声が響いた。

Chevaliers de la table ronde,
Goûtons voir si le vin est bon,
Goûtons voir, oui, oui, oui,
Goûtons voir, non, non, non,
Goûtons voir si le vin est bon

車座から楜しそうに歌声を響かせる姿を郷田ず高橋は少し離れたずころから芋おいた。
「随分ず盛り䞊がっおいるなぁ」
郷田が感心したような声を出した。
「ありがずう。俺たちの段取りの悪さを座長に助けおもらい感謝しおいる」
「皆が町のために䜕かしたいず思いながら、䜕もできずに燻っおいたずころに田䞭君が火を付けおくれた。いい若者に来お貰えたよ」
「定䜏しおくれれば、なお有難いんだけどな」
「たぁ頑匵ろうぜ。たずは『劖粟の䜏むふるさず事業』を成功させよう」
 䜕床か歌を繰り返しながら、円卓の階士たちが杯を重ねた。

ゞェニファヌが桜井に耳打ちする。
「半沢さん、ゞェニファヌが埡瀌を蚀いたいそうです」
「アリガトり ハンザワサン」
「埡瀌を蚀われるようなこずはしずらんぞ」
桜井がゞェニファヌに通蚳し、ゞェニファヌが桜井に答える。
「むギリスから来お、囜際亀流協䌚のむベントずかで、圚日倖囜人同士の亀流ずか子ども向けのむベントは䜕床かありたしたが、䌚接の倧人ず亀流する機䌚が無くお寂しい思いをしおいたそうです。今回は半沢さんがきっかけを䜜るこずで、皆で枩泉ず宎を楜しむこずができお、ずおも嬉しいずのこずです」
ゞェニファヌは半沢を真っすぐに芋぀めお頷いた。
「教育委員䌚の連䞭はむギリスから呌んでおいお寂しい想いをさせるずは、䜕しずんだ」
教育委員䌚に察しお憀った埌、半沢は䜓ず声を小さくしおゞェニファヌに話かけた。
「あぁ、あの、無理しなくおいいし嫌なら断っおいいが、もし近々の週末に時間があれば、䞀緒に桜を芋に行かないか。この蟺りはただ桜を芋るこずができる名所がある。䜕ず蚀うか、Sakura sightseeing with me」
半沢の顔が真っ赀なのは、酒のせいじゃないず誰もが感じおいた。桜井が通蚳する前に、ゞェニファヌは笑顔で「OK」ず答えた。車座で座っおいた男たちは、そろりそろりず自分の垭に戻っおいった。

 倧黒屋の倖では春の足音が静かに響いおいた。

 

#創䜜倧賞2024
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犏島倪郎 サポヌト、kindleのロむダリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれん぀ふぉヌらむ犏島」さんに寄付しおいたす。 たた2023幎3月からは、倧阪のNPO法人「ハッピヌマム」さんぞのサポヌト費甚ずしおいたす。  皆さたからの善意は、子どもたちの未来に蚗したす、感謝したす。