転職の不安1位は「年齢」で69%。でも実際に一番条件が良くなっているのは、45〜49歳でした
転職を考えている人が、何に一番不安を感じているか。調査があります。
エン・ジャパンが転職活動に不安を感じている人に聞いたところ、上位は「年齢が不利になること」が69%、「希望条件(時間・場所)に合う求人が見つかるか」が57%、「希望条件(仕事内容)に合う求人が見つかるか」が43%でした(出典:エン・ジャパン「転職活動の不安」実態調査、2026年2月)。
年齢が、ぶっちぎりの1位です。
私は地方自治体に10年勤めて、係長まで務めて辞めました。辞めたのは30代のときです。
だから40代・50代で転職した経験は、私にはありません。
その代わり、10年間ずっと見ていたことがあります。
地方自治体時代の職場で、40代・50代になってから自己都合で辞めた人を、私はほとんど見ませんでした。
「辞めたいな」と言っている人はいました。でも、実際に辞めたという話は、ほとんど聞きませんでした。
しかし、国の統計を見ると、実は市場はまったく逆のことを言っています。
1. 実際に一番条件が良くなっているのは、40代後半
厚生労働省の雇用動向調査は、転職した人の賃金が前職と比べて増えたか減ったかを、年齢階級別に集計しています。令和6年(2024年)の結果が、令和7年8月26日に公表されました。
「増加」した割合から「減少」した割合を引いた差を、年齢階級ごとに並べます。単位はポイントです。

45〜49歳が、30代より高いです。
もうひとつ興味深いデータがありました。
転職した人の割合そのものも、40代で急に落ちるわけではありません。
令和6年の転職入職率は、男性が40〜44歳で6.8%、45〜49歳で6.0%。女性は40〜44歳で10.2%、45〜49歳で10.7%です。
女性の45〜49歳は、男性の同年代の1.8倍近くあります
(出典:同調査 図4-1)。
「40代で転職市場は閉じる」という話は、少なくとも数字の上では成り立っていません。
2. 55歳から先は条件が変わる模様
先ほどの表を見れば分かるとおり、55〜59歳は−9.2ポイントに反転します。60〜64歳は−47.3です。
ただし、この反転を「年齢差別」と読むのは、少し早すぎる考察のようです。同じ調査の別の表を見ると、理由が説明できます。
転職した人が前職を辞めた理由を年齢別に見ると、55〜59歳の男性は「その他の理由(出向等を含む)」が29.0%、「会社都合」が10.9%を占めます。60〜64歳になると「定年・契約期間の満了」が54.6%です
(出典:同調査 表5)。
一方、40〜44歳の男性が前職を辞めた理由で最も多い個人的理由は「職場の人間関係が好ましくなかった」16.0%、45〜49歳では「給料等収入が少なかった」14.3%でした。
つまり、40代までは自分の意思つまりキャリアアップ等で動いている人が多いですが、55歳を過ぎるとキャリアアップ等で辞めているわけではなく、会社の都合など(自分で選んでいない)移動の比率が上がると見込まれるためそもそも動機が異なり、土俵がちょっと違うということです。
役職定年、出向、契約の満了。同じ「転職」という言葉でも、中身がまったく違う。
3. なぜ、私がかつていた職場では誰も辞めなかったのか
ここまでが統計です。
ここからが、私が見ていたことです。
数字が示しているのは、40代でも45〜49歳でも、市場は開いているということでした。にもかかわらず、私がいた自治体で、その年代で自己都合で辞めた人を、私はほとんど見ていません。
市場が閉じていたからではないはずです。じゃあ何なのか。
私が考えているのは、判断材料があまりにも少なかったからではないか、と思っています。
辞めた人が周りにいなければ、辞めた後どうなったかを知る人もいません。転職先が決まったかどうか、給与がどうなったか、後悔しているのかしていないのか。誰も知らない。そして誰も知らないということは、答えが「分からない」からきっと「たぶん良くないだろう」に変換されるということです。
人は、前例のないことを危険だと判断します。判断材料がない状態と、危険だという判断は、外から見ると区別がつきません。保守的な公務員の属性を見るとなおのこと前例の様子を見てというムーブは想像がつきます。
「年齢が不利になること」を不安に挙げた69%の中には、先ほどの統計を見て不安になった人はほとんどいないと思います。おそらく身近に前例が一人もいないこと、これまで言われてきている先入観で年齢のせいだと解釈している。私はそう見ています。
4. 【保存版】辞める前に確認できること
年齢を理由に迷っている人が、実際に確認できることを表にしました。全部、辞めなくてもできることです。

一番上の行が、この記事で一番言いたいことです。
値段を確かめることと、辞めることは別です。辞めないと値段を確かめられないことではないです。
応募して、面接を受けて、提示額を聞いて、それで残ることを選んでもいいと思います。
私がいた職場で「辞めたいな」と言っていた人が辞めなかったのは、たぶん辞めるべきでなかったからではなく、辞めた場合のイメージを誰も持っていない、誰も知らなかったからだと思っています。
5. 前例は、誰かが最初に作るしかありません
冒頭で提示した45〜49歳が+22.6ポイントというのは、その年代で実際に動いた人たちが作った数字です。
そして55〜59歳が−9.2に反転するのは、その年代で「選んで動く人」の割合が減るからでした。キャリアを考えて選んで動いた人だけを取り出せば、たぶん数字は違うと思います。
だから、年齢そのものが不利なのではなくて、選んで動いているかどうかが分かれ目です。年齢が上がるほど、選んで動く人が減っていく。それだけの話だと思っています。
出典一覧
厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」(令和7年8月26日公表) 転職入職者の賃金変動状況(年齢階級別)、年齢階級別転職入職率、前職を辞めた理由 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html
同「3 転職入職者の状況」(PDF) 表5・表6・図4-1の該当箇所 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/kekka_gaiyo-03.pdf
エン・ジャパン「転職活動の不安」実態調査(2026年2月) 転職活動の不安の内訳 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001157.000000725.html
※職場に関する記述は、一つの自治体にいた一人の職員が10年間で見た範囲の話です。全国の自治体を代表するものではありません。
