「仕事が速い人」の価値が下がる。AI時代に評価されるのは「仕事をなくす人」だ
「仕事ができる人」と聞いて、どんな人を思い浮かべるでしょうか。
Excelが速い人。
資料を作るのが速い人。
メールの返信が速い人。
仕事をたくさん抱えて、それでも何とか回している人。
少し前までは、こういう人が「仕事ができる人」だったと思います。
でも、AIが当たり前に使われるようになって、この評価軸はかなり変わっていく気がしています。
これから価値が高くなるのは、
「仕事を速く終わらせる人」ではなく、
「仕事そのものを減らせる人」です。
たとえば、毎月1時間かかっているExcel作業があるとします。
Excelが得意な人が工夫して、30分で終わらせる。
これはもちろん改善です。
次に、AIや自動化ツールを使って5分で終わらせる。
さらに大きな改善です。
でも、本当に考えるべきなのは、その先です。
「そもそも、このExcelは必要なのか?」
ここを考えられる人が、これから一番強くなると思っています。
会議も同じです。
会議資料を1時間で作っていた人が、AIを使って10分で作れるようになった。
確かに生産性は上がっています。
でも、その会議自体がなくても困らないのであれば、最も大きな改善は「資料を速く作ること」ではありません。
会議そのものをなくすことです。
会社には、こういう仕事が意外と多くあります。
昔からやっているから続けている。
前任者がやっていたから続けている。
誰かが必要と言った気がするから作っている。
でも、「なぜやっているのか」を聞かれると、誰もはっきり答えられない。
AI時代になると、こうした仕事はますます目立つようになると思います。
なぜなら、資料作成、要約、調査、データ整理、文章作成など、これまで人間の「仕事の速さ」に差が出ていた部分を、AIが一気に縮めてしまうからです。
Excelが速い。
PowerPointがきれい。
メールを書くのが速い。
もちろん、これらのスキルが完全に不要になるわけではありません。
ただ、それだけで大きな価値を出すのは難しくなっていくはずです。
では、人間には何が残るのか。
私は、
「何をやるか」
「何をやめるか」
「そもそも必要なのか」
を決める力だと思っています。
これは簡単そうに見えて、かなり難しい仕事です。
仕事をなくそうとすると、
「昔からやっています」
「念のため必要です」
「何かあったら困ります」
「他部署もやっています」
という言葉が必ず出てきます。
だから、単にAIの使い方を知っているだけでは足りません。
目的を考える。
関係者と話す。
不要なものを見極める。
場合によっては、今までのやり方を否定する。
こういう力が必要になります。
AIが進化すればするほど、人間の仕事は「作業」から「判断」に寄っていく。
そして、皮肉なことに、判断する仕事の方が疲れます。
決まった作業を速く終わらせる方が、ある意味では楽です。
正解がない中で、
「これはやめよう」
「こっちに変えよう」
「この仕事には意味がない」
と決める方が、精神的な負荷は大きい。
それでも、これから評価されるのは、おそらくこちら側です。
仕事を100個こなせる人より、
「このうち30個は、そもそもやらなくていいですよ」
と言える人。
AIで仕事を効率化する人より、
「AIを使う前に、この仕事自体をなくせませんか?」
と言える人。
そんな人の価値が、これからどんどん上がっていく気がしています。
私自身も、最近は「どうやって速く終わらせるか」より、
「そもそもこれは必要なのか」
を考えることが増えました。
AI時代の仕事力とは、たくさん仕事をする力ではない。
仕事を見極める力なのかもしれません。
