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遍路へ行こう 第5煩悩 【カリフォルニアの孫】

 僕は不安を抱えながらタクシーに乗り込んだ。(ルンバとPCの充電についての不安。)だれかにとっては取るに足らないものだろうけれど、僕にとってはそうはいかない。そう思ったって意味がないっていったって、考えれば考えるほどに不安になる。こんなとき大事なのは、他のものごとについて考えることだろう。その間はその不安は僕の思考の中で主旋律にはなっていない。そのメロディーについて考えなくてすむ。それが不協和音であれ、金切り音であれ、iphoneの呼び出し音のようなものであれ。

 タクシーは正確にルートを刻み、僕は14時40分前にバス停に到着することができた。あんなにも遅刻の可能性のあった僕は、時間に間に合い、僕よりも遅れてきた人たちが僕の後ろに列を作っていった。バスも遅れているらしく、バスが到着したのは14時45分だった。僕は二つの大きな荷物…お遍路用の菅傘が2つ入ったバックと、旅行用のドラムバックを運転手に預けた。運転手は受け取った荷物をバスの下にある荷物置きに並べていった。運転手の仕事は運転だけじゃないのだ。

 僕の後に荷物を預けた人たちの中で、老夫婦と一緒にいた、ベースボールキャップを被っている18歳くらいの外国人の孫がいた。きっと息子か娘がアメリカ人と結婚して、カリフォルニアに先に夫婦で帰郷していて、ベースボールキャップを被った孫と、じいじとばあばが羽田からカリフォルニアに向かうのだろう。そうカリフォルニアの孫はバスの運転手にこんなこと尋ねていた。「PCがバックに入っているのですが、熱さ大丈夫ですかね…」運転手は「出したほうがいいよ」と言っていた。僕は今まで気にしたことはなかったことだけれど、リュックにいれたアイパッドが急に心配になり始めた。僕は勇気をだしてこう運転手に告げた。

 「バックからPCを取り出したいのですが…」と。

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