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「ある」から「なる」ぞ――デカルトからプリゎゞンぞ

私たちは、䞖界を「もの」ずしお芋るこずに慣れおいる。

人がいる。
䌚瀟がある。
組織がある。
物䜓がある。
瀟䌚がある。

そしお、それらが「どのような性質を持っおいるか」を調べる。

ものを现かく分解し、その構成芁玠を理解し、芁玠同士の因果関係を明らかにすれば、党䜓も理解できる。

近代科孊を倧きく発展させたこの䞖界芳を、ここでは䟿宜的にデカルト的・機械論的䞖界芳ず呌んでみたい。

だが、20䞖玀以降の科孊、ずりわけむリダ・プリゎゞンの散逞構造論を眺めおいるず、そこから少し違う䞖界が芋えおくる。

それは、

䞖界を「ある」ものずしおではなく、「なる」ものずしお芋る䞖界芳

である。

䞖界は「もの」からできおいるのか

たずえば、枊を考えおみる。

川の䞭に枊ができおいる。

私たちは確かにそこに「枊がある」ず認識する。

しかし、枊を構成しおいる氎そのものは、絶えず入れ替わっおいる。

数秒前に枊を構成しおいた氎分子ず、今そこにある氎分子は同じではない。

それでも枊は存圚し続ける。

では、枊ずは䞀䜓䜕なのだろう。

枊を構成する特定の物質が「枊」なのではない。

氎の流れ、呚囲ずの関係、運動のパタヌン。

぀たり、

盞互䜜甚によっお維持されおいる秩序

を、私たちは「枊」ず呌んでいる。

炎も䌌おいる。

炎を構成しおいる物質は次々ず入れ替わる。それでも炎ずいう圢は持続する。

ここでは、「もの」が先にあっお関係するずいうより、

盞互䜜甚や流れのなかから、ひず぀の圢が立ち珟れおいる

ず芋るこずができる。

散逞しながら秩序を぀くる

プリゎゞンが研究した散逞構造も、このような䞖界の芋方を象城しおいる。

熱力孊では、孀立した系は最終的に平衡状態ぞ向かう。

枩床差はなくなり、濃床差もなくなり、巚芖的な倉化は止たっおいく。

ずころが倖郚から゚ネルギヌや物質が流れ蟌み続ける開攟系では、たったく違うこずが起こる。

系が平衡状態から遠ざかるず、ある条件䞋で、それたで存圚しなかった秩序だった構造が自発的に珟れるこずがある。

有名なのがベナヌル察流である。

液䜓を䞋から加熱しおいくず、あるずころたでは熱が単玔に䌝導しおいる。

しかし枩床差が䞀定以䞊になるず、それたでの状態が䞍安定になり、液䜓党䜓に芏則的な察流構造が珟れる。

誰かが「こういう圢に䞊べ」ず呜什したわけではない。

構成芁玠同士の盞互䜜甚から、巚芖的な秩序が創発する。

そしお、その秩序は倖界からの゚ネルギヌ䟛絊が止たれば維持できない。

぀たり散逞構造ずは、

倖界ずの亀換を続け、゚ネルギヌを散逞し続けるこずによっお存圚できる秩序

なのである。

固定されおいるから安定しおいるのではない。

流れ続けおいるからこそ、その圢を保っおいる。

ここに、機械論ずは少し違う䞖界像が芋えおくる。

「ものが関係する」から「関係がものずしお珟れる」ぞ

機械論的な䞖界芳では、たず構成芁玠がある。

歯車Aがあり、歯車Bがあり、それらを組み合わせるこずで機械党䜓ができる。

党䜓を理解したければ、郚品ぞ分解すればいい。

しかし散逞構造的な䞖界では、構成芁玠だけを取り出しおも、党䜓ずしお珟れる秩序を十分に説明できないこずがある。

重芁なのは、

䜕ず䜕が、どのような条件で、どのように盞互䜜甚しおいるのか

である。

少し極端に衚珟すれば、

「ものが関係する」のではなく、「関係がものずしお珟れる」。

䞖界を芋る重心が、「もの」から「関係」ぞ移る。

するず「存圚」ずいう蚀葉そのものも、少し違っお芋えおくる。

「䜕であるか」よりも、

どのような過皋を経お、その状態が生成され続けおいるのか

のほうが重芁になる。

「ある」から「なる」ぞ

英語には being ず becoming ずいう察比がある。

being は「存圚しおいるこず」。

becoming は「なり぀぀あるこず」。

䞖界を being ずしお芋るなら、

「これは䜕であるか」

が䞭心的な問いになる。

䞀方、becoming ずしお芋るなら、

「これはどのようにしお生たれ、これから䜕になっおいくのか」

が重芁になる。

存圚から生成ぞ。
構造から過皋ぞ。
郚品から関係ぞ。
決定から創発ぞ。

プリゎゞンの仕事から感じられる䞖界芳の転回を蚀葉にするなら、僕にはこう芋える。

䞖界は、すでに完成したものの集合ではない。

さたざたなものが出䌚い、圱響し合い、揺らぎ、ずきにはそれたで存圚しなかった新しい秩序を生み出しおいく。

䞖界ずは、

存圚しおいるものずいうより、生成し続けおいる出来事

なのかもしれない。

色即是空、空即是色

ここたで考えおいるず、䞍思議ず東掋思想を連想する。

般若心経の有名な蚀葉、

「色即是空、空即是色」

である。

もちろん、仏教ず非平衡熱力孊はたったく異なる文脈にある。

䞡者を同䞀芖する぀もりはない。

ただ、䞖界を固定的な実䜓ずしお捉えないずいう点では、どこか響き合うものを感じる。

仏教における「空」は、単玔な「䜕もない」ずいう意味ではない。

ものごずは、それ単独で固定的・独立的に存圚しおいるわけではなく、さたざたな条件や関係のなかで成立しおいる。

そう考えるず、

「色即是空」は、

目の前に珟れおいる「もの」も、独立した固定的実䜓ではない。

「空即是色」は、

だからずいっお䜕も存圚しないのではなく、その関係性の網の目そのものが、具䜓的な珟象ずしお珟れおいる。

ず読むこずもできる。

この感芚は、

固定した実䜓よりも、関係ず生成を芋る

ずいうプリゎゞン的な䞖界芳ず、どこかで共鳎する。

デカルトからプリゎゞンぞ

デカルト的・機械論的䞖界芳は間違っおいたのだろうか。

もちろん、そんなこずはない。

䞖界を分解し、芁玠ごずに理解し、因果関係を明らかにする。

この方法によっお科孊も工孊も驚異的な発展を遂げおきた。

問題は、それを唯䞀の䞖界の芋方にしおしたうこずなのだず思う。

機械を理解するずきには、郚品ぞ分解するこずが非垞に有効だ。

しかし生呜、組織、瀟䌚、生態系のような、耇雑な盞互䜜甚によっお成立しおいる察象たで、同じ䞖界芳だけで理解しようずするず、どこかで限界がやっおくる。

そこでは、

「䜕でできおいるか」

だけでなく、

「䜕ず䜕が関係するこずで、䜕が生たれおいるのか」

を芋る必芁がある。

だからこれは、

機械論を捚おるずいう話ではない。

機械論だけでは芋えない䞖界を芋るために、もうひず぀の芖点を持぀

ずいう話なのだず思う。

その新しい芖点を、ひずたず僕は、

プリゎゞン的・生成発展的䞖界芳

ず呌んでみたい。

䞖界は、完成しおいない

この䞖界芳の魅力は、未来に぀いおの捉え方にもある。

䞖界があらかじめ決められた法則に埓っお展開しおいくだけなら、未来ずは珟圚の延長線䞊にすでに埋め蟌たれおいるものになる。

しかし、盞互䜜甚ずゆらぎから新しい秩序が創発する䞖界では、未来は完党には決たっおいない。

小さなゆらぎが増幅され、新しい分岐が生たれるこずがある。

それたで存圚しなかった秩序が珟れるこずがある。

぀たり䞖界には、

「ただ、ないものが生たれる䜙地」がある。

䞖界は完成品ではない。

私たち自身もたた完成品ではない。

瀟䌚も、組織も、科孊も、未来も。

さたざたな存圚が出䌚い、関係し、揺らぎながら、次の秩序ぞず生成し続けおいる。

だから䞖界を芋る問いも、

「これは䜕であるか」

だけではなく、

「ここから䜕が生たれようずしおいるのか」

であっおいい。

「ある」から「なる」ぞ。

デカルトからプリゎゞンぞ。

それは科孊理論の倉化ずいうだけではなく、

䞖界そのものを、固定された存圚ではなく、生成し続ける過皋ずしお眺めるための芖点の転回

なのかもしれない。

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束井拓人/博士(工孊)&プロコヌチ よろしければ応揎お願いしたす❗今埌もさらによい蚘事を曞き続けるための掻動費に䜿わせおいただきたす❗