【昔話】いまの世の中こそ、片目を瞑って見るくらいがちょうどいい
20年前、一緒に働いていた先輩の言葉。
当時、僕は21歳くらい。
一回り以上も年齢が離れている人だったが、とても気さくでウマが合った。
そのとき働いていたのは、
こじんまりとしていながらも、本格的な和食を出すカフェバーで、
僕と先輩と日替わりアルバイトの女の子、3人で営業するお店だった。
週6日勤務、朝から晩までが基本。
唯一、休みだったのはオーナーが出勤する日のみ。
あるとき、そのオーナーが入院することになったので、
最後の方は週7日勤務という、いまでは考えられない働き方をしていた。
とはいえ、
和食料理を担当する料理人の先輩と一緒に毎日毎日働きながら、
つらいながらも楽しい日々を過ごしていた。
そんな先輩がいつも口にしていたのが、
「もう、両目開けて仕事してたら耐えられないわ」
「片目を瞑って見るくらいがちょうどいい」
だった。
よく古い漫画の例え話をする人だったので、
元ネタがあったのかどうかは知らないが、
そのころの僕はぼんやりとした言葉の断片しか捉えられていなかったと思う。
年齢を重ねて、
いまの自分や世の中の情勢をすべてひっくるめてみると、
形は違えど
「あー、これは両目をしっかり開けて見てたらきついなー」
と思うことがずいぶんと増えた。
テレビやスマホに目を向けると、
イヤでも落ち込むニュースばかりが発信され続けているので、
片目どころか両目を瞑りたくなる。
心の健康のためにも、ニュースとSNSは最低限だけでいい。

先日、この生ビールジョッキ缶というものをコンビニでたまたま見かけた。
ジョッキ缶の存在は知っていたが、買うのは初めて。
これを飲んでいたら、さきほどの先輩のことをふと思い出した。
先輩は「THE 昭和の料理人」といった人で、よくお酒を飲んでいたからかもしれない。
お店から駅まで、5分くらいの帰り道でも缶ビールを飲んでいたくらいだ。

あのころの先輩より、自分は年上になってしまったが、
片目を瞑りながらも、なんとか頑張っていこうと思う。
しかし、この生ビールのジョッキ缶とやらは美味い。
下手なお店の生ビールより全然美味いのではないだろうか。
また今度買ってみよう。
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