もう一度、漫画のど真ん中へ。ナンバーナインのリスタートと創業社長の想い
はじめましての人もそうでない人もこんにちは!
漫画大好きっ子41歳。ナンバーナインの小林です。
お久しぶりです。実に半年ぶりのnoteになります。
突然ですが2026年7月上旬、僕は全社員が参加する朝会にてナンバーナインのリスタートを宣言しました。
そしてナンバーナインという会社をリスタートするにあたり、noteを使った発信と採用活動を再開するべく今回の記事を書いています。
あまり積極的に話す内容ではありませんが、2025年6月頃から1年間、ナンバーナインは売上が思うように伸びない時期が続きました。いわゆる、スタートアップの踊り場問題です。
正直、簡単な1年ではありませんでした。
経営戦略を変え、組織体制を見直し、スタートアップらしい積極的な先行投資から黒字化にこだわる方針へ大きく舵を切りました。会社を立て直すために、現場のみんなにもたくさん踏ん張ってもらいました。
その結果、『晴野さんのことなんて全然好き』という新しいヒット作品が生まれたり、webtoonを版面漫画化した(webtoonのコマ割りを横に組み直し電子コミック化した)webtoon comicsの月間ストア売上が5,000万円を突破したり、デジタル配信の月間流通総額が4億円を突破するなど2026年4月から3ヶ月連続で黒字化を達成。
2026年6月にはナンバーナイン史上過去最高売上を更新しました!
もちろん、直近2〜3ヶ月の数字だけですべてが解決したとは思っていません。それでも、もう一度前を向いて走り出せるところまで、みんなで戻ってきました。
だから今、本気でリスタートしていくためにも改めて自分の原点について書いておきたいと思います。
僕はなぜ、ナンバーナインを創業したのか。
僕らは何を変えて、何を変えずにここまで来たのか。
そして、これからどこへ向かうのか。
ただ、漫画の仕事がしたかった
ナンバーナインを創業したのは、2016年11月29日です。
当時、僕はサーチフィールドというイラストに特化した制作代理店の会社を経営していました。漫画業界で働いた経験はありませんでしたが、漫画のレビューサイト「マンガHONZ」で活動し、漫画好きが集まるマンガサロン『トリガー』を立ち上げたことで漫画関係者と関わる機会が増えました。
面白い漫画と出合うことが楽しくて。漫画好きや漫画家さんと会うことが嬉しくて。こうした積み重ねで芽生えた感情が「漫画の仕事に全力を注ぎたい」という気持ちでした。
当時サーチフィールドはソーシャルゲームのイラスト制作で大きく成長し、業界を代表するアートハウス(イラストの制作代理店)のひとつになっていました。
イラスト業界と漫画業界は近いようでまったく違う業界です。このままサーチフィールドで漫画の事業を行うという選択肢もありましたが、サーチフィールドではできなかった第三者割当増資での資金調達(エクイティファイナンス)を前提とした会社経営に挑戦するべく、マンガHONZで知り合った荒井くんと小禄さんに声をかけ、3人でナンバーナインを始めました。

経歴も得意なことも違う3人でしたが、漫画が大好きだということだけは共通していました。
ナンバーナインで最初に始めたのは、漫画アプリ『マンガトリガー』でした。資金も、開発力も、出版社とのつながりも十分ではなく、正直めちゃくちゃ苦戦しました。
サーチフィールドの立派なオフィスから離れ、渋谷駅から徒歩15分ほどかかる奥渋谷のワンルームマンションの1室からの二度目の起業。机を4つ並べたらパンパンになる広さのオフィスで毎日朝から晩まで仕事をする日々。

サービスリリース前は役員3人全員で会社に泊まり、ほぼ徹夜でリリース前の作業を行ったことを今でも覚えています。当時、会社近くの「なか卯」に役員3人でほぼ毎日のように行ったのは良い思い出です。(いまは副社長の荒井くんが僕たち2人が引くほど牛丼に山椒をかけて食べていたことを今でも鮮明に覚えています。あれは本当にドン引きしましたw)
でも、漫画を好きな人が、新しい作品と出会える場所をつくりたかった。漫画を読んで人生が変わったと言う人を、もっと増やしたかった。
漫画のセレクトショップをコンセプトにした『マンガトリガー』は利用者数では大手漫画アプリに全然勝てませんでしたが、漫画好きである僕たち運営チームのクセの強いセレクトによって、『マンガトリガー』を使わなければ出会えなかった過去の名作をユーザーさんたちに届けられた自負はあります。

あの頃に出会った作品は今でも僕の宝物です。
特に独占先行配信されたナンバーナイン初のオリジナル作品『アイとアイザワ』は今でもSF漫画の中でTOP5に入るくらい好きな作品ですし、めちゃくちゃ面白いのでまだ読んでない人はぜひ一度読んでみてください!!!!
創業時のMissionは、「漫画でひとびとの人生を豊かにする。」でした。
当日の僕は以下のようなコメントを残しています。
毎年1万点以上もの新刊が市場に並ぶと言われる漫画市場。膨大な量の漫画が巷にあふれ、ライトな漫画読者層にとって本当におもしろい作品を探すことが難しくなってきています。そのような状況を改善するために、私たちは『マンガトリガー』を開発しました。通勤中や帰宅後、就寝前などのスキマ時間の暇つぶしが「おもしろい漫画が読める」という体験に変わるようなソリューションを提供したいと思います。
あの頃の僕らができることは少なかった。それでも、漫画が誰かの人生を豊かにする力を持っていることだけは、最初から信じていました。
Missionの変化
事業が変わるたびに、ナンバーナインのMissionも変わってきました。
漫画アプリから始まった僕らは、その後、漫画家さんの作品を電子書籍化し、多くのストアへ届けるデジタル配信事業に軸足を移していきます。
きっかけは『マンガトリガー』を運営していた時の苦い記憶です。当時はまだすべての作品が電子書籍化されていない時代であり、紙の単行本は発売されていても電子書籍化はされていないことがまだ普通にありました。
どんな名作も読まれなければ意味がない。これからはデジタルデバイスで漫画を読むことが当たり前になると『マンガトリガー』を運営していて感じていた僕は、電子書籍で配信されていない作品がとても勿体ないと感じていました。
『マンガトリガー』を利用していたユーザーの数は確かにそんなに多くなかったかもしれません。しかし『マンガトリガー』しか漫画アプリを使っていなかったユーザーは『マンガトリガー』に配信されていない作品には物理的に出会うことができません。
当時の僕は純粋に、どんな作品も日本中のすべてのストアに配信することで作品の売り場を最大化し、漫画家さんたちに少しでも印税を還元していきたいと考えていました。
その時に掲げたMissionが、「すべての漫画を、すべての人に。」です。
商業か同人かに関係なく、面白い漫画が読者へ届く道を増やしたい。漫画家さんが自分の作品で収益を得られる機会を増やしたい。
その中でも、まだ現役バリバリで営業活動を行っていた僕が特に強い思い入れを持って配信のお手伝いをしていたのが『原作版 左ききのエレン』という作品でした。
当時の熱い想いは以下のnoteを見てもらえれば分かると思います(笑)
僕らは、漫画を「届ける」会社として、一冊ずつ、一作品ずつ、預けていただける漫画を増やしてきました。
だからこそ初めてデジタル配信の月間流通総額が1億円を突破した時は小さいながらもひとつの新しい市場を生み出すことができたのではないかと思い、本当に嬉しかったです。
そして2024年11月、10期目のスタートに合わせて、Missionをもう一度変えました。
漫画で待ち遠しい未来(あした)をつくる。
漫画を届けるだけでなく、自分たちの手で漫画をつくる会社へ。
漫画IPパブリッシャーとして、10年後も20年後も愛される作品を生み出す会社へ。
デジタル配信サービスが軌道に乗り、会社として通年黒字化を達成した次の挑戦は漫画ビジネスのど真ん中に決めました。
漫画アプリ(プラットフォーム)→配信サービス(流通サービス)と漫画ビジネスのど真ん中ではなく、その周辺サービスであるクリエイターエコノミー事業を展開していたナンバーナインですが、覚悟を決めて社内に編集部を立ち上げ、自社オリジナル作品の制作に本格的に参入することにしました。
出版社から独立した編集者ではない、ただの漫画好きの集団。
漫画の編集経験があるメンバーは代表である僕を含めて誰一人もいませんでした。
そんな僕らが偉大なるレジェンド出版社さんたちと同じ土俵で戦っていく。無謀とも言える挑戦ですが、この世界で生きていくには避けては通れない道でもあります。
僕が大好きな漫画に『BLUE GIANT』という作品があるのですが、その作品の主人公である宮本大をライバルとして考え、宮本大なら「へでもねぇな」と言うだろうと自分を奮い立たせながら新規事業であるwebtoon事業を立ち上げ、編集部のメンバーを鼓舞して作品をつくっていきました。
初めは稚拙だったかもしれません。編集の知識も作家さんとのやりとりも上手くなかったと思います。当然実績も大負けです。でも気持ちは負けてない。
宮本大のように世界一の漫画IPパブリッシャーを目指すと決めたので、たとえ今は負けていたとしても諦めなければ負けじゃない。
僕がナンバーナインという会社の代表でいる限りは死ぬまでオリジナル作品をつくっていくぞという漫画への強い情熱だけは負けてない。なんなら僕が働いている時はナンバーナインが世界一だと思って働いています。

大好きな漫画が連載していると、その続きである最新話が待ち遠しくなる。発売日や更新日まで、今日を頑張ろうと思える。
僕にとって、それは毎週月曜日の『週刊少年ジャンプ』でした。来週号を読みたい。だから次の月曜日が楽しみになる。その積み重ねが、僕の人生をつくってくれました。
そんな大好きな『週刊少年ジャンプ』の様な存在に僕たちはなる。『週刊少年ジャンプ』に憧れるのではなく、偉大なる大先輩たちと肩を並べられる存在になる。
ライバルがいるから頑張れる。ライバルがいるから業界は発展します。
今度は、僕らがつくる番です。
変わったものと、変わらないもの
Missionは変わりました。事業も組織も、何度も変わりました。
漫画アプリをつくる会社から、漫画を届ける会社へ。
漫画を届ける会社から、漫画をつくり、届け、広げる会社へ。
でも、変わっていないものがあります。
漫画が好きだということです。
漫画に人生を豊かにしてもらった。苦しい時に、来週の続きを楽しみに踏ん張らせてもらった。漫画の主人公たちに、挑戦する勇気をもらった。
いつだって僕のライバルは漫画の主人公たちです。
彼ら彼女らに負けたくない。
『BLUE GIANT』の宮本大にも、『G戦場ヘヴンズドア』の堺田町蔵にも、『左ききのエレン』の朝倉光一にも、『龍と苺』の藍田苺にも、『大東京トイボックス』の天川太陽にも、『プラネテス』の星野八郎太にも、『宮本から君へ』の宮本浩にも、『キングダム』の信にも、『神血の救世主』の有明透晴にも負けたくない!
だから、この世界で一番を目指していきたい!
この世界で一番を目指すということは漫画家さんと一緒に、もっともっと面白い作品をつくっていくことになります。新規オリジナル作品をつくっていくことにもっと挑戦していくということです。
そしてその作品たちを、まだ出会っていない読者へ届けていきたい。
事業の形は変わっても、この気持ちはナンバーナインを創業した日から何も変わっていません。
今回の踊り場でも、僕らはたくさんの壁にぶつかりました。戦略を変え、組織を変え、自分たちの未熟さとも向き合いました。
でも、壁があるから挑戦をやめるという選択肢は僕にはありません。
この世界の主人公でありたい
僕は、漫画とスタートアップが交わるこの世界の主人公でありたい。
『呪術廻戦』の虎杖悠仁のような、『鋼の錬金術師』のエドワード・エルリックのような、『HUNTER×HUNTER』のゴン=フリークスのような、『DAYS』の柄本つくしのような、『バチバチ』の鮫島鯉太郎のような、『はじめの一歩』の幕之内一歩のような、『うしおととら』の蒼月潮のような、『惑星のさみだれ』の雨宮夕日のような、『俺だけ最強超越者』の神凪湊のような主人公でありたい。
これは、誰かを脇役にしたいという話ではありません。
自分の人生と会社の未来を、誰かに決めてもらうのではなく、自分で引き受けたい。難しい局面で逃げずに決断し、失敗しても立ち上がり、仲間と次のページをめくりたい。
漫画が好きだから、仕事が好きだから。
漫画も仕事もどっちも同じくらい好きだからこそ漫画とスタートアップが交わるこの世界で上を目指して挑戦し続ける存在でありたい。
僕が考える主人公とは、諦めずに上を目指していく人たちのことです。辛いことがあっても前を向いて歩いていける人たちのことです。どんな強敵にも果敢に挑んでいける人たちのことです。
僕たちが一番、挑戦する。
僕たちが一番、壁を乗り越える。
僕たちが一番、漫画の未来を信じる。
ナンバーナインのリスタートは、過去をなかったことにするための言葉ではありません。
うまくいかなかったことも、苦しかったことも、支えてくれた仲間たちへの感謝も、全部持って次へ進むための言葉です。
長い長いトンネルを抜けて、2026年6月に過去最高売上を更新できたことは、ゴールではありません。ここから、もう一度始めます。
新しい漫画をつくる。
まだ見ぬ読者へ届ける。
作品の可能性を、もっと広げる。
これからも新しいことに挑戦します。何度でも壁を乗り越えます。
そして必ず、漫画で待ち遠しい未来(あした)をつくります。

▶ナンバーナインの採用情報はこちら
▶小林のXはこちら
いいなと思ったら応援しよう!
技術(スキル)と魂(ソウル)で漫画(コミック)の価値(バリュー)を最大化(マキシマイズ)する。