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美少年をみにいく(その二)

その一はこちらです↑
その後、何枚も今村紫紅の描いた人物を見て、人物の視線が絵の枠の外にある場合が多いことに気がつく。テニスボールが試合中、コートの少しだけ外に落ちるのを目で追う感じがする(うまく言えてない)
「鞠聖図」というひとりの貴族と二匹の猿の絵がある。
横浜美術館コレクション↓(こちらのリンクでみることができます)
https://inventory.yokohama.art.museum/3800

解説によると、本当は三匹の猿が現れたはずなのに、今村紫紅はあえて二匹しか描いていないらしい。
貴族の視線の先はどのくらいなんだろうと、絵を囲むガラスの周りをうろつく。
その「見えない三匹目の猿」がいるはずの場所で、ピタリと貴族と視線が合う。

枇杷に文鳥が止まる絵が並ぶ。
横浜美術館コレクション↓(こちらのリンクでみることができます)
https://inventory.yokohama.art.museum/3064
https://inventory.yokohama.art.museum/2323
文鳥は近くに寄ると全く違う表情をしている。
「うふふ」とか「ごきげんいかが?」とか文鳥がしゃべっているような気がしてくる。
もしかしたら、今村紫紅は小さい鳥がものすごく好きだったのかもと思いながら歩くと「今村紫紅の愛する小鳥」という一文を見つける。
次の部屋に移動する前に、鼻の長い少年をもう一度みにいった。

K氏も私も自分のペースでみてゆく。
その後、虎や風神雷神、燕の絵の部屋の椅子で虎にみられながら座る。
しばらくするとのんびりとK氏が歩いてくるのが見える。
今村紫紅が長生きしていたら、この後、どんな「暢気」が生まれたのだろう。

美術館を出ると、もう2時になるところだった。
「おなかすいた」
「腹減った」
「中華街行く?どっちでもいいよ」
「でもめちゃくちゃ腹減ったし、疲れた」
商業ビルのレストラン街の看板を眺める。
「(私)とりあえず四階まであがろう」
肉の店がある。ちらっと覗くと、窓から帆船が見える。店内が銀色に光っていて落ち着かない。小籠包で有名な店がある。覗くと金色と赤い壁でブースごとに仕切られたテーブルが並んでいる。せっせと小籠包を包む職人さんが見える。首を横に振る。
聞いたことのある寿司屋。カウンターには一組の妙齢カップルだけで、テーブル席は誰もいない。壁にごちゃごちゃとメニューやらポスターが貼ってある。
「(私)ここにしよう」
「(K氏)間違いない」
イカが美味しい。鯵と生桜えびはイマイチ。お茶も美味しい。

帰りの電車で爆睡。K氏に起こされ、半分寝ぼけたまま、全く違う電車に乗ろうとするのを止められる。
うちに着いたのが五時頃。本を広げてまた寝てしまう。
起きたら、K氏がそうめんを茹でて食べるところだった。
「冷麺の出汁を使ってみた」
少しだけもらう。
「美味しいけど、冷麺の出汁は素麺より冷麺のほうが美味しいことがわかった」
「ふむ、たしかにな」
ずずずっとそうめんを食べた後、K氏は鼻をすこし膨らませて
「今村紫紅は猫を描いてない。もっとうまく描ける人がいたんだろうなぁ」
と言った。そのとき猫はどこにいたのか覚えていない。  

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