家計管理を変える「AIアシスタント」が生まれるまで
私たちスマートバンク社が運営する「家計簿プリカ B/43」というサービスは、2025年3月24日から「AI家計簿アプリ ワンバンク」に生まれ変わりました。

代表 @shota のブログ にも書かれていますが、私たちは家計簿アプリからAI家計アシスタント、そしてさらに総合的な金融サービスに進化して、家計の見える化だけでなく「家計の改善・自動化」を推進していきたいという構想を持っています。
3年間使った「B/43」というサービス名にはこだわりも思い入れもありましたが、この構想を実現するためにはいまサービス名を変え、大きく体験をアップデートするべきではないかと、メンバーとの議論を重ね、創業メンバーで判断しました。こうした大胆な意思決定ができるところも、スタートアップの醍醐味ですね。
また、サービス名変更と同時にAIアシスタント「ワンバン」(以下ワンバンくん)が登場しました。今日が公式デビュー日とのことです。
今日4月3日は #ワンバンク のAIアシスタント「ワンバン」のデビュー日です🎉
— 家計管理サービス ワンバンク(旧B/43) (@onebankjp) April 3, 2025
資産(しさん)・予算(よさん)の日でもある4月3日。
みなさんの家計管理を応援するAIアシスタント「ワンバン」を、これからよろしくお願いします!
そして…↓ pic.twitter.com/iF7Cr06tvs
今回は「私たちが考えるAIアシスタントとは何か、なぜAIアシスタントを主軸とした体験に大きくBETすることにしたのか」をお話したいと思います。
いまだに解決していない、家計管理最大の課題とは?
私たちがB/43を運営する中で長く課題と感じていたのは「家計管理の継続の難しさ」です。「家計簿をつけたい」「将来のために貯金したい」という思いがあっても、記録をすることの大変さや孤独感で挫折してしまう方が多いのが実情でした。
ペアカードというプロダクトは「二人で家計を管理する」というスタイルでそれを解決できる画期的な仕組みです。しかし「二人で管理する」「プリペイドカードで管理する」というのはそれなりにハードルが高く、それが合わない方々にも、気軽に家計管理を続けてもらえる方法はないだろうか?と考えていました。

家計簿アプリや家計管理ツールはこれまでも数多く存在してきましたが、数値を見せてくれるだけで、次のアクションをサポートしてくれるわけではありませんでした。「ダイエットで例えるなら、ただ体重計に乗るだけでなく、パーソナルトレーナーのように寄り添ってくれる存在がいれば?」そんな仮説をもとに新しい体験を考え始めました。
また、ビジネス的には既存の家計簿市場が数千万人規模であることから、もし“10倍便利”なものを実現できれば十分にビジネスとして成立するであろうし、技術的にはAI(LLM)はスマートフォン以来の大きなゲームチェンジャーになり得るであろうと考えました。こうしてデザイン・ビジネス・技術の交点を見出だせたことが、AI家計アシスタントに取り組む決め手になりました。
「耳が痛いことを言う」相棒が必要だった
キャラクターがいるメリットを確信したのは、LINE Botを使ったいわゆる“オズの魔法使いテスト”(実際には裏で人が手動で受け答えしてみるテスト)を行ったときでした。

家計管理には「今月ちょっと使いすぎでは?」といった場面が必ずあります。とはいえ、ストレートに指摘されるとユーザーは身構えてしまいます。キャラクターがいることで、これを柔らかく伝えることができるというのがちょっとした発見でした。そこから愛されやすく、耳が痛いことを言っても許されやすいモチーフは何だろうか?と考えていきました。
「未来から来たAIアシスタント」ワンバンくん

こうして生まれたのが“3年後の未来からあなたを助けに来た、AIアシスタント”ワンバンくんです。あなたの目標やお金の状況に合わせて声かけやアドバイスを行い、「続けられる家計管理体験」を提案します。
「犬」というモチーフにたどり着いたのは、サービス名を「ワンバンク」に決めたのと同時でした。「ワン=犬」という安直な発想ではありますが、キャラクターがいることでサービス名がより覚えやすくなると思いましたし、犬が持つ「パートナー感」がまさに私たちの目指す姿と重なりました。
キャラクターデザインの試行錯誤
犬というモチーフを決めたあと、制作会社neccoさんと一緒にデザインを進めました。neccoさんの提案内容はいつも素晴らしく、初期提案の時点でもさまざまなパターンがあったのですが、そこで改めて「ユーザーにどんな存在として映ってほしいか」を私たち自身が言語化する重要性を痛感しました。

たとえば見た目から「お金のパートナー感」を伝えられるか、どこまでAIらしさを盛り込むかなど、試行錯誤を重ねました。最終デザインにたどり着くまでに多くの学びがあったので、その過程についてはコムデチームから発信できればと思います。
ワンバンくんは実際に何をしてくれる?

リリース当初のワンバンくんは、主に家計管理をはじめる“最初の一歩”を挫折しないようにサポートしてくれます。それは大きく分けると2種類あります。
面倒な作業を代行してくれる
家計簿を挫折する大きな要因として、入力の手間があります。ワンバンくんはレシートの読み取りや、カテゴリの振り分けなど、これまで必要だった手動での作業を、代わりに自動で行ってくれます。今後も自動化の範囲を広げることで、家計管理にかかる手間を最小化していきます。
ユーザーに寄り添って励ましてくれる
家計管理は「だれも褒めてくれない、相談できる人がいない…」といった孤独を感じがちな作業です。そこでアプリのホーム画面で声をかけてくれる、支出チェッカーで毎日の支出を気遣ってくれるなど、ユーザーが気持ちよく家計管理を続けられるように、あの手この手で励ましてくれます。
ワンバンくんがちょっとしたアドバイスをくれたり、状況を見て手助けしてくれたら、「なんだか心強い」「もう少し続けてみようかな」と思えるはずです。実際、ペアで家計管理をうまくやっている人の話を聞くほど、“相談できる相手や励ましてくれる存在”がいるのはとても大きいと感じます。ワンバンくんが孤独なユーザーのパートナーになれたらと思います。
キャラクターがもたらす新しい空気感

また、アプリにワンバンくんがいると、サービス全体の空気感がガラッと変わることに気づきました。カードを軸にした家計管理用の「ツール」が、生活に寄り添う「アシスタント」に変わっていくことを感じます。
最近、世の中に生成AI以降のUXというものが生まれつつある気がしています。その構成要素としてリアルタイム、対話、プロセスの可視化、記憶、越境などがあり、キャラクターがいることでそれらを違和感なくプロダクトに落とし込みやすくなるように思います。

別の言い方をするなら「AIだから使いたい」という人はそうそういませんが、簡単そうに見えること・実際に簡単であることで使ってくれる人は(特にtoCのサービスでは)いると思っています。だからパッケージングの仕方が大事だと思うんですね。
もちろん、カード目的で使っている方にとって余計に感じられないように、「実際、いてくれて助かる」と思ってもらえるように体験を磨いているところです。
「生成AI以降のUXとは?」をチーム内でディスカッションしていますが、今後大きく体験が変わっていく予感がしています。
今は敢えてやっていないこと

1年以上前に「AI x 家計管理」のプロトタイプを最初に一人で作っていたときは、チャットベースの体験を考えていました。ChatGPTのUIで自分の家計データについておしゃべりできたら、それだけでとても便利なのでは?と思ったからです。
これまでの間に、当然その類のプロトタイプをたくさん作ってきました。その結果、ユーザーに対して安定的に信頼性が高く、有益なアドバイスを行うことはまだ難しいと感じています。お金は医療と並んで間違った情報を伝えないように注意が必要な領域なので、安易なチャット機能の提供には慎重になる必要があると思っています。
将来的にワンバンくんと話せる世界線への到達を諦めたわけではありませんが、まずはそれ以外の方法でLLMを使ったり、キャラクターを利用したUX設計を行うことで、10倍便利なプロダクトを作るチャレンジをしてみたいと思います。
コミュニケーションデザインへの好影響

別の観点でいうと、キャラクターが増えたことで、アプリ外でのコミュニケーションデザインにも幅が広がっています。例えばあるデザイナーはワンバンくんの3Dモデルを自主的に制作して、さらにフィギュアを作ってみたり。

別のデザイナーはワンバンくんグッズが入ったギフトボックスを制作してみたり。デザイナー起点でやれることや、マーケの打ち手が格段に広がっている感覚があり、キャラクターが存在する副次的な効果を感じています。これからワンバンくんを使ったコミュニケーションアイデアがたくさん世に出ていくのが楽しみです。
目指すのは「家計簿アプリよりも家計アシスタント」
私たちは、ワンバンくんを単なるキャラクターで終わらせるのではなく、“お金の管理をサポートするパートナー”にしたいと思っています。
まずは日々の支出を見える化し、少しでも貯蓄できるようにしていきます。アシスタントがいることで、これまでの家計簿アプリよりも10倍良い体験を目指して、PM・デザイナー・エンジニアが試行錯誤を続けています。
そして、最終的には「お金のアシスタントがいるのが当たり前だよね」と言われるような社会をつくりたい。昔は家計簿を一人でつけていたけれど、今はワンバンくんのようなアシスタントが寄り添ってくれているのが普通…と、そんな世界を夢見ています。
そしていつか、日本中の人たちがワンバンくんの姿を見て「あ、そろそろ自分の家計を見直そうかな」と思ってくれるようになったら最高です。
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