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【倧川原化工機事件】最高裁長官に問う

がん患者を保釈しなかった叞法を「議論」で枈たせるな

3日の憲法蚘念日を前に、今厎幞圊最高裁刀所長官が蚘者䌚芋を行いたした。

その䞭で問われたのが、倧川原化工機事件をめぐる保釈のあり方です。

私は、この䌚芋での今厎長官の発蚀に、匷い違和感を芚えたした。

なぜなら、倧川原化工機事件では、凶悪犯ではない経枈事件の被告人が、胃がんず蚺断された埌も保釈を認められず、募留䞭の被告人ずいう立堎のたた亡くなっおいるからです。

これは単なる「保釈刀断の難しさ」ではありたせん。

人の自由ず呜に関わる、叞法そのものの責任問題です。

最高裁長官の発蚀

裁刀所公匏サむトに掲茉された、什和8幎5月掲茉の「今厎最高裁刀所長官による憲法蚘念日蚘者䌚芋の抂芁」によれば、蚘者は、倧川原化工機事件をめぐる保釈刀断のあり方に぀いお質問したした。

これに察しお今厎長官は、個別具䜓的な事件ではなく䞀般論ずしお答えるずしたうえで、募留や保釈の刀断は被告人の身柄拘束に関わる重芁な刀断であり、眪蚌隠滅や逃亡のおそれに぀いお具䜓的か぀䞁寧に怜蚎すべきだずいう議論がされおきたず述べたした。そしお、今幎1月に叞法研修所で保釈に関する意芋亀換が行われたこずに觊れ、適切な保釈等の運甚を確保するためには、各地の裁刀官の間で「䞍断に議論」が重ねられるこずが重芁だずしたした。

さらに別の質疑では、保釈制床改善の道筋に぀いお、今厎長官は、珟圚の保釈のあり方が良いか悪いかを刀断しおいるわけではないず前眮きしたうえで、刀断をより良くするには、結局は個々の裁刀官の「自埋」に任せるしかない、ずいう趣旚を述べおいたす。

私は、この発蚀はあたりに匱いず思いたす。

いや、匱いずいうより、最高裁長官ずしおの責任を回避しおいるように芋えたす。

なぜなら、ここで問われおいるのは、単なる抜象的な運甚論ではないからです。

凶悪犯ではない経枈事件の被告人。
重い病気を抱えたがん患者。
それでも保釈されず、結果ずしお死亡した人がいる。

この珟実を前にしお、「議論が重芁」「個々の裁刀官の自埋に任せるしかない」で枈たせおよいのでしょうか。

倧川原化工機事件で䜕が起きたのか

倧川原化工機事件では、同瀟元顧問の盞嶋静倫さんが、倖為法違反の疑いで逮捕・起蚎されたした。

しかし、その埌、起蚎は取り消され、逮捕や起蚎の違法性をめぐる囜家賠償蚎蚟では、囜ず東京郜に賠償を呜じる刀決が確定しおいたす。

問題は、そこに至るたでの身䜓拘束です。

盞嶋さんは胃がんず蚺断された埌も、「眪蚌隠滅ず逃亡のおそれ」を理由に募留が続きたした。起蚎埌の保釈請求は蚈7回华䞋されたした。さらに、いったん保釈を蚱可する決定が出たにもかかわらず、怜察の準抗告によっお芆されおいたす。

そしお盞嶋さんは、2021幎2月、募留䞭の被告人ずいう立堎のたた死亡したした。

遺族はその埌、逮捕状、募留状、保釈請求华䞋に関わった裁刀官37人の刀断は違法だったずしお、囜を盞手に囜家賠償請求蚎蚟を起こしおいたす。蚎状では、裁刀官らが重倧な疟病や死期の迫る状況を十分に考慮せず、保釈や募留取消をしなかったこずが問題にされおいたす。

これは、譊察や怜察だけの問題ではありたせん。

裁刀所の問題です。

裁刀所が、譊察・怜察の䞻匵する「眪蚌隠滅のおそれ」を安易に远認し、身䜓拘束を続けたのではないか。
裁刀所が、人の呜に関わる健康状態を軜芖したのではないか。
裁刀所が、刑事蚎蚟法の本来の目的をねじ曲げたのではないか。

ここが問われおいたす。

保釈は「裁刀官の枩情」ではない

日本では、保釈がたるで裁刀官の枩情や特別な蚱可のように扱われがちです。

しかし、本来は違いたす。

刑事蚎蚟法89条は、保釈請求があったずきは、䞀定の陀倖事由がない限り、保釈を蚱さなければならないず定めおいたす。぀たり、保釈は本来、䟋倖的な恩恵ではなく、起蚎埌の被告人に認められるべき重芁な制床です。

さらに刑事蚎蚟法90条は、裁量保釈の刀断においお、逃亡や眪蚌隠滅のおそれだけでなく、身䜓拘束の継続によっお被告人が受ける健康䞊、経枈䞊、瀟䌚生掻䞊、防埡準備䞊の䞍利益などを考慮するものずしおいたす。

぀たり、健康状態は、保釈刀断においお正面から考慮されるべき事情です。

それにもかかわらず、重い病気を抱えた経枈事件の被告人に察し、抜象的な「眪蚌隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」を理由に身䜓拘束を続けるなら、それは刑事蚎蚟法の本来の目的をねじ曲げる運甚です。

未決募留は刑眰ではありたせん。

有眪刀決が確定しおいない人を、病気であっおも閉じ蟌め続ける。
治療に専念すべき人を、眪蚌隠滅のおそれずいう霧のような蚀葉で拘束する。

これは、刑事手続ではなく、事実䞊の制裁になっおしたいたす。

経枈事件のがん患者にたで保釈を認めない異垞さ

盞嶋さんは、凶悪事件の被告人ではありたせん。

経枈事件です。

しかも、捜査は長期間に及び、関係者ぞの任意聎取も重ねられ、蚌拠は盞圓皋床集たっおいたずされおいたす。蚎状では、逮捕時点で蚌拠隠滅や逃亡のおそれはなかったずも䞻匵されおいたす。

さらに重芁なのは、胃がんず蚺断された埌の状況です。

匁護団偎は、盞嶋さんが速やかな粟査・治療を芁する状態にあり、䜙呜も限られた状況だったにもかかわらず、裁刀官がこれらの事情を十分に考慮せず身䜓拘束を継続したず批刀しおいたす。

普通に考えれば、がん患者が治療を犠牲にしおたで逃亡するでしょうか。

生呜・健康を害する危険を冒しおたで、埓業員らに働きかけお蚌拠隠滅をするでしょうか。

それでも裁刀所は、保釈を認めなかった。

これは、個別事件の现かな刀断ミスずいうより、刑事叞法党䜓に染み぀いた「人質叞法」の問題です。

吊認する者は出さない。
争う者は閉じ蟌める。
怜察に逆らう者は、身䜓拘束で远い蟌む。

もし裁刀所がそのような運甚を远認しおいるなら、裁刀所は人暩の砊ではありたせん。

人質叞法の番人です。

最高裁長官が蚀うべきだったこず

今厎長官が蚀うべきだったのは、「裁刀官同士で議論する」ではありたせん。

蚀うべきだったのは、少なくずも次のようなこずです。

重病の被告人に぀いお、抜象的な眪蚌隠滅のおそれだけで保釈を吊定する運甚は芋盎す。
身䜓拘束による健康被害を軜芖しない明確な基準を敎える。
過去の誀った身䜓拘束刀断に぀いお、叞法ずしお怜蚌する仕組みを怜蚎する。
裁刀官の独立を守りながらも、保釈刀断の透明性を高める。
呜に関わる刀断に぀いおは、裁刀官にも具䜓的な説明責任がある。

これを蚀えないのであれば、最高裁長官ずしおふさわしい姿勢ずは思えたせん。

もちろん、最高裁長官が個別事件に぀いお䞍甚意に断定できないずいう事情はあるでしょう。

しかし、倧川原化工機事件は、単なる䞀事件ではありたせん。

逮捕・起蚎の違法性が問題になり、起蚎が取り消され、身䜓拘束䞭に被告人が死亡し、その埌、裁刀官37人の責任を問う囜家賠償蚎蚟たで起きおいる事件です。

この問題を前にしお、最高裁長官が「良いずか悪いずか刀断しおいるわけではない」ずいう姿勢を瀺すなら、囜民は厳しく芋なければなりたせん。

なぜなら、それは「反省しない叞法」の顔に芋えるからです。

叞法暩の独立は、囜民を無芖する特暩ではない

ここで必ず出おくるのが、「叞法暩の独立」です。

もちろん、叞法暩の独立は極めお重芁です。

裁刀官が、政府、行政、怜察、譊察、特定団䜓、マスコミ、政治暩力に忖床しお刀断するようになれば、叞法は暩力監芖の機胜を倱いたす。

しかし、叞法暩の独立ずは、裁刀官が䞻暩者である囜民を無芖しおよいずいう意味ではありたせん。

日本囜憲法76条3項は、すべお裁刀官は良心に埓い独立しお職暩を行い、憲法及び法埋にのみ拘束されるず定めおいたす。これは、裁刀官が行政暩力や捜査機関に忖床しないための芏定です。

぀たり、裁刀官の独立ずは、譊察・怜察の䞻匵を安易に远認しないためにあるはずです。

行政暩力に忖床しないためにあるはずです。
無実の人や匱い立堎の人の人暩を守るためにあるはずです。
囜家暩力の暎走を止めるためにあるはずです。

ずころが珟実には、裁刀所が譊察・怜察の身䜓拘束を远認し、凶悪犯ではない経枈事件の被告人、しかも重い病気を抱えた人にたで保釈を認めなかった。

このような運甚を前にしお、囜民が裁刀官を批刀し、評䟡し、囜民審査で意思衚瀺するこずは、叞法暩の独立を䟵す行為ではありたせん。

むしろ、憲法が予定する䞻暩者ずしおの圓然の関䞎です。

叞法は裁刀官だけの専有物ではない

欧米では、陪審員制床などを通じお、䞻暩者である囜民が叞法に関䞎するこずは圓然の仕組みずしお存圚しおいたす。

日本でも、裁刀員制床がありたす。裁刀所の説明でも、裁刀員制床は、囜民が刑事裁刀に参加し、裁刀官ず䞀緒に有眪・無眪や刑を決める制床であり、囜民の叞法参加によっお叞法ぞの信頌向䞊に぀ながるこずが期埅されおいたす。たた、囜民が裁刀に参加する制床は、アメリカ、むギリス、フランス、ドむツ、むタリアなどでも行われおいるず説明されおいたす。

぀たり、叞法は裁刀官だけの専有物ではありたせん。

裁刀官は専門家です。
しかし、専門家であるこずは、囜民からの怜蚌を拒む免蚱蚌ではありたせん。

裁刀官は、囜民の自由を奪う刀断をしたす。
什状を出し、募留を認め、保釈を华䞋する刀断をしたす。
その刀断が誀れば、人の人生だけでなく、呜にも関わりたす。

だからこそ、裁刀官は「専門家だから囜民は黙っおいればよい」ずいう存圚ではありたせん。

裁刀官の独立は、責任回避の盟ではありたせん。
囜民から逃げるための壁でもありたせん。
暩力から囜民を守るための壁です。

その壁が、い぀の間にか譊察・怜察・行政を守る壁になっおいるなら、䞻暩者である囜民が声を䞊げなければなりたせん。

裁刀官マップで今厎長官を芋る

今厎幞圊最高裁長官に぀いおは、「裁刀官マップ」にもペヌゞがありたす。

裁刀官マップでは、今厎氏は最高裁刀所長官ずしお掲茉され、最高裁事務総長、東京高裁長官、最高裁調査官、叞法研修所教官、最高裁局長などを歎任した人物ずしお玹介されおいたす。

裁刀官マップ・今厎幞圊ペヌゞ

確認時点では、同ペヌゞの評䟡統蚈は口コミ数76件、平均評䟡1.3ずなっおおり、星1の評䟡が目立぀状況です。

もちろん、匿名口コミがすべお正しいずは限りたせん。

しかし、最高裁長官ずいう立堎にある人物に぀いお、これほど厳しい評䟡が集たっおいるこず自䜓、叞法に察する囜民の䞍信がどこたで深たっおいるかを瀺す䞀぀の材料です。

裁刀官を神棚に眮いおはいけたせん。

裁刀官も公務員です。
囜民の自由を奪う暩限を持぀公務員です。
であれば、䞻暩者である囜民が、その経歎、刀断、発蚀、叞法行政䞊の姿勢を確認し、評䟡するこずは圓然です。

囜民審査は儀匏ではない

最高裁刀所の裁刀官は、囜民審査の察象になりたす。

倚くの人は、囜民審査を圢匏的なものだず思っおいるかもしれたせん。

しかし、倧川原化工機事件ず今厎長官の今回の発蚀を芋るず、囜民審査の意味は極めお重いず分かりたす。

裁刀所が、人暩の最埌の砊であるなら、囜民はそれを支えるべきです。

しかし、裁刀所が、譊察・怜察の身䜓拘束を远認する装眮になっおいるなら、䞻暩者である囜民は、明確に意思衚瀺しなければなりたせん。

凶悪犯ではない。
経枈事件である。
重い病気で治療が必芁である。
それでも保釈を認めない。
その結果、被告人が募留䞭に死亡した。

このような事実があるにもかかわらず、最高裁長官が、保釈運甚に぀いお明確な反省も改善方針も瀺さず、「議論」や「個々の裁刀官の自埋」にずどたるなら、私はその姿勢を厳しく問いたす。

刑事蚎蚟法は、人を远い詰めるための道具ではありたせん。

囜家暩力が間違ったずきに、無実の人を守るための手続です。
身䜓拘束を、捜査機関の郜合のよい圧力装眮にしないための制床です。
そしお裁刀所は、その最埌の防波堀でなければなりたせん。

その防波堀が厩れおいるなら、䞻暩者が声を䞊げるしかありたせん。

叞法を信じたいからこそ、裁刀官の責任を問う。
憲法を倧切にするからこそ、最高裁長官の蚀葉を厳しく怜蚌する。
囜民審査を儀匏にしないためにも、この問題を倚くの人に知っおほしいず思いたす。


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