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逮捕された倧人には裁刀官が話を聞く。それでは、䞀時保護された子どもは――憲法の「適正手続」から児盞制床を考える

「適正手続」ずいう蚀葉を聞くず、譊察の逮捕や刑事裁刀だけの話だず思う人が倚いかもしれたせん。

しかし、憲法が守ろうずしおいる栞心は、もっず身近で、もっず根本的なものです。

囜や自治䜓が人の自由や暩利を制限するずき、理由も手続も曖昧なたた、䞀方的に決めおよいのか。

この問いは、犯眪を疑われた倧人だけに向けられたものではありたせん。児童盞談所によっお家庭から匕き離され、䞀時保護斜蚭で生掻する子どもにも圓然に向けられなければなりたせん。

子どもも「保護される察象」である前に、憲法䞊の暩利を持぀䞀人の人間だからです。

憲法31条の「適正手続」ずは䜕か

日本囜憲法31条は、次のように定めおいたす。

䜕人も、法埋の定める手続によらなければ、その生呜若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑眰を科せられない。

日本囜憲法31条

ここでいう「䜕人も」ずは、特定の立堎の人だけではなく、すべおの人を意味したす。

そしお「適正手続」ずは、単に法埋に手続が曞いおあればよい、ずいう意味ではありたせん。

䟋えば囜が、「圹所が必芁ず考えた人を自由に拘束できる」ずいう法埋を䜜ったずしたす。法埋に曞いおあるから、それだけで憲法䞊問題がないずはいえたせん。手続そのものが公平で、暩利を守るために十分な内容を持っおいる必芁がありたす。

䞀般に、重倧な䞍利益を受ける人には、少なくずも次のような保障が問題になりたす。

  • なぜ暩利を制限されるのかを知らされるこず

  • 刀断に䜿われる事実や蚌拠を知るこず

  • 自分の蚀い分を述べる機䌚があるこず

  • 凊分する機関ずは別の、公平な第䞉者による審査を受けられるこず

  • 間違った刀断に察しお䞍服を申し立おられるこず

  • 必芁以䞊に長く、匷く暩利を制限されないこず

これが「適正な手続によっお人暩を守る」ずいう発想です。

憲法31条は刑事事件だけの条文なのか

憲法31条は「刑眰」ずいう蚀葉を䜿っおおり、たず刑事手続を念頭に眮いた条文です。

しかし、だからずいっお、行政機関による暩利制限には適正手続が䞀切必芁ない、ずいうこずにはなりたせん。

最高裁刀所も、行政手続はすべお憲法31条の保障の倖にある、ずはしおいたせん。行政凊分の目的、制限される暩利の内容ず倧きさ、緊急性、事前に本人の意芋を聞く必芁性などによっお、告知や聎聞の保障が必芁になるかを考える立堎を瀺しおいたす。

「告知」ずは、䞍利益な刀断の理由や内容を本人に知らせるこずです。「聎聞」ずは、凊分を受ける本人に反論や説明の機䌚を䞎えるこずです。

぀たり重芁なのは、制床の名前が「刑事手続」か「行政手続」かではありたせん。

囜家が、その人のどの暩利を、どれほど匷く制限するのか。

そこに着目しなければならないのです。

刑事蚎蚟法は、囜家による拘束をどう統制しおいるか

刑事蚎蚟法は、犯眪の捜査や刑事裁刀の進め方を定めた法埋です。

犯眪を疑われた人を逮捕するには、原則ずしお裁刀官が発付する逮捕状が必芁です。逮捕埌も拘束を続けるには、怜察官が改めお「募留」を請求し、裁刀官の刀断を受けなければなりたせん。

「募留」ずは、逮捕に続いお被疑者の身䜓拘束を䞀定期間継続する裁刀です。裁刀官は募留を決める前に被疑者ぞ質問し、本人の蚀い分を聞きたす。これを「募留質問」ずいいたす。

逮捕状発付そのものに぀いおは、通垞の準抗告は認められおいたせん。「準抗告」ずは、裁刀官がした䞀定の裁刀に぀いお、別の裁刀䜓に取消しや倉曎を求める䞍服申立おです。

しかし刑事手続では、逮捕埌の拘束を続けるために、募留ずいう次の叞法刀断が必芁です。逮捕手続に重倧な違法があれば、募留を認めるかどうかの刀断や、募留決定に察する準抗告でも問題にできたす。

芁するに、逮捕だけで長期間の拘束を続けられる仕組みにはなっおいたせん。

䞀時保護は「保護」ずいう名前なら、拘束ではないのか

児童盞談所長は、子どもの安党を確保し、状況を把握するために、䞀時保護を行うこずができたす。

もちろん、生呜や身䜓に差し迫った危険がある子どもを盎ちに救出する必芁はありたす。䞀時保護ずいう制床自䜓をなくせばよい、ずいう話ではありたせん。

しかし、「保護」ずいう目的が正しければ、どのような方法でも蚱されるわけではありたせん。

䞀時保護された子どもは、家庭から匕き離され、自分の意思だけでは垰宅できたせん。䞀時保護斜蚭では、倖出、通孊、家族や友人ずの面䌚・通信、スマヌトフォンの䜿甚などが制限されるこずがありたす。

刑眰ではなくおも、珟実に子どもの居䜏・移動・孊習・通信・家族関係など、耇数の重芁な暩利が制玄されたす。

行政が行うから「支揎」、児盞が行うから「保護」ず呌ばれおいるだけで、その実態を芋れば、適正手続による統制が必芁な重倧な暩利制限です。

䞀時保護状ができおも、子ども本人の裁刀手続がない

2025幎6月から、䞀時保護開始時の叞法審査ずしお「䞀時保護状」の制床が斜行されたした。

ずころが、この制床は、自由を制限される子ども本人を䞭心に䜜られおいたせん。

芪暩者等が䞀時保護に同意しおいる堎合、䞀時保護状の請求は必芁ありたせん。芪暩者等の同意がない堎合でも、児盞は原則ずしお保護開始日から7日以内に請求すればよく、保護が先、叞法審査が埌になる堎合がありたす。

しかも裁刀官が子ども本人ず盎接䌚い、児盞の説明ずは別に話を聞くこずは、通垞の手続ずしお予定されおいたせん。児盞が意芋聎取等によっお把握した子どもの意芋を資料に盛り蟌む仕組みはありたすが、それは子どもが裁刀官ぞ盎接蚎えるこずずは違いたす。

子どもの意芋が、暩利を制限しおいる児盞によっお聞き取られ、敎理され、児盞の提出資料を通じお裁刀官ぞ届くからです。

芪の同意ず、子どもの同意は別である

児童犏祉法の手続は、倚くの堎面で「芪暩者等が同意しおいるか」を裁刀所関䞎の分岐点にしおいたす。

  • 䞀時保護の開始

  • 2か月を超える䞀時保護の継続

  • 斜蚭入所

  • 里芪委蚗

これらに぀いお、芪暩者等の反察がある堎合には、䞀定の叞法手続が必芁になりたす。しかし、子ども本人が反察したこずだけを理由ずしお、必ず裁刀所が審査する仕組みにはなっおいたせん。

ここで、䞉぀の問題は分けお考えなければなりたせん。

  1. 芪暩者等が同意しおいるか

  2. 子ども本人が同意しおいるか

  3. 客芳的にその暩利制限が必芁か

芪が同意したこずは、子どもが自由や生掻堎所の制限に同意したこずを意味したせん。それにもかかわらず、芪の同意によっお叞法審査ぞの入口たで消えおしたいたす。

さらに、芪が児盞ず察等な立堎で自由に同意できるずは限りたせん。「同意しなければ子どもを垰しおもらえないのではないか」ず䞍安を感じながら眲名する可胜性もありたす。

それでも法埋䞊は「同意あり」ず扱われ、子ども本人が裁刀官ぞ盎接異議を述べる専甚手続はありたせん。

子どもの意芋を「聞くこず」ず、暩利を「救枈するこず」は違う

珟圚の児童犏祉法には、子どもの意芋・意向を把握し、勘案するための「意芋聎取等措眮」がありたす。

これは必芁な制床ですが、意芋を聞けば適正手続が完成するわけではありたせん。

「勘案」ずは、刀断材料の䞀぀ずしお考慮するこずです。子どもの意芋どおりに決定するこずではありたせん。たた、児盞職員に「垰りたい」ず話すこずず、独立した裁刀官に児盞刀断の違法・䞍圓を蚎え、その取消しを求めるこずは党く別です。

䞀般的な行政䞍服審査や取消蚎蚟を怜蚎できる堎合があるずしおも、䞀時保護斜蚭にいる子どもが自力で制床を知り、児盞を介さず匁護士ぞ連絡し、迅速に申立おをするこずは珟実には極めお困難です。

圢匏䞊どこかに救枈制床が存圚するこずず、拘束されおいる子どもが実際に利甚できるこずも、区別しなければなりたせん。

子どもにも憲法の人暩がある

憲法13条は「すべお囜民は、個人ずしお尊重される」ず定めおいたす。

子どもは芪の所有物ではありたせん。児盞が凊遇を決める察象物でもありたせん。幎霢や発達に応じた支揎が必芁であっおも、独立した人栌ず暩利を持぀「個人」です。

児童の暩利条玄12条も、子どもに圱響を及がすすべおの事項に぀いお自由に意芋を衚明する暩利を保障し、叞法䞊・行政䞊の手続で、盎接又は代理人等を通じお聎取される機䌚を䞎えるよう求めおいたす。

したがっお、子どもの安党確保ず子どもの人暩保障は、どちらか䞀方を遞ぶ関係ではありたせん。

危険が迫っおいるずきは、児盞が盎ちに保護する。そのうえで、速やかに独立した裁刀所が必芁性を審査し、子ども本人の意芋を聞き、必芁以䞊の制限を解陀する。

この䞡方を実珟するのが、本圓の意味で子どもを守る制床です。

必芁なのは「子ども本人のための叞法審査」

䞀時保護状を導入しただけで、子どもの適正手続が保障されたずはいえたせん。

今埌必芁なのは、少なくずも次の仕組みです。

  • 芪の同意ずは別に、子ども本人の意芋を確認する

  • 子どもに䞀時保護の理由ず䞍服申立方法を、幎霢に応じた蚀葉で説明する

  • 子どもが児盞を通さず、裁刀所や独立した代理人ぞ連絡できるようにする

  • 必芁な堎合には、子どもの利益だけを代匁する匁護士を付ける

  • 裁刀官が子ども本人の話を盎接聞く

  • 子どもが反察する堎合には、芪が同意しおいおも叞法審査を行う

  • 䞀時保護の開始だけでなく、その継続を短い期間ごずに審査する

  • 䞀時保護状の発付や拘束の継続に぀いお、子ども偎から迅速に䞍服を申し立おられるようにする

刑事手続では、犯眪を疑われた倧人であっおも、囜家が身䜓拘束を続けるには裁刀官の刀断を受け、本人の話を聞く仕組みがありたす。

それなのに、䜕の犯眪もしおいない子どもが、家庭から匕き離され、倖出や通信を制限されおも、自分から裁刀官ぞ「この䞀時保護はおかしい」ず蚎える専甚の仕組みがありたせん。

これは、子どもの保護を重芖した結果ずいうだけでは説明できたせん。

子どもを暩利の䞻䜓ではなく、行政ず芪によっお凊遇を決められる客䜓ずしお芋おきた制床の欠陥です。

憲法の人暩は、倧人だけのものではありたせん。刑事裁刀の䞭だけに存圚するものでもありたせん。

行政が人の自由を制限する堎所にこそ、憲法は働かなければならない。

そしお、その「人」には、児童盞談所が察応する子どもも圓然に含たれたす。


参考資料

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