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偶然ってhappy! 本屋で出会ったエモい140字の物語

近所の有隣堂書店で、不覚にも涙をこぼしてしまいました。
うかうか立ち読みもできません。

本の帯コピーに惹かれたんです。

「恋、青春、家族……最後の一文にあっと驚く140字ぴったりの物語」

綴られているのはちょっとした日常のひとコマ。
共感したり気づかされたり。
些細な心の声が愛おしくなります。



手にした本はこれです。
神田澪さんが書かれた『最後は会ってさよならをしよう』
Twitter(現X)に投稿された140字物語の数々が、1冊にまとめられています。

140字の物語って、15秒CMくらいのドラマですね。

立ち読みで軽くページをめくっただけなのに、なな、なんと全体の3分の2ほどを読み切ってしまいました。
ドキドキで、次から次へと止まらずに。
立ち読みだから超スピーディーに。

「アカンアカン、家でじっくり読まなアカン」

本を買ったこの日の夜、ベッドでのんびり味わいました。

140字の物語が130篇以上、
短編2篇、中篇1篇、エッセイ3篇が収録されています。

短いので、ことばはとてもストレート。
飾り気なしに真っ直ぐ刺さる気持ちよさです。

例えばこんなの。


140字物語「君の好きなところ」
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彼女の誕生日に素直な気持ちを伝えた。

「誕生日おめでとう。朝ご飯作ってくれるところ、気遣ってくれるところ、よく連絡をくれるところが大好きです」

喜んでほしかったのに彼女はなぜか浮かない顔。
ついには一粒の涙が落ちた。

「私が好きなんじゃなくて、
私がしてあげることが好きなんじゃないかな」

神田澪著『最後は会ってさよならをしよう』KADOKAWAより引用


ハッとして、唇を噛んでしまいました。
「これは覚えがある」と、私の心がページに話し始めます。

そう、私がいろいろ我慢して合わせていたから、彼は私が好きでした。でも我慢なんか続きません。「あれはヤダ、こうじゃなきゃダメ」と言い出した途端、彼の中で私は「憎たらしいヤツ」に切り替わったんです。

まあこれが、今の結婚生活の顛末ですね。
いやいや、神妙に受け止めないで。
よくあることだと笑い飛ばしてほしいトコです。

恋人時代の柔らかかったあの頃、この140字物語の彼女のような気づきはなかった。あったけれど無視してた。
まさに運命の分岐点を見る思いです。

人生なんて、こんなことの繰り返しばかり。

他には、こんなのもありました。


140字物語「二人で抜け出そう」
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可愛いけれど愛想なし。
飲み会で隣になった先輩は、早く帰りたがっている様子だった。
実際、僕も同じ気持ちだ。

「ねえ、二人で抜け出しちゃおっか? つまらないし」
僕は頷き、その背中を追って外に出た。

「どこ行くんですか」
「家だよ、家」

しばらく歩くと先輩は言った。

「あれ? 君も自分ちに帰りなよ」

神田澪著『最後は会ってさよならをしよう』KADOKAWAより引用


吹き出しました。この先輩は私にそっくり。

大勢でガヤガヤはちょっと苦手。
ひとりが気楽。ふたりや3人の少人数が落ちつくんです。

だから飲み会なんかはいつもサッとフェイドアウト。気の合う人と抜け出したり、ひとりでシューッと帰ります。

この140字物語の孤高の先輩、どうかこのまま我が道を行け!


エモさってなんだろう

『最後は会ってさよならをしよう』は、文章に圧倒されるとか表現が鋭いとか、そういうのではありません。
でも、エモいんです。ただ、エモいんです。

140字という短文でストーリーや感情をまとめるのは難しいです。
ましてやそこにエモさを忍ばせるなど、至難の業かもしれません。


エモさとは、泣かせる文章だけじゃありません。
クスッと面白かったり、共感したり、いいこと言うねとツッコめたり、自分の感情がスルスルのっていく文章のこと。
読みながら、映像が浮かぶ文章のこと。
登場人物がイキイキ喋り出すような文章のこと。

そんなふうに思います。

『最後は会ってさよならをしよう』を読んでいる最中、自分の恋愛現役時代の光景がちらつきました。
今の自分と比べたりして、苦笑いやら溜息やら。


最後に、そんな心境を私も140字でまとめてみました。


遠い春の日、あなたと一緒に虹を見た。
別れを彩る光のアーチに目が潤む。

死んだら虹になってあなたを包もう。

あれから随分時が流れた。

私は死なずにずっと元気。
筋力付けて免疫力とか血流アップとか、
自称・万年女盛りで健康管理。

虹なんかなるもんか。
あの時の純情を、図太く思い出し出し生きている。

銀河のハルカ


📚オマケ
この記事の冒頭文は、ジャスト140字です。
*「近所の有隣堂書店で、不覚にも涙をこぼしてしまいました。」〜「些細な心の声が愛おしくなります。」までを、140字で書いてみました。