雑談:🇯🇵ホテルが高くなったーーでも、それだけで終わらせたくない話
こんにちは。個人投資家で元ホテルマンのTAKA Chanです。
日本のホテル業界は好調のようです。
東京商工リサーチのデータによると、上場ホテル運営会社12社、13ブランドの2025年度の客室単価は1万7,818円。
前年度比で8.6%上昇。
稼働率も83.3%。
数字だけ見ると、かなり強いです。
ビジネスホテルでも客室単価は1万4,463円。
シティホテルでは2万5,490円。
コロナ禍だった2021年度と比べると、ビジネスホテルもシティホテルも、客室単価は約2.3倍になっています。
正直、元ホテルマンとして見るとこれはなかなかすごい変化です。
20年くらい前の感覚でいうと、ビジネスホテルは兎に角「安く泊まる場所」というイメージが強かった。
出張で泊まる。終電を逃した時に泊まる。
観光でも、寝るだけなら十分。
そういう存在でしたよね。
でも今は違います。
インバウンドが戻り、円安も追い風になり、国内旅行も回復している。イベントがあれば一気に埋まる。
都市部のホテルは、昔のように簡単に安く泊まれる場所ではなくなりました。
これを単純に「ホテル会社が儲かっている」と見ることもできます。
投資家としては、もちろんそこを見るべきです。
客室単価が上がり、稼働率も高い。
この2つが同時に動くと、ホテル業界には強い追い風になります。
普通、値段を上げれば稼働率は落ちやすい。
でも今回は、値段を上げても部屋が埋まっている。
これはかなり強い状態です。
ただ、元ホテルマンとしては、少し別のことも考えてしまいます。
ホテルの現場は、数字ほど簡単ではありません。
客室単価が上がれば、お客様の期待値も上がります。
1泊8,000円なら許されたことが、1泊18,000円では許されない。
朝食の品数。
チェックインの待ち時間。
部屋の清掃状態。
スタッフの表情。
エレベーターの混雑。
アメニティの質。
こういう細かいところが、全部見られるようになります。
ホテルは、値上げした瞬間から「高くなった理由」を現場で示さなければいけない商売です。
しかも、今は人件費も光熱費も上がっています。
つまり、客室単価が上がっているからといって、そのまま利益が楽に増えるわけではない。
現場の負担も上がる。
設備投資も必要になる。
人を採るにもお金がかかる。
このあたりは、投資家として忘れたくないところです。
ホテル業界を見る時、私は単純に売上や稼働率だけではなく、「その価格に見合う体験を維持できるか」を見たいと思っています。
たとえば、客室単価が2倍になっても、部屋が古いまま。
スタッフが足りず、フロントに行列。
朝食会場も混雑。
清掃もギリギリ。
そうなると必ずお客様の不満が出ます。
ホテルは基本的にリピーター商売です。
一度泊まって「高いけど良かった」と思えば、また選ばれる。
でも「高いだけだった」と思われたら、次は別のホテルに流れる。
この差は、決算の数字にすぐ出ないこともあります。
だから怖い。
今回のデータで面白いと思ったのは、インバウンドの強さです。
2025年の訪日外客数は4,268万人を超え、過去最多。
訪日外国人旅行消費額も9兆4,549億円。
これは日本で観光がひとつの大きな産業になっているということです。
円安で日本が安く見える。
食事がおいしい。
治安が良い。
電車が正確。
地方にも観光資源がある。
海外から見れば、日本はまだまだ魅力的なのだと思います。
一方で、日本人の感覚では「ホテルが高くなりすぎた」と感じる場面も増えています。
ここに、少しねじれがあります。
海外から見ると安い。
日本人から見ると高い。
このズレは、今の日本経済をそのまま映しているようにも感じます。
投資家としては、ホテル株や観光関連株を見る時に、この流れは無視できません。
ホテル、鉄道、空港、百貨店、外食、決済、旅行予約サイト。
インバウンドが強ければ、関連する企業は多い。
ただし、何でも買えばいいとは思いません。
ホテルは景気敏感です。
為替にも左右されます。
地政学リスクにも影響されます。
政治で流れが変わることもある。
だから私は、ホテル業界を「強いテーマ」として見る一方で、簡単な勝ち筋とは見ていません。
今のホテル業界は、確かに追い風です。
でもその追い風は、現場の努力の上に乗っています。
部屋を売るだけではない。
人が掃除して、人が迎えて、人が謝って、人がまた来てもらえるようにする。
ホテルの数字を見るたびに、私はそこを思い出します。
投資家としては、稼働率83.3%という数字を見る。
元ホテルマンとしては、その83.3%の部屋を毎日回している人たちの顔を思い浮かべる。
どちらも大事です。
ホテルが高くなった。
それは、業界にとって良いニュースです。
でも同時に、日本人の暮らしや、働く人の負担や、円安の影響も見えてくる。
数字はきれいです。
ただ、その裏側はいつも少し泥くさい。
私はそこに、ホテルという商売の面白さと難しさがあると思っています。
出典:東京商工リサーチ「大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%」(2026年6月17日)
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