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愛が重い女と愛が深い男

私には優しい恋人がいる。

だけど、心の中では片思いだと思っている。

例えばこんな時。

恋人が風邪を持ってきた。

恋人は「移るからあまりくっつかないで」と言う。

私は気にせず、ハグをしたり、いつも通りに過ごす。
狭い空間にいて「どうせ移るでしょう」と思うから。

恋人が治った頃、お約束のように、私も風邪を引く。 恋人より症状がいつも重くなる。

恋人は私が風邪を引くと、必ず私の好きなアイスを買ってくる。

いつもなら、一つのスプーンで交互に食べる。
食べさせてくれるのだが。

風邪を引いたとき、彼は交互に食べない。
全部、私に食べさせる。

私は地味に、傷つくのだ。

私は恋人が風邪を引いてもくっつくのに、
恋人は同じスプーンを避ける・・

あぁ。私の方が愛が重い。

そもそもあなたが持ってきた菌じゃないのさ。
ふん!と心で悪態をつく。

恋人は帰るとき、いつもより軽めのハグをする。

そしてまた少し傷つく。

同じバイキンなのに、なんだよ。
そういうときは、私が

「また移るからだめよ」
「そんなの気にしないよ」
「だめだって」 と言って
熱い抱擁をするのが
少女漫画の王道じゃないのか。

50代だが。
(若い読者は怖がらないでスルーしてください)

私は全く気にしていない振りをして、笑顔で見送る。

どうして私はこんなにも暑苦しいのだ。

10代なら同じ熱量ではないことで痴話喧嘩になるかもしれないが、
50代で言えるわけがない。

「私は菌ごと愛すのに、あなたは菌を避けるのか」
などと。

私は開き直って一人、
往年のアイドルの歌を口ずさむ

Don't kiss me,Baby・・・

自虐で歌ったその歌詞に
また落ち込みそうになる。

我ながらバカバカしいとは思うが、
こんなとき、乗り越える必殺技がある。
それは私の片思いだと思うことにするのだ。

彼は手の届かない私の推し。

推しなのに、アイスを食べさせてくれるのだから、かなり脈アリのお気に入りじゃないのか。

ファンクラブに入ってるわけでもないのに、
寝る前のおやすみLINEが来るのは卒倒ものだ。

いかれている私はそんなふうにして、
菌問題を乗り越える。

明日の朝、恋人が来たら
心で「◯◯様♡」と叫びながら、
冷ややかに「バイキンだからハグしない」と言ってやろう。
愛が重い女の仕返しだ。

愛が深い男はきっと、
笑って優しくハグすることだろう。


【もう一つ、愛の話】
菌ごと愛するかどうかはさておき。
「私は大切にされている」と感じられる関係は、やっぱり心地いい。
恋人だけではなく、友人、家族、職場でも。
不思議と周りから大切にされる人には、いくつかの共通点があります。
「なぜか大切にされる人」の共通点
よかったら、お読みください。


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