我々は報いを求めて働いているわけじゃない
こんにちは、たくのすです。
「官僚たちの夏」知ってますか?
城山三郎の小説で、ドラマ化もされています。
あまり原作を超えるドラマは見たことがありませんが、たくのすはこの作品については、ドラマのほうが好きだったりします。
ドラマも2回放映されていて、たくのすが好きなのは、2009年に放送された佐藤浩市の方です。
作家・城山三郎の代表作「官僚たちの夏」をドラマ化。原作では昭和30年代、高度経済成長期へと向かう日本の通商産業省を舞台に、国家の未来を担う高級官僚たちの政策や人事をめぐる熱い戦いを描き出した。ドラマでは“ミスター通産省”と呼ばれ、無私の精神で国家産業発展のために全力を尽くす主人公の通産官僚・風越信吾に佐藤浩市。風越を取り巻く通産官僚たちを堺雅人、高橋克実、高橋克典、船越英一郎らが演じ、彼ら官僚の前に立ちはだかる大臣・池内信人役には北大路欣也と、豪華俳優陣が顔をそろえた。平成21年度(第64回)文化庁芸術祭優秀賞受賞作品。
どのくらい好きかというと、『ハゲタカ(大森南朋の方)』と同じくらい好きです。
『白い巨塔(唐沢寿明の方)』の一つ下です(知らんがな)。
で、堺雅人演じる庭野という若手官僚がいるのですが、これがとてもかっこいい。
堺雅人、こいつ絶対売れるなと思っていたら、いつのまにか半沢直樹になってしまいました。
このドラマは、公務員やってると響く名言がたくさん出てくるのですが、
そのなかでも一番好きな言葉がこれ。
『我々は報いを求めて働いているわけじゃない』
背景としては、
戦後に国民車構想(一家に車一台)の実現目指す→国主導で安い車作れ→車メーカー頑張れ→車メーカーの社長過労死→マスコミに急にバッシングされる
新採職員の「官僚って報われない職業ですね…」に対しての庭野の一言なのでした。
サラっという感じがいいんですよね。
この言葉は、公務員である上で、いつも心にあった言葉でした。
ミスがないのは当たり前。
クレームは当たり前。
はやくできて当たり前。
残業は当たり前。
常に、住民のことを思い仕事をする。
報いなど求めず。
まあ、マゾですね。
それでも、当時は一応理想を持っていたので、20代は激務部署を渡り歩き、死ぬほど働きました。
仕事そのものは苦ではなく、自分には向いていたと思います。
与えられた仕事を分析し、調整し、最後までやり切ることで、それなりの自信ももてました。
上司も、当時は、なんというか気骨があった気がします。
反論するめんどくさい20代のたくのすにたいして、ちゃんと叱ってくれました。
そんなこんなで、自分なりの公務員像があり、それに恥じないようやってきました。
報いなど求めず、淡々とこなしていく(当たり前といえば当たり前なんですが)。
ある種誇りもありました。
…ですが、年々、明らかにおかしいことがどんどん増えてきました。
このnoteで書いてきたとおりです。
どうすれば変えられるのかも考えました。
まずは上に、中枢に、いこうと思い、財政課にもいき、知事をはじめとする幹部の意思決定過程にも関わりました。
一通り経験して「あ、この組織はダメなんだな」と思いました。
なんというか、いろいろなことが諦めに変わりました。
そして、「報い」を求める以前に、そもそもこの組織でなにがしたいのかも分からなくなりました。
異動希望を考えても、何一つやりたいことがない。
興味のあった産業政策も、10年たってもまったく触れさせてもらえず、色あせました。
すごく悲しい気持ちになったのを覚えています。
正直、組織の一員であることを恥ずるようになっていたとすら思います。
失望したとも言えます。
さらに、話せる友人がどんどんいなくなる。
もちろんまともな人もいますが、モンスターがいる環境が、普通の環境になってきました。
まともにやろうとすればするほど、足を引っ張られる環境。
善意につけ込む環境。
次から次へとしわ寄せがくる環境。
全部目をつむって、適当に仕事してお金を得るということはできたと思います。
家庭が大変だったので、「弱者」アピールをすることもできたでしょう。
でも、辞めました。
貴重な一日一日を、この組織にささげることが我慢できなくなっていて、開き直って権利ばかり主張するモンスターや、置物の上司と同じ空間にいること自体が耐えられませんでした。
きっかけは家庭の事情でしたが(これはこれで、さらに多くの失望があり、完全に辞めることを決意させてくれたと言えます)。
今、現況を聞くほど、庭野のように、まっすぐ国民(住民)のことを考えて仕事をする職員は、あまりいないのだろうと思います。
もしいるとすれば、たぶん今の環境は、相当苦しい環境だろうな、と。
実は、ドラマでも、庭野は最後に倒れます。
死ぬわけではないですが(たぶん)。
今も昔も、公務員でまともにやろうとすると、排除されるか、辞めるか、倒れるものなのかもしれません。
いや、お前がダメなだけで、俺は楽しく毎日頑張ってると言う方、ぜひそのまま頑張ってください。
しかし…
税金を突っ込んで、給料をあげ、休みを増やし、システムを導入し、副業を許可して、果たしてこの先何ができあがるのでしょう。
どこに向かうのでしょう。
ということで、『官僚たちの夏』おすすめです。
では、ごきげんよう。
