【職員室の「内示の日」という、あの妙な空気の正体】|学校|職員|先生|移動|転勤|
3月。卒業式が終わってホッとしたのも束の間、職員室には独特の「ザワつき」が漂い始めます。
教員にとって一年で一番ソワソワする、あの「内示」の時期です。
1. 校長室のドアが開くたびに、全神経が集中する
その日は朝から、職員室の空気がピンと張り詰めています。みんな、一見すると普通にパソコンを叩いたりプリントを刷ったり、笑顔で談笑しているけれど、意識の9割は「校長室のドア」に向いています。
管理職がスッと出てきて、誰かの肩をポンと叩く。 「ちょっといいかな」
その瞬間、職員室に流れる見えない電流。 「次はあの人か……」「え、あっちが先?」 みんな視線は手元の資料に落としたままなのに、耳だけはダンボにして、呼ばれる順番から必死に「今回の人事の全貌」を読み解こうとします。あの観察眼、授業中の机間巡視より鋭いんじゃないかと思うほどです。
2. 「戻ってきた表情」の0.5秒スキャン
校長室から戻ってきた同僚の顔を、私たちは瞬時に読み取ります。
少しスッキリした顔をしていれば「あ、希望が通ったんだな」と察し、逆に少し強張った顔なら「……お疲れ様です」と心の中で手を合わせる。
目が合った瞬間の「……(察してくれ)」という無言の合図。 公式発表前だから何も言えないけれど、その0.5秒のアイコンタクトだけで、お互いの状況が手に取るようにわかってしまう。言葉がいらない、不思議な連帯感が生まれる瞬間です。
3. 放課後の駐車場や資料室で始まる「密談」
定時を過ぎ、生徒がいなくなると、いよいよ本番です(笑)。
資料室の隅や、夕暮れの駐車場。 「実は……」「やっぱりそうでしたか……」 そんな囁き声があちこちで聞こえてきます。
公式発表までは秘密のはずなのに、なぜか仲の良い同僚の間では、パズルのピースを埋めるように情報が共有されていく。この「ここだけの話」をしている時だけは、普段の忙しさも忘れて、なんだか少しだけワクワクしたような、奇妙な結束力が生まれるから不思議なものです。
4. 転勤族の脳内は「超特急の段取り」
数年おきに拠点を移す「転勤族」にとっては、内示は生活のすべてがひっくり返る合図でもあります。
内示を聞いた瞬間、心の中では「引っ越し業者はどこにするか」「家族に何て言おうか」「今のクラスの引き継ぎ資料、どこまで作ったっけ?」と、ものすごい勢いで段取りが始まります。
表面上は「あ、そうですか……」と冷静な顔をしながら、脳内はパニック映画のような騒ぎ。このギャップに耐えるのも、この時期の教員の「特殊技能」かもしれませんね。
また新しい春が来る
どんなに職員室がザワついても、4月になればまた新しいメンバーで「よろしくお願いします!」と笑い合っている。
毎年繰り返されるこの「お祭り」のような、少し切ないような儀式。 これがあるからこそ、私たちはまた一年をリセットして、新しい気持ちで子どもたちの前に立てるのかもしれません。
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